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安心できる帰り道  作者: たい


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22/22

ただいま

最終話は、“帰れる場所”をテーマに描きました。


このシリーズは最初からずっと、


「安心できる場所」


を探し続ける物語でした。


そして最後に、

奈々と悠斗は、


“自分たちが帰れる場所”


を作ることができました。


恋人になって、

夫婦になって、

親になって。


それでも変わらなかったのは、


「隣にいると安心する」


という気持ちです。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

春。


暖かい風が、カーテンをゆっくり揺らしていた。


リビングには、小さな笑い声が響いている。


「きゃははっ!」


悠真が床を元気に走り回る。


奈々はソファへ座りながら、小さく笑った。


「……元気すぎる。」


悠斗が苦笑いする。


「完全に奈々ちゃん似。」


「えぇー。」


奈々は吹き出した。


でも、その表情はかなり穏やかだった。



あの日から、何年も経った。


不安ばかりだった頃。


安心できる場所を探していた頃。


温泉旅行。


観覧車。


夜泣き。


結婚。


出産。


小さな毎日を重ねながら、

三人は少しずつ家族になっていった。



玄関の音。


「ただいまー!」


美咲が遊びに来る。


悠真は一瞬で走っていった。


「みさきちゃーん!」


美咲が笑いながら抱き上げる。


「大きくなったなぁ。」


奈々はその光景を見ながら、小さく笑った。


昔から変わらない。


美咲は、ずっとこの家族を見守ってくれていた。



夕方。


リビングには暖かい匂いが広がる。


悠斗が料理を運びながら、小さく笑う。


「はい、ごはん。」


悠真が嬉しそうに手を上げる。


奈々はその姿を見ながら、かなり優しい顔になった。


「……ほんと家族って感じ。」


悠斗も静かに頷く。


「うん。」


その言葉が、

昔よりずっと自然になっていた。



食事のあと。


悠真は遊び疲れて、ソファでうとうとし始める。


奈々が小さく笑った。


「……安心するとすぐ眠くなるの、完全に遺伝。」


悠斗が吹き出す。


「ほんとだ。」


美咲も笑う。


その空気がかなり穏やかだった。



夜。


悠真を寝かしつけたあと。


奈々はベランダへ出ながら、小さく息を吐いた。


春の夜風が気持ちいい。


悠斗も隣へ来る。


しばらく二人は静かに夜を見ていた。


奈々は小さく笑う。


「……なんか、不思議だね。」


「何が?」


「昔のわたしたち。」

「ずっと安心できる場所探してた。」


悠斗は静かに頷く。


「うん。」


奈々は少し照れながら笑った。


「でも今は、“帰りたい場所”がある。」


その声は、かなり優しかった。



悠斗は小さく笑う。


「奈々ちゃん、昔よりかなり安心した顔するようになった。」


奈々が吹き出す。


「悠斗くんも。」


昔は、

不安を隠すのに必死だった。


ちゃんとしなきゃ。


迷惑かけちゃだめ。


そう思っていた。


でも今は違う。


無理をしなくていい。


安心して笑っていい。


そのことを、二人はゆっくり覚えていった。



奈々は悠斗へそっと寄りかかる。


「……ありがとね。」


悠斗が少し驚く。


「急にどうしたの。」


奈々は小さく笑った。


「ちゃんと“帰る場所”作ってくれたから。」


悠斗は数秒黙ったあと、静かに笑う。


「ぼく一人じゃ無理だったよ。」


その言葉に、奈々も小さく頷いた。


美咲がいて。


悠真が生まれて。


たくさんの時間を重ねて。


やっと今がある。



部屋の中から、小さな声。


「……ままぁ。」


悠真が半分眠そうに立っていた。


奈々がすぐ笑う。


「起きちゃった?」


悠真は眠そうに目をこすりながら、奈々へ抱きつく。


悠斗が吹き出した。


「完全に甘えんぼ。」


悠真は安心したように、奈々の肩へ顔を埋める。


奈々はその小さな背中を優しく撫でながら、小さく笑った。


「……おかえり。」


その言葉は、

昔よりずっと暖かかった。



安心できる家。


安心できる家族。


そして、

何度でも言える「ただいま」。


三人の“帰り道”は、

これから先も、

きっと穏やかに続いていく。

『安心できる帰り道』を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


この物語は、


大きな事件が起こる話ではありません。


でも、


* 一緒に眠ること

* 「ただいま」を言うこと

* 安心して力を抜けること


そんな“小さな幸せ”を、ずっと大切に描いてきました。


奈々と悠斗は、

最初から強い人ではありませんでした。


不安もある。


怖いこともある。


でも、

「この人となら安心できる」

を積み重ねながら、

少しずつ家族になっていきました。


そして最後には、


“帰りたくなる場所”


そのものになれたと思います。


ここまで一緒に歩いてくれて、

本当にありがとうございました。

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