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安心できる帰り道  作者: たい


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13/22

帰る場所の未来

第13話は、“二人の未来”をテーマに描きました。


このシリーズではずっと、


「安心できる場所」


を大切にしています。


今回は、その場所が、


“二人だけのもの”

から、

“家族の未来”


へ少しずつ広がっていく回になっています。


また今回は、


“夜の営み”


そのものを激しく描くのではなく、


* 一緒にいると落ち着く

* 触れ合うと安心する

* 穏やかな時間を重ねていく


という、このシリーズらしい親密さを中心に描きました。


二人の新しい未来を、楽しんでもらえたら嬉しいです。

初夏。


窓を開けると、少し暖かい風が部屋へ入ってくる。


奈々はソファへ座りながら、小さく息を吐いた。


「……最近ちょっと暑い。」


「もう夏近いね。」


悠斗が飲み物を机へ置きながら笑う。


同棲を始めて、数ヶ月。


二人の生活は、かなり自然になっていた。


朝起きて、

「おはよう」を言って、

一緒にご飯を食べて、

同じ部屋へ帰る。


その全部が、少しずつ当たり前になっていた。



夜。


部屋の照明は少し暗い。


奈々は悠斗へ寄りかかりながら、小さく笑った。


「……なんか、落ち着く。」


「うん。」


悠斗も静かに頷く。


好きな人。


安心できる人。


その二つが、もう完全に同じ意味になっていた。


奈々は悠斗の肩へ額を寄せながら、小さく息を吐く。


「……こういう時間、好き。」


悠斗は優しく笑った。


「ぼくも。」


二人は自然に手を繋ぐ。


その空気は、かなり穏やかだった。


激しいものじゃない。


でも、


“触れ合うと安心する”


そんな気持ちが、ゆっくり二人を近づけていた。



奈々は少し照れながら笑う。


「……最初の頃より、かなり落ち着いたよね。」


「うん。」


悠斗も苦笑いする。


最初は、何をするにも少し緊張していた。


でも今は違う。


安心できる。


無理をしなくていい。


その感覚が、二人にはちゃんとある。


奈々は小さく呟く。


「……悠斗くんだから安心できるんだと思う。」


その言葉に、悠斗の表情が少し柔らかくなる。


悠斗はそっと奈々を抱き寄せた。


奈々も安心したように身体を預ける。


静かな夜。


暖かいぬくもり。


二人だけの穏やかな時間が流れていた。



数週間後。


朝。


奈々は洗面所の前で、小さく固まっていた。


「……え。」


テーブルの上。


小さな検査薬。


奈々は数秒黙ったあと、ゆっくり息を吐く。


心臓が少し速い。


嬉しい。


でも、少しだけ緊張する。


その時。


後ろから悠斗の声が聞こえた。


「奈々ちゃん?」


奈々はゆっくり振り返る。


そして、少し照れながら笑った。


「……たぶん。」


悠斗は状況を理解して、目を丸くする。


数秒の沈黙。


そのあと、かなり優しい顔で笑った。


「……ほんと?」


奈々は小さく頷いた。



部屋は静かだった。


でも、不思議と怖くなかった。


奈々は小さく笑う。


「……なんかまだ実感ない。」


悠斗も苦笑いする。


「ぼくも。」


でも、その顔はかなり嬉しそうだった。


悠斗はゆっくり奈々の隣へ座る。


そして、そっと奈々の手を握った。


奈々も安心したように握り返す。



奈々は少し照れながら呟く。


「……これから、もっと賑やかになるのかな。」


悠斗は静かに笑った。


「うん。」


それから、少しだけ照れながら続ける。


「でも、奈々ちゃんとなら大丈夫な気がする。」


奈々の表情が少し柔らかくなる。


奈々も小さく笑った。


「……わたしも。」


昔だったら、

不安ばかりだった。


でも今は違う。


安心できる人がいる。


帰れる場所がある。


そのことが、何より大きかった。



窓の外では、初夏の風が静かに揺れている。


奈々は悠斗へ寄りかかりながら、小さく笑う。


「……なんか、ちょっと楽しみ。」


悠斗も優しく笑った。


「ぼくも。」


二人の“帰る場所”は、

これから少しずつ、

新しい形へ変わっていく。


でもきっと、

その中心にある“安心感”だけは、

これからも変わらないままだった

後書き


第13話「帰る場所の未来」を読んでいただき、ありがとうございました。


今回は、


“恋人”

から、

“家族になっていく二人”


をテーマに描きました。


奈々と悠斗は、


ずっと「安心」を大切にしてきました。


そして今は、


その安心感が、

未来へ繋がろうとしています。


また今回は、


* 同棲生活に慣れてきた空気

* 穏やかな夜

* 小さな変化への戸惑い

* でも、それ以上にある安心感


を意識しています。


不安がゼロなわけじゃない。


でも、


「この人となら大丈夫」


と思える。


それが、今の二人にとって一番大きな変化なのかもしれません。

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