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ファンタジークエスト  作者: 里山
三章 はじまりは唐突に

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39/52

くえすと35 変な人しか出てこない

地の文章なんて飾りです

偉い人が書いてればいいんです

 お隣さんからの襲撃に備えてプレイヤーが集結していた金印島 (リアルで言うとこの志賀島)に到着したのは襲撃予想日の三日前だった、もぐもぐ。

 私達が着いた時には既に大半のメンバーが揃っていて守備陣営の配置割り振りなどが行われたりその割り振り時に参考にする為の実力を見る簡単な試合が行われておりその周辺は屋台など飲食店も店を出しているためさながらお祭り会場のような雰囲気に包まれていた、ずずずず、プハァー。

「おいこら、何故に着いて早々お前は食って飲んでしちゃってるの?」

「ふ、そこに屋台があるからよ」

 遠い目をしながら私が囁くように言う。

「……もういいお前は黙って食ってろ」

 よし、お許しが出たので次は黙ってアレを食べよう。そんな感じで目隠し装備の私が店主に訝しがられながら屋台を物色する中もう一人の目隠し装備のシオンとその横で委員長チックな出で立ちのラピスがキョロキョロと辺りを見回した後。

「ほら、あそこじゃない? 受付所」

「そのようね、行ってみましょう」

 そんな会話をしていた。ふむ何やら移動のようだな、私はトテトテと今買ったアメリカンドックのようなものを握りしめ皆の後を追う。

「すみません、受付お願いします」

 やっとこさ追いついた私はそんなイノリさんの声を聞きながらもきゅもきゅとアメリカンなドックを頬張る……しかし何でこれはアメリカンドックっていうんだろ? と考えていると。

「それでは皆さんの実力を軽く見ますので簡単なテストをお願いします、魔術師と弓の方は少し離れたあちらでテストを受けて下さい」

 もぐもぐ、テストとなっ! と言うかちゃんと弓も実力を見てくれるんだ。ん、って事は他にも弓いるのかな? とあたりを見回してみるが弓を背負ったプレイヤーは見えない。むぅ、もぐもぐ、ごきゅん。

「じゃあ各人サクッと終わらせてくるか」

 ふ~んと唸った後アックスがそんな声を上げると。

「あ、すみませんアックスさんは受けなくても大丈夫です」

 何やらそんなことを告げられている。

「え、なんで?」

 不思議がりながらアックスが尋ねると。

「こちらのリストに載っていますので」

「なんのリスト?」

「えっと口で説明するのが難しいのでぽちっと、これで見えますか?」

 そう言うと自分のウインドウを可視化してアックスに見せてきた。

「“受付に来たらさっさと本部に来いと伝えるリスト”……」

「と言うわけですのでなるべく早く本部の方にお願いします」

「お、おう、大変だな受付も、てな訳でお前らサクッと行ってこーい、俺はここで待ってるよ」

「先に本部に行ってきてはどうですか?」

「やだよ一人で行くなんて……絶対メンドクサイし」

「じゃあ手早く済ませてくるから貴方はここで待ってなさいな」

「おーラピスもシオンも頑張れよー」

「はいはい、わたし達は向こうね、行くわよリリィ。アックスちょっとクリスとここにいて」

 ふむ、私には応援はないのかぁとか思ってる内にシオンに連れられてやってきたのは砂浜に的がぽつんと置かれた場所だった。

「私はここっぽいね、シオンどうするすぐ終わりそうだけど見てく?」

「そうね、ちょっと見ていくわ」

 そんな事を話しつつ受付までやってくると。

「こんにちは、アーチャーの方ですね、それではあちらに的が在りますので」

「は~い、よいしょっと、てりゃ」

 適当に狙って百メートルほど離れた的に向かってぱしゅっと通常攻撃を放つと、パカーンといい音を立てて的が割れる。うむ良い感じ。

「あたったよー」

「…え?」

「え? 何か間違っちゃったかなシオン」

「多分あの線から射てって事だと思うわよ」

 そう言って五〇メートルほど先にある線を指さすシオン。

「おおう……そなのか」

「え、いや大丈夫ですよ、ここから当たるならそれはそれで…」

「次は何をやればいいのかな?」

 とテストの先を促すと。

「あ、えっとあそこの丘におっきなテントがあるの見えますか?」

「ホントだおっきいね」

 一キロくらい離れた小高い丘に一〇人くらい入れそうなテントがうっすら見える。

「アレに今度は当てて下さいただ今度はサテライト「ほいほい、てりゃー」アローでって通常攻撃で当たる訳が」

 一キロくらいなら何とかなりそうかなと狙って矢を放つ、しかし丘の上のテントなのでここから見ると前方投影面積が少なく当てづらい、流石テストだな! そう思って数秒眺めてるとグシャっと倒れるテントが見える。

「おー当たった当たった風があるから外れるかと思ったよ~通常攻撃だと補正があんまりかからないから難しいね流石テストだ新しい弓じゃなかったらヤバかったかも」

 そんな感想を述べる私の肩に手が置かれシオンが呆れた声をかけてきた。

「どうやら今のはサテライトアローを使うようよ」

「え? そうなの? 道理で難しいと思った」

 そんな私達の会話を聞いた係の人が。

「えっと、当たればいいので別にそれはいいんですけど……普通通常攻撃で当たらないと思うのですけど」

「それは簡単よこの子は普通じゃないから」

「そうそう私は特別な「変態だから」って酷いなシオン…」

 そんな私達を不思議な目で見つつ何やらポチポチと入力していた係の人が。

「えっと、取り敢えず採点終わりましたのでしばらく後にメッセージが届くと思います。ですがアーチャーの方は大体配置は決まってますので直ぐに届くかもしれません」

「ほほう、そうなのか、まあいいや、じゃあ次はシオンの番だね魔術師の会場はっと」

「魔術師でしたらあちらですね」

 と指さされたのは二〇〇メートルほど離れた浜辺だった、なるほど偶に聞こえていた音は魔法の発動音だったのか。

「それじゃあ行くわよ」

 そう言って歩き出すシオンの後をテクテクと付いて行く。その後ろでは。

「弓って凄いんだなぁ」

 と言う声が上がったが私の耳には聞えなかった。






「何で魔術師のテストに格闘戦があるの?」

 そんな不満気な声を上げる私の横で。

「へぇ~楽しそうだなぁ」

 などとのんきな声を上げるリリィ。

「楽しくないわよ!」

「まあ気楽にやってきなよ、一杯練習してたじゃん」

「……まあ練習はしたけど」

 太宰府での模擬戦以来私は暇があれば皆に色々と教わり対戦を繰り返していたがまともに勝てた事はない。う~気が進まないなぁでも頑張るってあの時決めたんだ。そんな決心を固め目隠しを取る――この目隠し視界や魔法の妨げには成らないが物理攻撃や回避に於いて若干のデバフがかかっているようで外すと若干当てやすくなったり避けやすくなったりする。

「じゃあお願いします」

 そう言ってテストの開始を頼んだ私の周りでは。

「あれ? どっかで見たことが?」

「ん~だれだっけ?」

「あれって詩音ちゃんじゃないの?」

「あ、ホントだ詩音ちゃんだ」

「そう言えばこのゲームやってるってっ聞いたことがある」

「いいなぁ俺も戦いたいなぁ」

 そんな声が聞こえてくるが私の思考はそんな声を排除して目前に立つ試験官の両手剣使いに向いている。


「ふん、アイドルかなんか知らんが手加減はせんぞっ!」

「望むところよ!〈サンダー〉」

 そんな言葉を吐きながら開始の合図とともに踏み込んでくる剣士に牽制を込めた魔法を放つ。バチバチっと私が放った煌めく雷光を剣士は発動前に読んでサイドステップで躱し更にそこから。

「〈ソニッククラッシュ!〉」

 アックスもよく使う突進技を放ってくるがアックスよりも遅く、もちろんイノリの攻撃とは比べるまでもなく遅い。だけど私の身体能力じゃ躱しきれない。だから私は一息で発動出来るこの呪文のレベルを上げまくっている。

「〈ウインドボム!〉」

 名前の通り設置型の風爆弾を私と剣士の間に出現させ剣士を突っ込ませる。それによって発動した文字道理の爆風が私と剣士を吹き飛ばす。

「うおおおおぐへっ!」

 ドガシャーと浜辺の砂を削りながら転がる剣士とは違って私は転がりながらも受け身を取りつつ立ち上がり吹っ飛ばされながら唱えていたモーション無しで発動できる最強の技を高らかに発動させる。

「〈サンダースピアー!〉」

 パリっと一瞬の放電後ズシャンと剣士に極太の雷が横殴りに命中する。

「フギャッ!」

 ちょうど起き上がろうとしていた剣士はそんな悲鳴とともにポテっと倒れこみスタンしてしまうが何かのアイテムで耐性を持っているかもしれないので追撃の魔法を唱える始める。

「え…まだやるの」

「まずくね?」

「係員止めたほうがいいんじゃないのか?」

「シオンさんストーップ」

 何か周りが騒がしいが相手がまだ生きている以上気を抜けない。私の思考の中に思い出されるのはこの状況からでも逆転されて悔しい思いをした日々……取り敢えず串刺しにして動きを完全に止めて、と今まさにスキルを発動させようとしたその時。

「〈すないぷしゅ~と〉」

「〈フリージングらガッ!」

 スパンと言う軽い音が私の耳に響きゴロゴロと浜辺を転がり倒れ伏すこと数秒何やらしんと静まり返った浜辺で私のこの胸をつく痛みは……。

「恋よ」

「そんなわけないでしょっ!」

 転がった私の横にいつの間にか立って何やらいい顔でそんなことを言っていたリリィにガバっと起き上がり詰め寄る。

「いきなり何するのよ死ぬトコだったじゃない!」

「いやもう試合終わりって言ってるのにシオンがやめないからさぁ」

「え? そうなのでも相手まだ生きてるわよ?」

「ん~でも終わりって言ってたよ?」

「そうなの? ならいいわ」

 そう言いながら胸に刺さった矢を引きぬきリリィに返す、抜くときにダメージと痛みは若干あるが棘を抜く程度な感じに最近は成って来た。周りが何やら静まり返っているのが少し気になったけど、まあいいわ。コゲコゲになりつつもヨロヨロと立ち上がってくる試験管の剣士を横目に係員に歩み寄る私達二人。

「すみません次の試験は?」

「あ、はい、次はあちらで海に浮かぶ的に魔法を撃ってもらう形になります」

 ふむ、さっきの試合は微妙に消化不良だから憂さ晴らしに派手にやるかな。

「あっちですね」

 そう言っていつの間にやらまた何かを食べ始めているリリィを連れて場所を移動する。

「シオンの試験は楽しそうだねー」

 もぐもぐとたこ焼きっぽいものを食べながらそんなことを言っているリリィに呆れつつも次の試験場所についた私は試験管に促され所定の位置につかされる。

「ここからあの的に向かって大きめの魔法を打ち込んで下さい、範囲攻撃でも構いません」

「えっとあの的に当てたほうがいいのですか?」

 ゆらゆらと波間に揺れる的を指さし確認する。

「ええ、まあ当たるに越したことはないですがアレだけ揺れてると当たらないですよ?」

「でも範囲攻撃でもいいんですよね?」

「いいですけどソレでもアレに当てるのはかなり高位な魔法が必要ですよ」

 まあ当てようとするとたしかに難しそうね。さてじゃあ壊しちゃいましょうか。

「取り敢えずやってみますね」

 そう言って杖を構え詠唱を始める。

「大気に舞う水の精霊よ―――」

 詠唱を開始した私の周りをライトエフェクトが包みこみその光を引き伸ばすように追加モーションを加えながら更に詠唱を続ける私の周りはまた何やら騒がしくなっていた。

「すごい綺麗」

「何アレ、え、詩音ちゃんなの?」

「綺麗な声だな~」

「さすがトップアイドル」

「後で友だち登録させてもらおうっと」

 と、何やら声がしているがさっきの鬱憤を晴らすため私は集中して呪文を詠う。と、そこで先ほどと違うどよめきが起こり始める。

「ねえ、こんな魔法在ったっけ?」

「さぁ俺も全部知ってるわけじゃないしな」

「いや、あのライトエフェクト水と風の魔法が混ざってないか?」

「ひょっとしてアレンジスキル?」

「へ~凄いな俺初めて見るぞ」

 蒼と緑のライトエフェクトを混ぜあわせながらスキルを発動させる。

「〈アクア・ヴォルテックス!〉」

 ズビシッ! と杖で指された的の周りの波間が一瞬ライトエフェクトの光りに包まれ次の瞬間ゴヴァアアアア! と言う何とも言えない音を立てながら渦を巻きつつ水柱がそそり立っていく。まあ読んで字のごとく水の竜巻がその場に立ち上がり的を飲み込み破砕し粉砕していく。

 ゴゴゴゴゴゴゴと十数秒渦巻いた水の竜巻は効果時間が切れると同時にズシャーと波間に消えていき穏やかになった海面に的だった木片を浮かべていた。

「ふぅ、ちょっとスッキリした」

「すごいね~いつ見ても洗濯機に見えるけど」

「はいはい、洗濯機洗濯機、もうそれでいいわよ」

 最初に見せた時からずっと洗濯機と呼び続ける綿菓子装備のリリィを適当にあしらいつつ試験官に問う。

「あれは当たったことに成るのかしら」

「え、え~と命中でいいと思います」

「そうですか良かったぁアレで外れとか言われたらどうしようかと思ったわ」

 そんな私の言葉に何故か数歩後ずさりする試験官。なんだろ? まあいいわ、そろそろ他の皆も終わってるだろうしクリスの所に帰ろう。

「じゃあ結果が出たらメッセージおねがいしますね。ほら行くわよ」

「ふぇーい」

 てくてくと歩きながら、そう言えば目隠し外しても誰も声かけてこないなぁと思いならここにいる間だけでも外しておこうと思いリリィにも提案する。

「ねぇここだとあんまり声かけられないみたいだしあんたも目隠し外したら?」

「こきゅこきゅ、そう? さっき結構目立ってた気もするけど確かに声かけられないね、じゃあ私も外すかな」

 そう言ってリリィも装備メニューを操作して目隠しを取る。なにげにあの目隠しお店などで物を買ったり人と話したりする時に相手に与える印象があまり好ましく無いということがここ最近わかってきた。まあ私だって目隠しした人とあんまり話したくないし。

「おー久しぶりの裸眼だぁ……なにもかもみな懐かしい」

 何やら言ってるリリィと一緒に待ち合わせ場所にテクテクと向かう。




「で、何故プリーストの試験に格闘戦があるのかしら?」

「えっとですね、孤立した場合の戦闘能力を見るためです」

 そんな説明をしてくる係員を眼鏡越しにジトーっと見つめ溜息を吐きつつ了承する。

「はぁ、しょうがないわね。わかりました、では手早く済ませましょう」

「はい、それではあちらが対戦相手になりますので準備ができたら申告して下さい」

 そう言われて見てみると五〇メートル四方の開けた場所にぽつんと駆け出し剣士風の皮の装備を着たむさ苦しそうな男が立っている。アックスで慣れたとはいえあんまり男の人と戦うのは嫌なのだけど。

 ……まあ仕方ないわね。そんな事を考えながら開始線まで歩いて行くと相手の男が話しかけてきた。

「ほほう、これはまた可愛いお譲ちゃんだな、今度の作戦の事ほんとに知ってんのか?」

「ええ、人並には知っています」

「それでもやってくるとはいい度胸だな、じゃあお手並み拝見と行きますか」

 そんな声に私は手を上げ試合開始を促し。

「楽しませてもらうぜ」

「ええ、私も楽しませて頂戴」

 そう答えた瞬間係員の合図の魔法が炸裂し試験官がこちらに向かってダッシュしてくる。

 速いっ! 格好が筋骨隆々のむさ苦しい感じだったから攻撃力重視のSTR型かと思っていたけれどっ! とっさにトゲ付き杖を構えて防御姿勢をとるが。

「遅いっ!」

 試験官は剣も槍も届かない間合いで何も持っていない腕を振りかぶり背中で何かを掴み一気に振りぬく。アレはっ!

 パーン! と空気を切り裂く音共に私の体に叩きつけられた物は。

「鞭とはまた良い趣味ね」

「だろ?」

 そう言うと試験官改め鞭使いは威嚇するように周辺の地面をパンパンと鞭で叩き始める。

「どうするお譲ちゃん今ならやめれるぜ?」

 そんな素敵な言葉を聞き流しながら私は自分のHPと体に残った痛みを計算し後何発なら耐えられるかを弾きだすと同時に。

「あら私叩かれるのは嫌いじゃないのよ?」

 と軽く挑発をする。と。

「へ、言うねぇなら遠慮無く」

 そう言うやいなやピシッ! ピシッ! と絶え間ない鞭の乱舞が始まるが私は痛みに耐えつつ詠唱を完了したヒーリングを発動させ鞭使いを中心に試験会場を時計回りに回転する。

「おいおいくるくる回って回復するだけじゃあどうしようもないぜ? それに服が酷いことになってるけど良いのかぁ?」

 何やら言ってるがそんなことは無視して鞭の出だしと着弾地点を正確に記憶する事数十秒。

「そろそろ大事なとこが見えちゃうぜ!」

 ビシッ! そう言って私の左胸に向かって放たれる鞭を左手で当たり前のように掴む。

「え?」

「何を驚いているの? アレだけビシバシやってたら動きくらい読めるわよ」

 それにわざわざ同じ方向にずっと動いて攻撃を絞っていたのに気づかなかったのかしら。

「いや…でも普通鞭は取れないだろ?」

「あらそう? でも飛んでくる矢を取るよりは簡単な様よ。それにそんなに痛くないし」

 特訓で某北◯神拳の二指真空把をやろうとしてたなんて事は言わないでおくけど……何度額に矢を生やしたことか……。

「痛くないってお前さてはマゾだな!」

「あら失礼ね私はどちらかと言うと」

 そう言いながら左手にムチを持ったまま腰だめにトゲ付き杖を構え脳内で技名を発声する。

「Sなのよ」〈フラッシング・ペネレイト〉

 囁くように発した言葉をかき消すように加速した私の体は一瞬で鞭使いに到達し防具からでもある程度のダメージを与え鈍器と防具の効果で刺さらなかった分ノックバックが発生し倒れこむ試験管、だが如何せんSTRに全く振ってない私のスキルの攻撃力だけではHPの二割も削ってないだろう。なのでここからは。

「さぁ血祭りの時間よぉ」

 取り敢えず未だに私が鞭を握っているため使用できない――鞭の性質上一回振りかぶらないと攻撃できない――その鞭を相手の腕を攻撃して手放させる。後は。

「はい、これで貴方丸腰だけどどうします?」

 メガネの位置を直しながら倒れたままの元鞭使いにそう尋ねる。まあ位置はズレないんだけどね。

「えっと、どうしよっかなぁ……」

「この杖意外とダメージ少ないんですけど何故か痛いらしいですよ?」

「参りました」

「あら残念楽しめそうだったのに」

 そうニコやかに笑ったつもりなのに何故か怯えたような目で私を見る試験管に手を貸し立たせる。

「しかしお前すごいな普通鞭なんてつかめないぞ?」

「そう? そんなに難しくないわよ。貴方の攻撃単調だし」

「そうか? ん~言われてみると確かに単調なのかな? でもだからって痛いだろ鞭の攻撃って独特の痛みだから」

「そうね、確かに打撃系なのに火炎魔法で焼かれたような痛みもあるわね」

「だろ? なのに何で平気なんだよ」

「何でって、別に焼け死ぬ程の痛みじゃないしアレならファイヤランスが刺さったほうが痛いわよ」

「痛いわよって普通刺さんないだろそんなの」

「そうなの? わりと頻繁に刺さるのだけど……やっぱり私が避け切れないだけなのかしら」

「いやいやそうじゃなくてあんなモーション要りの詠唱呪文なんて対人戦で使ってるの見たこと無いぞ」

「つまりそれは、そんな呪文を使わせる私が駄目ってことなのかしら?」

「いやいやそれだとお前に負けた俺はどうなるんだよ」

「…駄目のダメだめ?」

「お前酷いな」

「言ったでしょSなのよ」

「俺はMに目覚めそうだよ」

「あら良かったじゃない」

「よくねーよ、はぁまあ別になんでもいいけどそろそろ俺の鞭返してくれよ」

 そう言って手を出してくるので私も手を出しこう告げた。

「じゃあ装備修復アイテムと交換ね」

「なんでだよっ!」

「貴方のせいで私の服がぼろぼろなんだけど」

 と良い感じに破けまくって下着がちらほら見えたりもう少しで更に見えたりしそうな私の服を一瞥した男は。

「まあ仕方ねーな」

 そう言って四次元ポケットからアイテムを出して手渡してくる。

「あら、こんなにくれるの?」

「あぁ、とっときな」

 何やら多めにもらった修復アイテムを取り敢えず四次元ポケットになおし。

「それじゃあ私は次の試験があるから」

「おう。っじゃねーよ! 鞭返せよ! それに次の試験もここだ!」

 折角これでアックスいじめてみようと思ったのに……今度どこかで買ってみようかしら。

「仕方ないわね。はい、これでいいかしら」

「何で俺が悪いみたいに成ってるのか全くわかね―んだけど」

「あら気のせいじゃない?」

「はいはいそ~ですか」

「それで次の試験はまだかしら?」

「あー次の試験は今減ったHPを回復させればいいだけだ、ついでに俺のもたn「いやよ面倒くさい」ほんと酷いなお前……」

「あらそう? うちのリーダーには意外と喜ばれるのだけど」

「どんだけ変態だよそいつ」

「かなりの変態かしら」

「よくそんなのと一緒に居られるな」

「裏表がないからかしら」

 そんな言葉に一瞬あっけにとられたむさ苦しい彼は。

「…ふっ、そうだなたしかにそういう奴なら大丈夫だな」

「でしょ?」

 軽く微笑みながら発した私言葉に何を思ったのか。

「お前面白いやつだな、どうだコレから飯でも食いに行かねーか?」

「何言ってるの貴方一応試験管でしょ?」

「一応って……俺の担当はあんたの試験までなんだよ、ちょうど昼飯時だしな。いい店紹介するぜ? そのリーダーとか他にも仲間がいるんなら一緒でかまわねーから」

「それってどういうお誘いなのかしら」

「まあぶっちゃけ下心がないと言えば嘘になるが、俺もクリアを目指してる一人だ強いやつとは仲良くしときたいんだよ」

「そういう事なら。そうね貴方のおごりなら」

「はっ、仕方ねぇな奢ってやるぜ」

「じゃあ仕方ないから貴方も回復してあげるわ」

 そう言って私とむさ苦しい彼を回復させて私の試験は終了し服の修復のために試験場の近くの更衣室で一度装備を外してアイテムを使って修復後また装備する。

「じゃあ行きましょうか、えっと」

「あぁ、俺はシン、シン・マツナガだ」

「……貴方今かなりの人を敵に回したわよ」

「え、なんでだ」

「その名前よ」

「これ実は本名なんだけどなんか不味いのか?」

「このゲームが終わったら検索してみるといいわ」

「そっか。じゃあ俺このゲームが終わったら名前を検索してみる……なんかフラグ建ってないかこれ」

「気のせいよ。私はラピス、ラピス・ラズリよ」

「いい名前だな髪の色とおそろいか」

「変な所に詳しいのね」

「あぁ俺美術系なんだよ」

「貴方ホントに色々と残念ね」

「……良く言われる。何でかなぁ」

 小首を傾げながらそう呟くむさ苦しいシン・マツナガを連れて私は一路集合場所を目指す。





「ここのようですね」

 前衛職の試験会場にたどり着いた私でしたが。

「多いとは思っていましたが予想以上に一杯ですね」

 二列に並んだ受付を眺めつつそんな呟きを漏らす。取り敢えず並ばなければと列に加わり数分後。

「はい、これで受付は終わりです。試験会場はあちらですね、一~二分で順番が来ると思いますのでお待ちください」

「はい」

 受付の時間より早く順番が来るんですね不思議です。そう思いつつ指定された場所までやってくると理由がわかりました。

「あと一〇秒!」

 どうやら制限時間ありの勝負のようです、しかも四つ会場があるみたいです。まあ盾系の方は攻めづらいですしね。アタッカーは制限時間内の攻撃の内容が審査されて盾系の方は守りの技術が審査されるようですね。

「次の方、えっとイノリ・カミナギさ~ん」

「はい」

「あちらの第三会場でお願いします」

「はい第三ですね」

 指定された第三会場は他の会場とは違い若干広くなっていた。コレはアレかな受付でAgi型(アジリティ型:俊敏型)と申請したからでしょうか? そんな疑問を抱えつつ試験会場の中央開始線で待つ試験管らしき人物に挨拶する。

「こんにちは、よろしくお願い致します」

「よろしく! 俺は試験官のゴウ・ドドロキだ! 漢字で書くと轟轟だ!」

 そう言われてもログが出るわけじゃないので書いてもらわないとわからないのですが……そもそも日本人じゃないとわからないような。漢字だから大陸の方もわかるのかな?

「はぁ、私はイノリ・カミナギです。えっと漢字で書くと普通に祈るに風の方の神凪です」

「ほう、日本人か!」

「ええまあ、と言うことはこちらに集まった中には他の国の方たちも多いのですか?」

「おう! 二割くらいは外からの奴らだが皆日本大好きな奴らだぜ!」

 そうなのですか……と言うことはひょっとしてあの人も来てるのかな。まあ縁があれば逢えるでしょう。

「おっと何やら時間がないようだ、さっさと始めるか!」

 受け付けの方からあとが使えてるという旨のチャットを受けたのか両腕に装備した仕込み刃を展開し構えを取りながら試合開始を促してきます。カタールですか手強そうですね。

「はい、お手柔らかにお願いします」

 こちらも背中から薙刀を取り半身に構え腰を下ろしたところで。

「はじめっ!」

 どこからともなく開始の合図がかかると同時に。タタン、ゴバッ! と加速から地を這うような思考発動のカタール系突進スキルを放ってくる。

「っ!」

 それを咄嗟にサイドステップで交わすのと同時に自己バフスキルを掛け速度を更に上げゴウさんのスキル終了ポイントに向かって思考発動でペネレイトを撃ち込む。

「せあっ!」

 初級スキルだけあってフラッシングペネレイトより遥かに遅いこの技を体をひねるだけで軽く交わしたゴウさんはカタールを一瞬で収納し。

「もらったぁ!」

 薙刀を突き出していた私の腕を取り一本背負いの要領で投げ飛ばしに来る。やはり体術スキルですか、収納できるカタールと言う時点で予想はしてました。が、意外と投げの速度が早くモーションに入る前にはどうしようもなかったので。取り敢えず薙刀を手放し。

「はっ!」

 投げに合わせて自分で飛び上がり地面に向かって投げ飛ばそうとしたゴウさんの手首を掴みクルッと体を捻って着地と同時に。

「あれ?」

 困惑しているゴウさんを手首を捻って足を払い今度は私が一本背負いの要領でそのまま天高く放り投げる。と同時に薙刀を拾い間髪入れずに。

「〈フラッシング・ペネレイト!〉」

 くるくると舞うゴウさん目掛けて私は大地を蹴る。

「せああああああああああっ!」

 ズシャっと言うなんとも言えない音を立てゴウさんの背中から胸を貫いた私はそのままひゅるひゅるべちんストンとゴウさんと一緒、と言うか薙刀が刺さったまま落ちたゴウさんの上にに着地する……何やら痛そうです。

「あ、あの大丈夫ですか?」

 降りずにそう聞いてみます。何時もの皆との特訓と同じように全力でやってしまったのですが、ひょっとして痛みに耐性がなかったら結構不味いかもと声を掛けてみたところ。

「こ、この程度、どうってことは!」

 うつ伏せに倒れたまま意外と元気そうな声でそんな返事が返ってきました。なので。

「では追撃を、抜いて刺す」

 抜いて刺します。

「さらに抜いて刺す」

 兄さんが前に言っていました「相手が男の場合は容赦するなゴキブリだと思って相手をしろ」なので容赦しません。そう言えばそれを聞いたラピスさんに「え、フリじゃないの?」と言われながら兄さんはグシャグシャにされていました。

「痛い痛いちょっと待てなんだこれハメ技か!」

 と言ってきますが別にハメ技というわけではありません。武器によってはこの状態でも攻撃出来ますし。カタールでも多分即時発動の吹き飛ばし技があるはずなのでそれを発動すれば脱出が容易のはずです。ただこの状態だと本人が一番痛いですが。そして何やら周囲の人達の声が聞こえてきます。

「いいなぁ俺も巫女さんに踏まれながら抜き差しされたい」

「俺は踏まれるだけでいいかな…」

「俺も試験管やればよかった」

 何かこのまま試合が長引くと色々不味そうなのですが。チラッと時間を確認するとあと一分強も残ってます。たしか試験の終了はタイムアップかどちらかの降参だったはず……あれ? 殺しちゃったらどうなるのかな?

「あのう、殺しちゃうと試験的にはどうなるんですか?」

「え? 多分問題ないと思うけど」

「じゃあ死んでください」

「ってちょっとまってデスペナが! 参った降参!」

「あらそうですか、では、えい」

 ゴウさんの降参の声を聞き係員が試験の終了を宣言したのでゴウさんに刺さっていた薙刀を抜き背中に戻すと。ゴウさんがよろめきながら立ち上がる。

「ふぅ酷い目にあった」

 そう言って四次元ポケットから取り出したポットを飲み始める。

「お疲れ様でした」

「おうお疲れ! ってあんたは全然疲れてないか」

「いえ、結構疲れましたよ」

「そっか、じゃあちょっとそこで休憩ついでに話さないか?」

「え、でも試験があるんじゃないんですか?」

「ん? あぁ、俺はあんたで昼飯休憩さ」

「そうですか、それでは少しくらいなら私はかまいませんよ」

 そう答える私でしたが内心ではアレだけやっちゃったのに良く話しかけくれたなぁとちょっと関心していた。それから場所を試験会場の横の屋台に移動して見た目コーラの味はレモンスカッシュな飲み物を飲みつつゴウさんの話に耳を傾ける。

「それにしてもあんた強いな」

「いえいえゴウさんこそ背中からあの技を直接受けて即死しないのは凄いですよ」

「あぁ一応俺も九〇超してるからな」

「凄いですね、ではテスター出身なのですか?」

「ん、そうなるな。あんたはテスターじゃないのか?」

「ええ一応私もテスターですけどこのキャラはサービス開始時に作りなおした奴なので」

「なるほどな、ならあの強さも納得だ。このゲームは何より経験が物を言うからな」

「そうですね、貴方もかなりの経験があるようですし。特に近接戦闘の」

「そりゃあんたもだろ、まさかあの投げが躱されるとは思わなかったぜ」

「アレは最初に貴方が武器を出して見せてくれたお陰ですよ」

「やっぱりアレでバレてたか」

「ええ“簡単に出せる”と言うことは“簡単にしまえる”ということですから。そして素手になるメリットは」

「“体術補正がかかる”って事を知ってる奴は少ないからなぁまさかこんな綺麗な巫女さんがあんなに動けるとは思わなかったな」

「中学生の時に合気道を少し」

「いやまてアレは合気道じゃないだろ」

「隣が柔道部だったんです…偶に一緒に練習していたので」

「凄いハイブリッドだな」

「ふふ、なかなか便利ですよ」

「リアルでは絶対近づきたくないな」

 そんな何気ない一言に。

「……はぁやっぱりそう思いますよね。はぁ」

「……いや別にそんなに落ち込まんでも。なんか色々あったみたいだな、まあいつか良い事あるさ!」

「そうだと良いのですけど」

「まあ気にすんな! それにしてもさっきの俺の最初の攻撃よく避けたな思考発声のあの技を受けるんじゃなくて避けたのはあんたが初めてだぜ」

「ああ、アレは私の知り合いに弓使いの方がいまして、矢が飛んでくるのを避けたりする練習していたので」

「それで避けれるように成るもんなのか、凄いなあんた。それにそこからの攻撃もまた凄いよな。あのペネレイトは硬直を嫌ってだろ?」

「ええ、そうです。あそこでもしフラッシング・ペネレイトを撃って当たったとしても硬直が解ける前に切り刻まれますから。でもゴウさんもそれに気づいて躱すと同時に投げに来たじゃないですか、あそこで切りに来てくれればカウンターでサウザンドを入れれたのですけど」

「…あんた解っちゃいたけど見かけによらず結構酷いことするよな。あの技を対人で使っちゃやばいだろ」

「そうですね、大きな一撃の痛みは一瞬我慢すればいいですけど、細かい痛みがアレだけ続くとかなり痛いみたいですね」

「痛いみたいですねって誰かにやったのか?」

「ええ」

「あんた実はリアルで人とか殺してないか?」

「そんな事してませんただの学生ですよ」

「そりゃ良かった……まあそっから後は俺の完敗だよ。俺も柔道やってたんだけどなぁ」

「ゴウさんは綺麗に投げようとして私の袖を持ってましたから」

「あ~それで逆に俺の手首を極められちゃったわけか」

「はい」

「そっか、しかし凄いなこんな奴がまだ隠れているなんてな他にもいっぱい強い奴が居るしこりゃゲームクリアもそう遠くはないかもな」

「そうですね早く終わらせたいですね……でも」

「でも?」

「意外と楽しいんですよね今のこの世界も」

「ははっ! まあな、俺達根っからのゲーム好きだしな」

「ですね」

「でもまあゲームクリアを目指すのも俺達ゲーマーの性だからな、いっちょ頑張るさってことで俺は飯食いに行くかな、あんたはどうする?」

「あ、私はギルドの皆と待ち合わせしているので」

「そっか、んじゃまたな」

「あ、良かったら私達と一緒にお昼どうですか?」

「お? そりゃあれか逆ナンってやつか!?」

「ち、違います! ゲームクリア目指している方とは情報交換とかもやっておこうっていうのがうちのギルドなんです」

「そんなに力いっぱい否定しなくても。ま、そういう事なら俺も色々聞きたいしな、おじゃまさせてもらうよ」

「はい、じゃああっちで多分皆待ってます」

 そう言って歩き出した私の横にゴウさんは並びながら話しかけてくる。

「なぁなんで多分なんだ?」

「えっと、色いろあるんです」

「大変なんだな」

「皆さん自遊人ですから」

「なるほどな。それでメンバーはどんな奴がいるんだ? 可愛い子いる?」

「えぇいますよ」

「よっしゃっ! 素敵なお食事にしよう!」

「それに皆さん私と同じくらい強くて私より容赦無いですよ」

「な……なんとも頼りになる情報だな」

 そんな会話をしながら待ち合わせ場所に向けて二人で歩きました。





 ぼへ~とクリスと一緒に仮設の街のようなこの場所を眺めながら待つこと数十分。

「たっだいま~クリス元気にしてた~?」

「クリスただいま」

「がうがう」

 リリィとシオンの二人が帰ってきた……が。

「おかえり~……なあ俺にはただいまは無いの?」

「え? 別にアックス待ってなくていいのに」

「呼ばれているんでしょ本部に」

「お前ら揃いも揃って酷いな! ってあれ? 目隠し外してるのか」

「ええ」

「そだよー」

 何やら当然とばかりに答える二人。

「そだよーって大丈夫か?」

「もう、そんなに心配しなくて大丈夫だよ、ほら特に不都合はないじゃない」

 周りを見渡しそんなことを言うリリィだけど。

「なあ、気のせいか皆お前らのこと見てなんかヒソヒソ喋ってないか?」

「気のせいよきっと。それに直接来ないならそれでいいわ」

「そういうもんなの?」

 良くわからんがシオン的には良いらしいリリィにいたってはいつも道理何も考えてないようで俺の隣で焼きそばを食べてる。

「お前はほんとによく食うな」

「ふぁっふぇ」

「飲み込んで喋れ」

「ごきゅん、だってもうお昼だよ」

「……あーうんそうだな、じゃあ皆集まったらお昼にするか」

「さんせーもぐもぐ」

「わかったわ、お昼ごはんだって」

「がうがう」

 シオンはほんとにクリスと一緒の時は幸せそうだなぁと眺めてると。

「あ、ラピス返ってきた。男の人と一緒に」

 焼きそばを平らげたリリィが指をさしつつ声を上げる。

「ほほう、それはそれは」

「面倒臭いことになりそうね」

「あれ? あいつは」

「知ってるの?」

「あぁあいつは白狼だ」

「はくろう?」

「何よその痛々しい名前は」

「いや渾名なんだけどな、本人は由来知らないけど」

「ふ~ん」

「只今帰ったわよ」

「おっかえり~」

「おかえり」

「がう」

「こんにちはお譲ちゃん達、いやーすげえなこんなに可愛いと言うかホントにプレイヤーかあんた。それにコッチの魔術師は……ひょっとして」

「いやぁ久々に言われると照れますなぁ」

 何やら変な照れ方をしているリリィとは裏腹に。

「私はシオン・ブレイブ。貴方の思っているのは間違いじゃないわよ」

 何やら若干不機嫌な返答を返すシオン。

「よう白狼、久しぶりだなっ!」

「あん? 俺をその渾名で呼ぶ奴はって何やってんだアックス」

「何って特に何もしてないかな?」

「はぁ? まあお前はそういう奴だったな。あ、ひょっとしてアックスが姉ちゃんとこのリーダーか?」

「ええ、そうよ知り合いだったのね」

「なるほどな、そりゃ姉ちゃんが一緒にいるわけだ」

「それはどういうことなのかしら? 変な意味だったら酷いわよ」

 何やら剣気な気配を漂わせるラピスの問に白狼は笑いながら答えた

「くっははは、そんな顔するなって別に変な意味じゃねーよコイツなら確かに姉ちゃんたちを大切にしてくるって事さ」

 そんな言葉に俺とリリィとシオンとクリスは小首を傾げラピスはというと。

「じゅ、充分変な意味じゃない。もう」

 何やら顔を赤くしてプンスカ怒ってらっしゃる。え、何これどうするの?

「なあ状況がよくわからんのだが、お前らなんで一緒にいるの?」

「あぁ、俺が姉ちゃんの試験官でさ、ちょっと興味湧いたから飯でも食おうって話になって、そしたら皆と一緒で奢ってくれるならってことに成ってな」

「ほう、タダ飯とな」

 何やらキメ顔でいつも道理の残念な言葉を発するリリィ。すると超絶美少女エルフ娘が凄く残念なセリフを吐くという余り見たことのない光景に一瞬白狼が固まり。

「おいアックス、この綺麗なエルフっぽい子はバグかなんかのNPCなのか? それともただの残念な美少女か?」

「あ~後者だ」

「なにそれ酷いなアックス」

「じゃあもうちょっと頑張れよ! 一応白狼だって初対面だろ? あの猫かぶりお淑やかモードはどこ行ったんだよ」

「あの子は遠いところに行ったわ」

 遠い目をしつついつも道理なアホな返事をするリリィとそれに。

「訳がわからないわね」

「ただ面倒くさくなっただけでしょ」

 ツッコミを入れるシオンとラピスだった。それを楽しそうに眺めた後白狼がこれまた楽しそうに。

「お前は相変わらずだな。でも良かったよまたギルドを作る気に成ってくれて」

「まあ成り行き上な。そんなことより他の奴らも来てるのか?」

「あぁ来てるぜ。まあ多分会えるんじゃねーか? 何だかんだで目立つからお前ら」

「やっぱりお前もそう思うか」

 そんな俺達の会話を横で聞きつつ何やらヒソヒソと離す目立つ原因の女子高生三人組がいたがよく聞こえないので内容がわからなかった。

「まあ、しばらくすれば慣れるだろ」

「だな。それにお前が付いてるなら安心だ」

「ひょっとしてお前心配でついてきたのか?」

「まさか。俺その姉ちゃんにボコボコにされたんだぜ?」

「そうなの? あ~どうせまた手~抜いたんだろ?」

「いやいやそんなこと無いぜ。それに対人戦なんてこんなに成ってからじゃないとほとんどやってないだろ? だからまだ慣れてないんだよなぁ。それに引き換えこの姉ちゃんは凄いな」

「ふ、まあ俺の教えがいいからな」

 そうドヤ顔で答える俺にラピスはいつも道理キツイ一言でもくれると思いきや。

「そうね。本当にそう思うわ」

 え、何急にラピスさんどうしました、急にデレましたか? と怪訝な顔を向けると。

「良いサンドバックだったわ」

「楽しそうだなアックス」

「ハハハハ、代わってやろうか?」

「良い遠慮しておく。それに俺じゃあ無理だよ」

 何やらラピスをチラッと見た後そんなセリフを吐く白狼とその視線に気づいて、ふんっとソッポを向くラピス。おう以心伝心?

「お? 何やら二人は仲良し?」

「死にたいの?」

「おかしいな俺今そんな酷いこと言った?」

「乙女心はなんとやらだな」

「おいお前ホントに白狼か?」

「さらっと酷い事言うな、多分そうだよ。ってか何でお前らその渾名で呼ぶんだよいい加減理由教えろよ」

「やだ」

「はいはいそうですか、ゲームが終わったら検索するよ」

「良いフラグ建てだな!」

 そんな言葉に。

「さっきも言われた」

 なるほどなとラピスを見ると何やら俺の後ろを見て小首をかしげ。

「あらイノリさんも男連れね」

 などとのたまった。

「あんですとおおっ! どこの誰…だ? って何してんのゴウ」

「あれ? ようっ! アックス! 久しぶりっ!」

 そこにはまた懐かしいゴウ・トドロキの顔があったがそれはさておき。

「ゴウ! 妹と付き合いたいのなら俺を倒していけ!」

 腰から刀を抜き構える俺と。

「え、妹? えっと」

 困惑するゴウとその横で。

「あははは……妹です」

 呆れながらそんなことを言う我が妹が居た。


何でアメリカンドッグなんですかね?


それとイノリの言うあの人(海兵さん)は今のとこ出番はありません!


今週は風邪で更新はやめようかなぁと思ってたんですが修正が間に合ってるところまででいい感じの量があったのでとりあえず更新してみましたん。

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