拾い物?
行き倒れでーす!
盗賊の次は、行き倒れなのー!
この世界、忙しい過ぎない?
みんなで顔を見合わせる。
「このままにしておこう。」
ナリーナが言い切り。
えー。このままって。。ちょっと、絶句。
「圭は、不服のようじゃな。」
ドルタンドに突っ込まれた…
何、俺の顔。黒板か!分かり易すぎるだろ。
「いや、反対ってか、このままは、どうかなぁと。」
俺、煮え切らないけど。。。ちょっと怪しくも見えたり。。。
「この際、圭は関係ない!無視しよう。」
な、何?超〜この言い切りなナリーナ!
怒らないけどね、ちょっとむっとね。
うー。
「私もナリーナの意見に賛成です。
あの者は、警備隊に連絡して、このままといくのは。」
やっぱりかぁ。ヘルベルトも反対。
甘いのか、俺!むーん!ちょっと孤独感〜。
「わしは、圭に賛成じゃ。
こんなところで出会うも、また神の定めじゃろ。」
おっ、意外なところで味方現る。
。。。。。
お年寄のご意見は、絶対です!
助けました。イケメンの30代くらいの人。。
しかし、なんなんだ!この世界のイケメン率。
俺に対する当て付けか!
気がついたから、まずはラランの蒸したのあげた。
この世界、食べ物一択でしょ。
ハラヘリに違いない。
おー、食いつく、食いつく。
「ありがとうございます。
私はキーナンの商人でゼッヘルと言います。
盗賊に襲われて身ぐるみ剥がさられて。。。何とお礼を言えば良いのか。」
男泣きかよ。可哀想過ぎ!
「じゃ、一緒にキーナン行こうよ。俺達もこれから行くからさあ。ねー、いいだろ。」
俺、良い事言った!胸張って振り向いたらいつもの風景です。
ヘルベルトは、苦虫を噛み潰したような顔で、ナリーナは、完璧に絶対零度の目です。あれ、ドルタンドが。。。
「ワシは圭に賛成じゃ。困っとる時はお互い様。そうじゃな。圭。」
俺、何度も頷いた。
えー、味方がいる〜。
やっぱ、言ってみるもんだね。へへへ。
「ありがとうございます。ご恩は一生忘れません。」ゼッヘルさん、泣きながら何度も何度も頭を下げてお礼を言ってる。
おー、何か良かった。
ヘルベルトとドルタンドの間にあったアイコンタクトは、俺が気づかず。。
その夜遅く、馬車で寝ていたゼッヘルは、物音ひとつ立てずに起き出して外へ出た。
ドルタンドが小さな声で言う。
「動いたぞ。鼠を飼うのもまた、一興。」
毒のある笑いを含む声。
「師よ。理解はしておりますが危険では?」
「家で飼う方が毒がない。」
その後、馬車は静まり返った。
ゼッヘルは、また物音ひとつ立てずに寝た。
ひとり、誰にも聞こえない声でドルタンドは呟いた。「もしや、あやつなら我々の間の壁を越えて行くやもしれん。」
それは、願うような囁やかな声。