濃霧の中で。。
濃霧って。。動けないよね。
全く、どーすりゃいいの?
俺達は、あれから言われた通りマビエフの丘と呼ばれるところに来ていた。
朝早くと、言うよりもう夜中に出発。
日の出前とか、仕方ないけど寝むぃー。
で、今は立ち往生。
ドルタンドの「動くな!」の怒声が聞こえたけど、その時はもう皆んなの姿も見えなかった。
動けないのに、皆んなが居なくなっだようにおもえて叫んでみた。
「おーい。ヘルベルト、ドルタンド、ナリーナ。
誰か近くにいるよね。」
。。。
はあ。返事なしとは。。どーしてだ?
「ピー。」
お、ピー子だ。良かった。
やっぱ、こういう時はペットだよな。
「ピー子。こっちに来い。」
ブヒブヒ言ってる。ちょっと血の気が戻った。
あ、怖いとかじゃないから。
身体の横に暖かな体温を感じてホッとして撫でた。フサフサ?うん?
もう一度。。フサフサフサフサ。。。。、
違うだろ。ピー子は、フサフサしないし!
誰?いや、何?人間では絶対ないよね。
しかも、ここ濃霧。。フサフサ来るか?
<ククク。バレたよ。道案内のサリだ。
こっちへ来い。少しだけ霧が晴れるから。>
その時、柔らかな風が吹いて目の前に緑の散歩道っぽいものが見えた。
見えたけどさー、その前に一大事が見えたます!
なーにー。なんで、でっかい猿がいる訳?
しかも、毛がボーボー。。、
<忙しいやつだね。とにかく、こっちへすぐ来い!道はすぐ閉じるぞ。いいのか!>
ダッシッュー、ダッシッュー、当たり前でしょ。
あんな所にひとりぼっちとか。。
<いいから、早く来い!>
大猿の怒りに、慌てて走る。
不思議な光景だった。
柔らかな風が、俺の目の前の霧をまるでカーテンを開けるように、次々と晴れ渡す。
道は、気持ちのいい散歩道。。。
。。。だけど、何か変!
俺の知ってる風景っぽいけど、何かが違うような。。。?
しばらく行くと、見晴らしの良い草むらとその向こうに小高い丘、更に向こうは、湖らしきキラキラ輝く湖面がみえる。
着いた?やっぱ、これは消える湖だよね。
<ふふふ。圭。よく来たわね。
私は、この辺りの精霊の長でマリベレと言うわ。
貴方の目的は、『扉』の鍵探しだったわね。>
ふわふわ空中に浮いているまるで虹を纏うような光を纏う物凄い美人の水色の髪の女の人がいる。
どー見ても、妖精。
ラノベ通りだけど。。。何か怖い。
「はい。俺の仲間に、小さな精霊族の子供がいます。その子達を故郷に帰してあげたい。
それに、マーナの人達がエルフ族に謝りたいって願ってます。
あちらへ渡る『鍵』の古代花を下さい。お願いします。」
礼儀正しくお辞儀をしてみる。
取り敢えず、母ちゃんに習った通りで。
<ふふふ、『鍵』はあるわ。ただし、エルフの里から人間へ行くためのね。
あの扉は、貴方達には一方通行。決して開かない。もし、あちらの国へ行くなら『ドワーフ』の国から渡る事。ドワーフ達の『秘密のトンネル』でね。>
「ドワーフの秘密のトンネルは、俺達が通れますか?」
<通れるわ。でも、彼等が通してくれるかは、別よ。とても偏屈な一族だから。>
「分かりました。やってみます!」
<ふふふ。即断ね。圭らしい。。
この間、私達の仲間が味噌スープをご馳走になったみたいね。その、お礼をあげましょう。
この『鍵』をお待ちなさい。大切にするのよ。
帰り道は、必ず必要だから。>
手のひらの上に、小さなピンクの花。
精霊は、ひと息吹きかける。
ーピンクの小さな鍵ーに変わる。
そっと、俺の手のひらの上に置いてくれると、精霊は、消えた。
その瞬間!俺は、濃霧の中に戻っていた。
「圭!圭!」ヘルベルトの心配そうな声。
「ここだよ。俺、ここ!」
俺の答えをまるで聞いたかのように、霧は晴れた。そこは、もとのマビエフの丘だった。
皆んな近くに立ち尽くしていただけだった。
俺の話を聞きながら、ドルタンドとナリーナの二人はピンクの鍵に釘付けだった。
「圭よ。この『鍵』は身につけて置け。
これは、主人を選ぶもの。決して他のものには、扱えぬ。。、
しかし、あの一瞬の間に。。」
ドルタンドの絶句。
俺、皆んなと違う場所にいたらしい?
ま、とにかくこのまま、ムルトングへ行き、ドワーフに会う。これしかない!
皆んなで、ムルトングへ向かう為に村へ戻る。
人間達が去ったマビエフの丘に、綺麗な虹がかかっていたのを圭達が気づく事はなかった。。




