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ファンタジークエスト  作者: 里山
二章 そして三ヶ月後また彼女は出会う

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17/52

くえすと14 雨に打たれて

 暗転した世界から抜け出るように目を開ける……。

「う~~~~っにゃ~」

 背伸びをしてコリをほぐす、まあコッチでは肩がこったりはしないのだけど気分というものは大事なのだよ諸君。

「アックスは~まだ来てないのか」

 PT機能とお友達機能でアックスの状況を確認するがまだログインをしている様子はない。さてどうしようかと思い小屋の外を除くと。

「雨か……」

 いや正確には嵐の様相を呈していた、さっきから何やらゴゴゴゴゴと響いていると思ったら風の唸る音のようだ。ほんと凄いなこの世界は。などと感心してると目の前に光が集まりだす。

「お、やっときたか」

「ふう、おうお待たせ」

「おまたせじゃないわよ、何でそんなに時間かかるのよ?」

「男には色々と準備がいるんだよ」

「それ女の子のセリフじゃないの普通」

「ふ、イケてる男も言うんだぜ」

「だから彼女できないのよ」

「お前だって彼氏いないじゃないか」

「別に私は彼氏なんかいらないわよ」

「ふ~んいらないのか、そっか」

「何変に納得してるのよ気持ち悪い」

「まあソレは良いとしてどうする? 何か嵐っぽいけど」

 そうなのだ、この嵐では観光もとい冒険の旅に出られないではないか……うむむむっと悩んでる私に何やら色々とメニューを出して情報を見たりしていたアックスは。

「これ台風みたいだな。ん~ならアレ行ってみるか?」

 などと聞いてきたけど。

「アレって何んなのよ?」

 アレじゃわかんない。

「台風の目だよ、条件限定イベントで台風の目の中だけに出現するレアモンスターがいるんだ。って言っても台風が出てる間ずっと湧き続けるからそんなにレアじゃないんだけどな。それ倒しに行くか? 結構強いけど」

 へ~そんなの居るのか楽しそうだな。でも強いのか――うーむゲームを始めて既に二ヶ月、レベルは三〇を超えたのだがソレでどうにかなるのだろうか? アックスのLvが確か今六八らしいが多分コイツは手伝ってくれなさそうだ、と言うより下手に手伝うと私が怒り出すのだけどね。だってそれだと私楽しく無いじゃん! ちなみにいま現在のLvキャップは七〇だ一体アックスはいつLv上げをしてるんだろう? 一緒に住むようになってからは大体私と一緒にあっちこっち行ってるからそんな時間無いと思うのだけどなぁ。ちょっと前に「どうやったらそんなにレベル上がるのよ」って聞いたら「え?知りたいの?ホントに?聞いちゃう?」と言われたのでイラッと来たから「もういいわよ私は自分で頑張るからっ!」って言ったらなんかすっごいいい笑顔された事があった。何なんだコイツはホントに――取り敢えず。

「でも私のレベルで倒せるの?」

 そんな当たり前の質問をすると。

「あ~大丈夫、多分だけど他にもそいつを倒そうとして何人かは人が来ると思うからそいつらと一緒にボコれば楽勝……だと思う」

 おい、今なんか間があったぞ? とジト目で見つめると。

「いや実は正式サービス始まってからはまだ戦ったこと無いからさどうなってるのか解らないんだ」

「でも情報は出てるんじゃないの?」

「ん~それが上位プレイヤー達は大体テスト出身者が多いからもう狩り飽きてて狩りに行ってなくて、かと言ってお前くらいの奴らだとかなりの強敵っぽい感じの情報しか載ってない、それに台風が出てる間だけだから意外と出会うチャンスも少ないんだよ」

「でもあんた今上位プレイヤーは狩り飽きてるって」

「あ~うん、テストの時は色んな不可を試すためか晴れの日のほうが少なかったんだよ、ほとんどが雨か雪かって感じだな、だから台風なんてだいたいどっかで発生してたからアイテム集めに大人数でボッコボッコにしたりしてたな」

「なにそれいじめ良くない」

 こいつらは一体何してたんだろうなぁでも待てよ?

「ねぇ、その時の人たちとは最近連絡とってないの?」

 何気ない質問をしたつもりだったが一瞬アックスの表情がこわばったのを私は見逃さなかった。

「何かあったの?」

「いや、特に何もなかったよ、何も。ただそう言う戦い方やゲームの進め方が何となく嫌になっただけだ」

「どういう事よ」

「じゃあお前はそういう狩り方ばっかりしてて面白いか?」

「う~ん偶にならいいけどいっつもそんな狩り方してたら楽しくはないかなぁ」

 やっぱりファンタジーは少ない人数で強大な敵に挑んだりするのがいいと思うんだ! そして辛くも勝利する的な!

「だろ? だからちょっと疎遠になっちゃってな、まあ必要になったら連絡でも取ってみるけどな」

 ふ~ん、コイツにも色々あったんだなぁ。



 そんなこんなで出発しようと外に出た瞬間に。

「おうちかえるううううううううううううううううう」

 そう叫んでいる私がいた……だってもうヤバイって! 何がヤバイかって? 風がヤバイもうほんとにやばい! 現実だとビルとか建物が若干干渉材になっているからなのか人のいる高さだと風の強さはせいぜい風速二十メートルとかだと思うのだけど、この風はきっとあれだ箱舟が共鳴しちゃうレベルだ! そんな訳だから後は正義の味方に任せて私はおうちに帰ろうと思います! そう心のなかで決心して引き返そうとした時。

「え、何引き返そうとしてるの? あーそっか諦めちゃうんだ、ふーん」

 などとのたまう奴が居た。がっでむ! ちくしょう! さのばびっっち! と悪態をつきまくり。

「行けばいいんでしょいけば! でもこの風ヤバイってレイバーが暴走しちゃうって!」

「ん、いやもう六十メートル超えてるからレイバーは暴走しちゃってるよ」

 うわん、もうシゲさんが驚くレベルをあっさり超えてた! そういやアックスもシゲさんだった! 今気づいたよ! びしっとあっくすをゆびさし。

「りりぃおぼえうひょおおおとばされりゅうううううう」

「お前は何やってるんだ?」

 出発してからまだ数分も経っていないのに息も絶え絶えな私をよそにアックスは平然としている……これは何かあるに違いないと。

「アックス! 何であんたは平気なのよっ!!」

 問い詰めた。

「レベル高いからな俺、それに俺のほうが装備重量あるし」

 一刀両断だったまさにエルディカイザー! かっこいいよね! でもガスが好き! といつも道理に逃避してると。

「ほれ」

 目の前に手が出てきた。

「……? わん」

 お手をしてみた。

「よいしょっと」

 その手を起点に体制を崩され足をすくわれ、お姫様抱っこされてた……。

「どういう事でしょうか?」

「ん、おんぶに飽きたんで……でもこれ意外と恥ずかしいな」

 などと言っているアックスの顔をポクっと軽く叩き。

「あんたが恥ずかしがったらこっちまで恥ずかしいでしょ」

 むすっとしながらそう呟いた言葉が聞こえたのかどうかは分からないが。

「んじゃ行くぞ」

「うひゃぁあ」

 はやいはやい、てか雨が痛い痛い痛いでも楽しい! 崖を飛び越え谷から落ち森を抜け丘を越えたところで。

「あっ」

 というアックスの言葉とともにフワッと体が浮きスローモーションのようにアックスと私は地面にたたきつけられ。

「ぎょわああああああああああああああああにょおおおおおおおお」

 ごろんごろんごろん(以下略

 どれだけ回ったというか転がりまわったかわからないが、ズシャァァァァーーー! と泥の中に埋まる私……えっと何? と顔を上げると少し離れた沼に沈んでいくアックスが見えた。まあアレはほっとこう。

「よっこいしょっと」

 立ち上がりステータスをチェックする。

「よし五体満足、武器も大丈夫、持ち物もオッケー、ステータスもヒットポイントが半分減ってるくらいだなっと」

 ゴソゴソと通称【四次元ポケット】から【レッドポーション】を取り出しコキュコキュと飲みつつ沈みゆくアックスに近寄ろうとしたけど沼の手前で立ち止まる。

「うーん、この沼私が入っても大丈夫なのかな?」

 リアルの沼ならばアックスより体重の軽い私が入っても少なくてもアックスよりは先には沈まないだろう。だけどここはゲーム世界ひょっとしたら何かしろのデバフ効果がある沼だったら鈍足とかひょっとしたら毒とか麻痺とかそれに沼特有の強いモンスターがいるかもしれない。アックスなら余裕で耐えれそうなそういった物でも私だと良くて瀕死悪くて即死になりかねない。なので。

[へろーへろーアックス君生きていたら返事をしたまへ]

 PTチャットで様子を伺う。

[んお、なんか暗いぞ? なんだこれ?]

[おお生きていたか相棒よ]

 まあ死んで無いのはPTステータス見ればわかるんだけどな。

[何がどうなってる?]

[犬神家的な感じ?]

 それで状況を察したのか、かろうじて見えているひざ下がワキワキと動くがどうしようもないっぽい、ステータスを見るとHPが残り8割ほどになっていて今もじわじわ減っていっている。ふむっとHPバーの下を見てみると窒息と鈍足のマークが付いている、鈍足ではHPは減らないので窒息の方かぁと指差し。

「りりぃおぼえた」

 とやっていると。

[あのリリィさん助けては貰えないのでしょうか?]

 なんか土左衛門が言っていくる。

[あんたが無理なのを私にどうしろと]

 そう言いながら雨によって泥が落とされていく服をみる、うむ、もう少しで綺麗になるな。

[さいですか、じゃあ自力でどうにかするかなぁ。よっと、もすこし、とどけ、とどーーーいたっ!]

 何をやってるんだ何を、と服の汚れを落としながらボケーッと沈みゆく足先を眺めている私の目の前で沼が弾けた。

 ドッバアアアアアアアアアアアアアっと巻き上がる泥どろドロ………そしてソレはシステムに計算された重力によって舞い落ちる。

 ズシャアアアアアアアアアアアアアアアアっと私をふっ飛ばしながら……

 ゴロゴロと数回転がって仰向けに寝転んだところで止まった私の目に空から振って来る人影が映る……

「いやっほおおおおおおおおおおお」

 ズドン! という音とともに私の足元に着地したアックスが何やら言っている。

「ふう、さすが俺様! 低レベルにはできない事を平然とやってのけるッそこにシビれる! あこがれるゥ!」

 ビシっとポーズを付けてこちらに向き直りまた何やら言っている、あぁ雨が気持ちいい。

「何してんのん? パンツ見えてるよ? あーもうこんな汚したらせっかくのパンチラが勿体無いなぁ」

 ほうほう言いたいことはそれだけかとむくりと起き上がり背中から弓を取り流れるような動作で矢を番え引き絞る。狙うは目の前のゴミ、放つは最近おぼえたスキルその名も。

〈バーストアロー!〉放たれた矢が目の前のゴミに炸裂したその瞬間、爆発が起きそのすべての威力は指向性を持って進行方向へのみ発揮される、つまり。

「うぎょおおおおおおおおおおおおおお」

 グシャずぶぶぶぶぶ。と再び沼に落ちたゴミを一瞥し雨の降る中私は歩き出した。

 

 

「おーい、まってーおいてかないでー」

 何やら声が聞こえた。はぁ、一息ついて振り返る。

「なに?」

「なんか良くわかんないけどごめんなさい俺が悪かったです、今度からはパンチラに文句は言いません汚くてもパンチラはパンチラですありがとうございます」

 などと良くわからないことを仰る馬鹿がいた。

「あのさぁ、人のパンツを汚い汚いってあんたが汚したんでしょ!」

 その非難の言葉に。

「俺が汚したお前のパンツ! なんだこの卑猥な響きは!」

 ダメだこいつホントに一緒に住んでいて大丈夫なのだろうか? と真剣に悩んでいると。

「いや冗談だよ? 流石にそこまで変態とは……言い切れない気もするけど」

「言い切ってよ上辺だけでも言い切ってよもうっ! あんたまさか私の下着とか漁ってないでしょうねあっちで!」

「ふ、お前は何もわかっていないっ! 俺はパンチラが好きなんであって別にパンツが好きなのではない! 嫌いじゃないけどな! いやむしろ好きだ!「どっちなのよこの変態!!」ごめんなさい」

 はぁ、まあ大丈夫だとは思うが今度ちゃんと数を数えてみよう……って溜息ついてばっかりだなぁ。はぁ。

「大体パンツなんて妹ので見飽きてるしな」

 何やら寂しそうな顔で言われた……あ~留学してるんだっけ妹さん、他に家族いないって言ってたし寂しいのかなやっぱり。何なら私のこと妹みたいに思ってもらってもいいのにな。

「とりあえずパンツはもういいからどっちに行けばいいのよ」

「ん、あぁそうだなっと」

 アックスがメニューを開いて色々と調べてるようなので私はボケーッとさっき着いた泥を再度落とそうと雨にうたれまくる……その時。

「ふぎゃああ」

 いきなり私のフードをアックスがおもいっきり被せてきた。

「っ! ちょっといきなり何する「誰か来る」え?」

 何やら真剣な声で言うアックスに気圧されるようにフードを目深に被る、基本的にプレイヤー同士で戦うことのできないこのゲームなのだが私の場合はあんまり他の人に顔を見られるとPKよりももっと面倒くさそうなストーカーに悩まされる可能性があることが非常に難点なのだ。ふ、可愛いって罪よね。

「どこ?」

「東の方からだ」

 索敵スキルを発動して視界の隅のマップを確認するとこちらに向かってくるプレイヤーのマーカーが見える。速いなぁ少なくてもLvは私と一緒かそれ以上かな。まっすぐこっちに向かってきているってことは目的は私達か、なんだろこんな所で、そこまで考えた時にはもう視界に実像を捉えていたスキルを使いじっと見るLvは35装備は……槍、いや薙刀かな。アックスが一歩前に出て私をかばうような形になる。ほんとに何で彼女できないんだろうねコイツ。そして来訪者は訪れた。

 バシャバシャバシャと音を立てて走ってきたプレイヤーは赤と白の紅白のツートンカラーの和装。要するに巫女さんルックだった。髪は丁度現実の私のように黒くそして胸元まであるストレートで俗に言うお姫様カットに近い感じにしていて……そして胸が素晴らしい。女の私が見ても理想的だといえる大きさだ、巫女服の起伏を素晴らしく表現しつつそれでいて下品ではない大きさ! まさにパーフェクト。しかも雨で巫女服が体に張り付いてエロい! だけど髪の毛も張り付いて若干不気味な気もするがそれを打ち消すような色っぽさだ。何だコイツは敵か敵だな! うん、そうだ敵だ敵に違いない! と私の乙女回路がショート寸前でスカウターがまじでヤバイ! などと勝手に敵認定している私をよそにアックスと巫女さんの話が始まっていた。

「こんばんはかな?」

「こんばんはですね」

「どうしたんですかこんなところで?」

「え~とですね、お昼ぐらいに港について熊本方面に向かっていたのですが、この台風に会ってしまいましてどうせならモンスターを倒しにと思ったのですが一人では心細いのでどなたかいないかと探していたのです」

 視線でひょっとして目的が一緒じゃないですか? 的なアイコンタクトを送ってきた相手に。

「ええ構いませんよ。でも俺は御守というか保護者というか今日はこいつを戦わせようと思っているのであまり役に立つかはわからないですよ?」

 むぅ、はっきり言われるとアレだけどたしかに見たこともない敵相手にどうにかなるとは私も思ってないのでツッコまないでおく。

「はい、それで構いません。見てわかる様に私は近接なので遠距離の方がいらっしゃったほうがいいと思いますし……ですが弓ですか」

 む! 何やら今ちょっと残念な顔をされたよ! これは怒っていいのかな、とアックスを見やると、アックスはクスっと笑って。

「そう思うのは仕方ないですよ俺もまともな弓使いなんて見た事無いですから」

 あんですと! 背中に飛び蹴りでも入れてやろうとモーションに入った私の耳に。

「でもコイツは凄いですよ俺が保証します」

 そう言い切る声が聞こえた……飛び蹴りモーションを屈伸に変えつつ、ほほうアックスさんや明日の晩御飯はお母さんに言ってステーキでも作って貰いましょうかねぇ、と考えていると。

「成る程それでは信じてみます日本のプレイヤーの実力期待しています」

 と、何やら気になるセリフを吐く巫女さん。

「え、日本の方ではないのですか?」

 こちらでは久しぶりの猫かぶりモードで話に加わる私に多少驚きつつアックスも。

「そう言えば港についたって、どちらから来られたのですか?」

「アメリカです、ゲームを始めたのがあっちだったので向こうにキャラが作成されてしまったのですが今度しばらく日本に戻ることになりまして、なのででキャラも日本にと思いまして」

 へ~他の国にも行けるんだすっごーい、今度連れてってもらおうかな、ん? まてよ。

「あの、船で時間はどれくらいかかるのですか」

「えっとだいたいコッチの時間で一週間くらいですかね」

 一週間てーとリアルで一日ちょっとか……長いな。でも船旅かぁ楽しそうではあるな。そう思いアックスの服の裾を引っ張りながらフードのままじっと見つめると、はいはいわかったわかったと言わんばかりにぽむぽむと頭を叩かれる、うむ流石は相棒物分りがいいな、と視線を巫女さんに戻すと凄い穏やかな瞳で見られていた…なんぞ?

「どうかしましたか?」

 アックスも気づいたのか巫女さんにそう問いかける。

「いえ、私にもそうしてくれる兄がいたのですが…今は疎遠になってしまって」

「そうでしたか」

 なん……だと? 妹キャラだと! なんかヤバイぞ私のピンチセンサーがビンビンだぞ! ここはさくっと話を進めよう。

「まあ取り敢えずは台風の目を目指しませんか?」

 よし、かなり強引に軌道修正した感は否めないが当初の目的なのできっと大丈夫!

「ん? あぁ、そうだなもうすぐそこだし取り敢えず行きますか」

「そうですね、あの、良ければそちらのパーティに入れてもらえないでしょうか?」

 どうせアックスの事だこんな素敵なおっぱい即OKなんでしょ、と思っていると。

「ちょっと時間良いですか? こいつと相談しますんで」

 え、なんで? そう思いアックスを見ると、こっちを向くや否や私の手を取り巫女さんから距離を取る…どうしたんだ一体。

「んで、どうする?」

「どうするって、え、私が決めるの?」

「パーティって事はそのフードを取ろうとしたら取れちゃうだろ? それに触ろうとしたらさわれるし…」

「う~ん、別にいいんじゃないの? 女の人だし、それより私はあんたが変な事しないかの方が心配なんだけど」

「女だから安全ってわけでもないんだけどな……まあ俺も一緒だし何とかなるか、あと俺は誰彼構わず変な事はしないぞ」

 と言い残し巫女さんの元へと戻るアックスの後ろ姿を眺めつつ。

「どういう意味?」

 と、雨に打たれながら首を傾げる私が居た。

 考えてもわからなかったのでゆっくりとアックス達の元に戻るとPT登録が終わったのか握手を交わして居た。

「改めてよろしく、俺はアックス、こっちはリリィだ」

 促されるまま私も握手する。

「よろしくお願いします、リリィ・ブルームです」

「こちらこそよろしくお願いします。私はイノリ・カミナギです、あのそれで一つお聞きしたいのですが」

 ん? っと二人で顔を見合わせどうぞの意味合いを込め二人で巫女さんに向き直る。

「お二人は恋人なのですか?」

 そんな問に反射的に即答する私達。

「お財布」

「保護者」

「誰が保護者よ誰がっ!」

「誰がどう見ても俺が保護者だろっ! ってかお財布ってなんだよお財布って!」

「じゃあ下僕で良いわよ」

「何が良いんだよ!」

「通報するわよ?」

「犬と呼んでください」

「と言うわけでご主人様とワンコです」

「えっと……やっぱり他の人を探すので「何を今更旅は道連れっていうじゃないですか」……はぁ、わかりました。でしたらもう一つだけいいですか?」

 そう言うカミナギさんにどうぞどうぞと促す。

「そのフードはずっと被ったままなのでしょうか? 確かフードを被ったままだと命中率が下がるんですよね?」

「え、そうだったのか道理で被ってる時は何か当たらない時があると思った…てかアックス! あんた知ってたわね」

「何の事でしょうご主人様私めはそんな事全く知りませんでしたよ?」

「こいついつか泣かせてやる」

「あの…リリィさん」

 何やら怯えた様子でこちらを伺う巫女さん改めカミナギさん。どうしたのかな?

「先程までとまるで中の人が違うような…」

「あ~気にしないでください「そーです気にしないでくださいこのガサツな方が素ですから」黙れ変態通報するぞ!」

 黙った変態を睨み付け、まあフードの効果で口しか見えないのだけど、カミナギさんに向き直ると。

「いい情報をありがとうございます、今まで謎だった“絶対当たってたのに何で外れるんだこん畜生”の答えが見つかりました」

 そんな感謝の言葉を伝えてる私の横から。

「まあその効果よりもこいつの場合はこれを被ってる理由があるんだけどどする?」

 私に振ってくるか! まあ私の問題だしな。

「んー、まあ女の人だし大丈夫でしょ、よいしょっと」

 フードを外して出てきたポニテをべちょっとたらしながら素顔を晒す、ふむ冷たい。

「ほらほらアックス考えすぎだってヴぁぁぁぁぁ「この子下さいっっ!」えぇぇぇぇ何だってぇぇぇ」

 いきなりハグされたって言うかおっぱいがおっぱいがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。と懸命にホールドを解こうともがく私の相棒はと言うと。

「良いなぁリリィ~俺と代わって~」

 などと指を咥えて眺めていた。

「助けなさいよあんた相棒でしょっ!」

 必死に助けを求めると。

「はっ! 成る程助ける振りしておっぱいを揉めと言う事かっ! さすが俺の相棒完璧な作戦だぜっ!!」

「もうお前喋るなこの変態っ!!!」

 くそうっ! 私には味方がいないのか……この孤立無援の戦況を打破するには……だめだっ! まったく思い浮ばない。そんな感じに身長がカミナギさんとほぼ一緒の私は頬ずりされながら途方にくれているとフードの付け根辺りをむんずとつかまれカミナギさんのホールドから引っこ抜かれる。

「カミナギさん気持ちは何となく解らないでもないですがそろそろ行かないと台風行っちゃいますよ?」

 と私を高々と片手でぶら下げながらアックスが言うが問われたカミナギさんは私の腰にぶら下がりながら。

「ううぅ、残念ですが行きましょうか…あ、私のことはイノリって呼んでください」

 そういう巫女さん改めおっぱい改めカミナギさん改め抱きつき巫女さん改めイノリさんと連れ立って一路台風の目を目指すのであった。フードは被り直したよ…やっぱり女の人相手でも被っておこう、うん、そうしよう。


気づいているとは思われますがサブタイトルは適当です。

もともと切るとこじゃないとこで切ってるんで本当に適当です。

そしてココらへんの話は去年かいてたはずなのになぜか凄い時事ネタになってる気がします…外が雷と雨がすごいのです……。

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