彼女を探すもの
「きたきたきたきたきたきたきたきたきたーーーーーーーーーーー!!!!!!反応来ちゃったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!!!」
冷房MAXの一室には6つの机があり、それぞれに1台ずつパソコンが載っている。それぞれは3つずつ壁に向いていて、机と壁の間には大量のケーブルが束ねられ、ブラインドの下りた窓に向かって右側の壁を貫き、隣の部屋にあるサーバー群に接続されている。
「やっぱり南第1輪区だったぜぇぇぇぇぇぇぇーーーーー!!!!!見たか!樫葉!俺の言ったとおりじゃねぇか!!」
右の壁側の真ん中で大きくガッツポーズをしながら、雄叫びを上げているワイシャツ眼鏡の男の隣でキーボードを叩く樫葉は、退屈そうな様子で、
「うるさいから黙ってください。今映像出しますから。そもそも私もそこが怪しいと思ってましたよ」
そう言っている内にパソコンの画面には、ビルの間を川のように流れる人々の航空映像が映し出された。その人ごみの中に1つの赤丸が動いていた。
「次は見失わないように奴らに追わせろ。そのほうが確実だ」
そう言い放ったのは、左の壁側の中央のパソコンの前で椅子に座りながら3つのキーボードを操る男だ。両隣の机は45度ほど内側に傾き、どの画面も見やすいようになっている。それを操るのは、目の下に大きな隈があり、具合の悪そうな表情の男だ。
「確かにそうですけど、いいんすかね?金、取られんじゃないんすか?」
右側の壁の窓側の机でマージャンのゲームプログラムと睨めっこする白衣の男は、あごに手を当てながら言う。
「また逃げられるより、よっぽどマシだ。そもそも、上から降りてきた金だ。残りも多い」
「そんなもんすかね?」