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REVIVAL  作者: 三角の月
第2章 赤野 徹
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彼の炎の影

 細い人影はゆっくりとした動作で地下ず居てくる。しかし、和哉と人影との距離はそんなに遠くない。物の十数秒で間合いに入られる。


 立ち上がった和哉は落ちたところのすぐそばにあったスポーツ用品店の店先に刺さっていたバットを引きぬいて構える。丸腰よりはよっぽど安心だが、美月のレールを炎で受け止めた人影にはバットなど効果がないようにも思える。


 人影が歩道に上がってきた。その姿は異常だった。この世のものとは思えない。五体四肢は真黒だ。しかし、可視光をすべて吸収した反射によるエネルギー喪失の黒では無い。まるで穴。まるで、深い穴を覗いた時の光の届かない黒。まさに影の様だ。首から下がすべて真黒で顔面には白い仮面が張り付き、目に当たる部分は丸くくりぬかれている。その穴からは赤い瞳が蠢いている。


「人を殺すのは心理的に不快であると言われているけど、こういうのは人の内に入らねぇよな!!」


 和哉は銀色のバットを振り上げて細い影の頭を狙う。


 細い影は振り下ろされたバットを左腕で受け止めた。力いっぱいバットを振り下ろした和哉は、バットを止められたことで手に痛みを覚えた。バットをつかんだ細い影は、筋肉というものがなさそうな腕を勢いよく振るってバットを和哉から奪い、右腕で左胸に打撃を与えた。


 その打撃が和哉の胸を貫いた時、細い影の手首から炎が生じ爆発した。爆発で身体を叩かれた和哉は、スポーツ用品店にっ突っ込んだ。店内のスポーツウェアのハンガーラックを巻き込んで、店内を滑る。今まで胸を一線に裂かれたり、右肩を貫かれたり、右足から左腕にかけて切断された服は、爆発で燃え上がり和哉を覆い尽くした。


 和哉を飲み込んだ炎はスプリンクラーによって沈下した。店の至る所で警報が鳴り響き天井から雨が降り注ぐ。


 和哉の服の胸元は燃えてなくなり、覗いた胸には火傷の跡があったがすぐに炎症は退く。店内に散らばったスポーツウェアの何着かも焦げているが、そんなことは気にしていられない。細い影はスプリンクラーから降り注ぐ雨を浴びながら店内に侵入してくる。


 和哉は立ち上がり構える。遠くから美月の声が聞こえるような気がするが、今の和哉には聞こえていない。和哉は強く拳を握り、細い影の顔面に向かって殴りかかった。


 細い影は無駄のない挙動で拳をかわし、和哉を背負い投げで床に叩きつけ、その上に馬乗りになり、右腕を強く引いた。そして、手首から炎が生まれて、鎮火した。細い影の右手首からは黒い煙が、スプリンクラーの雨に貫かれて拡散している。


 細い影は、まるで予想外の事態が起こった人間の動作の様な挙動をした。赤い瞳が和哉から右手に移動した。その隙を和哉は見逃さなかった。


「よそ見してんじゃ、ねぇよ!!」


 和哉は思いっきり足を蹴り上げ、細い影の後頭部に蹴りを叩きこんだ。細い影は前かがみだった重心が更に前に傾き、和哉は腰の下に空いた隙間を利用してうつ伏せの体制をつくり、蹴り上げた足で床を蹴って細い影を腰で押し飛ばした。細い影は顔面から床に突っ込み、和哉は身体を回して立ち上がる。


 そして、横に刺さっていたゴルフクラブを抜き取り、大きく振りかぶる。細い影がゆっくりとこっちを振り向いた瞬間に、ゴルフクラブのドライバーのヘッドを顔面の白い仮面に振り下ろした。


 振り下ろされブゥゥンと風を切ったドライバーは、しなりによる運動量の追加を経て、白い仮面を突き破った。細い影は顔面に衝撃を受けて横に倒れた。激しく割れた仮面が倒れた方向に破片を飛ばし、細い人影にノイズ走ったと思うと、砕け散った仮面を残して影は消え去った。


 和哉は細い影に起こったことを考える。スプリンクラーで鎮火した炎、白い仮面を破ったのちにノイズと共に消えた影。つまりは、細い影の炎はスプリンクラーの水に著しく弱く、白い仮面が奴らの弱点であるということだ。スプリンクラーの水には様々な種類があるが、衣類の濡れ方と匂いからおそらく普通の水道水だ。ということは、ただの水でも十分効果がある可能性が高い。


 和哉は細い影の弱点をまとめて、スポーツ店の出口へ走る。大通りでは電灯の上から、残った2つの細い影に電撃を同時に放つ美月が奮闘していた。雷撃はすさまじい電圧電気量のエネルギーの音エネルギー変化により、轟音が響いていた。これでは声は届かない。


 和哉は手に持っていたドライバーを雷撃に向かって投げつけた。ドライバーは重心を中心に回転しながら雷撃へと突入した。ドライバーのシャフトは炭素繊維を素材をとしているため、電流をよく通す。磁力の力によって行方を操作されていた雷撃は、空気より圧倒的に電気伝導率のシャフトを伝い、思わぬ方向へ放電を放つ。


 いきなり雷撃の行方を変えられた美月は、スポーツ用品店の前に立つ和哉に気付いた。和哉は美月に聞こえる大声で叫んだ。


「水だ!!こいつらの能力は水に弱い!!」

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