過ち
みどりからの愛を知り、そしてみどりへ愛を知った葵。しかし、現実は所詮儚いもの。みどりには、祐樹という旦那がいて、そして子供もいる。どんなに想いが強かろうが、二人の愛が育まれることはない。
そんな事は、とうに二人とも理解をしていた。現実は難しい。みどりは、夢の時間から家庭に戻ると、目を覚まして現実に戻る。子供は愛おしい。愛している。子供を悲しませるわけにはいかない。子供の事を想うと、葵にばかり気をかけてはいられなかった。しかし、葵は、そんなみどりとの距離を少しずつ感じつつも、みどりへの気持ちを抑えつける事ができずにいた。関係が明るみになったとき、関係は終わりだと決めていた。しかし、次第にみどりへの愛が大きくなるにつれて、終わりにはできなかった。
葵は、みどりとの連絡を断とうとはしなかった。連絡を今まで以上にこまめにとり、祐樹の目を盗んでは、再び密会を続けたのだ。最初は、偶然を装った遭遇。そして次第に事は大きくなっていった。何回か会う回数を重ねるうちに、身体をも重ね合うようになっていった。止められなかった。周りが見えなくなっていた。祐樹が宿直で留守の時に、ノンノで密会した。再び身体を重ね合い、愛し合った。しかし、そんな幸せも一時に過ぎなかった。祐樹はみどりの行動を不審に思い、監視していたのだ。うかつだった。半年以上も続けていた行為が、続けざまに明るみにでるなんて。それほどまでに、葵はみどりの事しか見えておらず、周りが全く見えていなかった。
運命というものは変えられない。9つ離れている歳の差。いつ出会おうが、みどりとは結ばれることはない。過去に出会おうが、未来に出会おうが、そして今この時に出会おうが、結局は結果は同じ事。みどりと愛し合うという事は、それほどまでに難しいものなのか。葵の恋、そして愛。想いあえる、魅かれあえる喜びを知る困難さを葵は身に染みて痛感した時だった。




