泉の精霊現る。。、
泉は、まあまあの距離らしい。
だから、小さいベルはマーリエの腕の中だ。
食材探しは、お休みして警戒を強めてるけど、意外に暢気な雰囲気だな。
本当に異常があるのかな?
あれー?変な匂いが。。。
ふらふらと匂いのする方に向かうと、小川が見えてきた。
絶句中。。。。。
川は、枯れて水がない。。。
何!この風景。酷いよ。
川の周りの木々も立ち枯れてた。
「ここまでとは、思わなんだぞ。少し気を引き締めてのう。」厳しい声のドルタンド。
それにしても、何か気になる匂いだな。
フンフン。。。こっちだ、匂いの元。
俺は、皆んなと少し離れて大木の根本へ近づいた。
変なキノコが匂いの元かな?
【バカ圭!
触るな!毒とは違う。
魔物の一種だ。
動かない魔物、ララパンと言う名だ。
木に寄生して辺りに深く根を伸ばしすべての魔力を吸う。
触れば、人も同じく魔力を奪われる。
圭とて、例外でないぞ。】
なんと、キノコじゃないのか?
ヤバし。赤いし黒い点々あるから不気味だなと思っていたけど。。。
コンピュータ!それで退治出来るの?
このままじゃ、不味いだろ。
「もちろん、出来る。
ただ、魔術をぶつけるだけでは難しい。
森も打撃を受けるからな。
毒には毒で。
マルマーサと言う名の変わったキノコがある。
このキノコは、なんと生きて歩き回る、これがここにあればララパンを駆逐するぞ。
ただ、高山にしか見られない珍しいものだ。」
俺は、急いで皆んなに話した。
皆んなびっくりしてる。
知らないのかな?ララパンの事。
「マルマーサは知っているが、ララパンと言うキノコの事は、聞いた事がない。
キノコの問題は後で考えるとして、取り急ぎ、泉に向かうぞ。」
と、ドルタンドの指示が飛ぶ。
皆んなで急いで泉へ向かう途中、よく見ると、道に沢山のララパンがある。これ、マジやばくない?
やっと泉に到着。ここもか。
あー、水が枯れ始めてるし、周りの草も茶色だな。
それに、やっぱり泉の周りには沢山のララパンが。。。
だけど、泉のそばに可愛いお花が咲いている一角がある。
あっ!その側に、めちゃめちゃ弱ってるフー発見!
「フー!」メルビスが駆け寄る。
大丈夫かな。物凄く青い顔で力無く座り込んだいるみたいに見える。
こんなフーな姿、初めて見た。
「ヘルベルト様、この花たちは、精霊の源。
泉の護り。しかし、なぜか魔力を失い私が来た時にはもう、消えかけておられた。
微力ながら、私の魔力を。」
言うのが物凄くしんどそう。
「分かった。もう話さなくて良い。
私が変わろう。」ヘルベルトが魔力を込める。
大丈夫かな?フーみたいになるんじゃ。。
「まあ、待て。わしの方が良かろう。」
ドルタンドが、カッコイイ発言の後、近づいて魔力を放出する。
あれ?俺にも魔力が何となく分かるみたいな??
「フーよ。ようやった。ご苦労だったの。」
そう言ってドルタンドが、フー肩に手を乗せると、フーは、力を失いそのままドルタンドに倒れ込んだ。
気絶か?大丈夫?
ヘルベルトがフーを受け取りこちらへ連れて来る。
「かなり弱っているが、命にかかわるものではないだろう。」痛ましげな表情でフーを見るヘルベルト。
おー、でも良かった。
「私が泉に向かって、魔術をかけてみます。」
とナリーナが一歩前に出る。
ドルタンドが手を伸ばして止める。
「待て待て。これはそれでは難しいぞ。
我らの魔術では、解決出来まい。
圭、お主ひとりで歌ってはくれぬか。」
ドルタンドの顔色が青くなり始めてる。
歌?俺ひとりで?
そりゃ、歌くらい。。。でも何かこの状態でひとりって、羞恥心が。。。
「圭、僕にも歌って。お願い。」
おー、ベル。いつの間に顔色がヤバくなってる。
よし、やるかぁ。
こうなりゃ、50点の実力を発揮するぞー、
(ヤケクソとも言う)
♪♪♪♯♭〜♪♪〜
はい、またアニソンです。
イイじゃん、これしかカラオケでやってないからね!
♪♪♪♯♭~♪♪♪♯〜
勢いって大事。もう一曲歌いました。
あれっ?花の近くに小さな小人が浮かんでる?
「泉の精霊様。顕現されましてよろしいのですか?」マリンの声。久しぶりに聞いたぞ。
難しい言葉、知ってるな。すげーよ、マリン。
<ありがとう。精霊族の子供。この歌は、そなたか?>
「いえ、ここにおります『圭』でございます。」
マーリエ。
「おや、珍しい人間。魔力に溢れておる。」
うん?俺の事?
おー、俺の方に飛んできたぞー。
可愛いかな?小さいけど、美人系だー。
「ブー」ピー子、久しぶりに鳴いてる。
精霊にピー子も興奮中かな?
ボンッ!!!
え、何?煙出たよ。
精霊大丈夫なのか?
マジ?マジか!
いつの間にか、美人のお姉さんが隣に立ってるんですけど。
精霊なのか?
お約束の小人が大人になるパターンか?
実際、こんなに女子に近づいた事ないしドキドキだよ。
プチパニック中。。。わ、触られてる???
うん?魔力取られてるような??
「久々に気持ちの良い魔力だわ。
精霊族も久し振りに、見かけたわ。
人間の国にいるなんて珍しいじゃない。
あら、でも可愛いおチビさんはちょっと弱ってるわね。
人間達にもだいぶ無理をさせたようだしね。
まあ、いいわ。少し力を使いましょう。」
『森に祝福を。』
その言葉が聞こえてすぐ、
彼女の身体から光が広がって、その光は木や葉や花たちにキラキラ戯れてやがて消えていった。
誰一人、口を開く者もない。
まるで幻のような風景。
誰もが見惚れまま、しばらく立ち尽くす。
精霊は、そのまま泉のそばに姿を消した。
後で聞いたら、滅多に姿は現さないらしい。
ましてや、声聞くなんて、と言うものらしい。
ええー、超ラッキーじゃん。
泉の周りのララパンは、消えていて近くの川の水も元どおり。
木や草たちも、緑を取り戻してた。
精霊の力って。。。
それから俺たちは、フーの事もあるから、村へ引き返した。
精霊の祝福で、フーは、少し元気になったんだけど、やっぱ顔色悪いしね。
大丈夫かな?
泉から、帰る前にベルにせがまれて一緒に歌いました。
もう俺、羞恥心は捨てたから!
本当にもう。。。
ベルだけ上手いとか。。。
今回は、美人の精霊さんに会えたから良しかな?
二人の歌は、森に広がっていく。
誰も居なくなった森で、草や花が咲き誇り緑が輝きを放ち出した事を、人間達は知らないまま。。。