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流れ星へ幸せを  作者: 本宮 律
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本編5

さっぱりと照る太陽。

涼しい風が吹き込むちょうどいい気温の部屋に、無意識に眉を寄せた。


「んっ…………」


目を開ければ何気ない朝だ、明るい。

今日はアラームなしで目が覚めた。

日曜なのに。

二度寝は嫌いだから、いつもなら顔でも洗いにさっさと起き上がるはずなんだ。


はず、なんだ…。


「…なんっ、で」


ベッドの上、しかも女の子と。

上を向いて寝たはずの彼女は、今俺の方を向いている。

そして彼女の左腕は俺の脇腹の下を通り、背中で右腕と交差されていて、

足も俺の左足が彼女の両足によってホールドされている。


極めつけに視線を下げれば、顏は見えないが、栗色の髪の中につむじが覗いていた。


「……………あれ…」


やばい…俺、あのまま寝たのか。

しかもエアコンの切るの忘れてた。


絶対に寒かったよな…。

布団も俺がほぼかぶっているし……。

ごめん、本当に。


俺は静かにエアコンを切って彼女に布団をかけた後、行き場のない両腕を上にあげた。

彼女の頭が上下していることから、確実に息をしていることがわかる。


「……んっ………」


たまにか細い寝息も聞こえてきた。

とりあえず生きていたことに安堵しつつ、どうしようか考える。


揺さぶって起こしてみるか?

いやでもこの状況…彼女からしたら初対面の男が隣で寝てるんだよなあ。

起きるの遅すぎると姉ちゃんが突撃してくる可能性がある。

これ見られたら、終わりだ…。

絶対に避けなければ。


「よし……」


俺は決意して、彼女の腕を解いた。

それはあっさりと解けて、それと同時に足も彼女の方から離れていく。


彼女の体制が上を向くと、もちろん顔も天井を向いた。

俺は上半身を起こして、彼女の顔を覗き込む。

相変わらずキレーな顔だな。


姉ちゃんのワンピースに身を包んだ彼女…シュリ。

生きてる、んだよな…。

昨日と同じように頬に手を当てると、氷のように冷たかった。


「あっ…」


その瞬間、彼女の瞼が持ち上がる。


まるで、時がとまったようだった。

息をするのも忘れ、思わず目を見開く。


シュリの瞳は暗いグレーのような、それでいて透き通るような不思議な色だった。

それなのに、まるで宝石が散りばめられているかのように光が差している。

なんでそこに俺が映っているのか、わからないくらいだ。


「あ、……おかえり」


なんでだよ。

「おはよう」だろそこは。


咄嗟に出た言葉は、本当に咄嗟と言うしかないもので。

別に出かけてないし帰ってきてもないのに、なぜか口をついた。

しいて言うなら、長い眠りからおかえり?

…いや、無理があるよな。


自分の言葉に困惑している俺に、シュリが目を細めた。


「……だ……い………」


全然聞き取れなかったけど、たぶん「ただいま」って言ってくれたんだろう。


寝起きの女の子に気を遣わせてどうすんだ。

「だから彼女できないんだよ」なんて言ってくる友達の顔が目に浮かぶ。

なんで今あいつが浮かぶんだ…。


とりあえず二人で起きたことだし、俺はシュリを抱えてリビングまで下りた。

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