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フトゥルム  作者: MG
始まりの刻 〜地下迷宮〜
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一階層 ③

 扉の前に立つ。

 この扉、見上げられるほどでかい。


 やはり、階層主(フロアボス)だからだろうか?

 扉越しでも、無意識にカタナに手をかけてしまうくらい、威圧感がある(ワクワクする)。


 「フォス?いくよ?」


 「うん!」


 私たちは、扉を開き、中に入った。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 中に入ると、暗かった。

 そして、足音がよく響く。

 扉はゆっくり閉まっていく。


 扉が閉まり切った時、部屋の中が明るくなった。

 そこで待ち構えていたのは


 「うわ〜、既視感(デジャブ)!」


 なかにはね、ありさんがね、い〜っぱいいたの!


 見回しただけでも、100はいるだろう。

 ツヴァイアントをはじめ、進化態キラーアント、亜種ポイズンアント、そして、それらをまとめる最上位種キラークイーンアント。


 「ねえ、エド。昨日みたいにミイラみたいにできないの?」


 「あれは、部屋が狭かったからできた荒技で、こんなに広いとできないよ」


 「へ?じゃあ今度こそ?」


 「地道に1匹ずつだ」


 やべぇ、頰が緩んじまうな?

 カタナに手ェかかっちまうなぁ!?


 「私が、正面から、全て処理する。フォスが斬り漏らしを処理してくれ」


 「う、うん」


まあ、斬り漏らすつもりは更々ないが?


 「じゃっ」


 私は、カタナを抜き、服に魔力を流し、イメージで、一気にアリンコどもの集団に突っ込んでいく。


 私に斬られるとも思っていなさそうなアリンコどもが、私に襲いかかってくるが、私のカタナに斬れない物はない、簡単に細斬れになる。


 「キャハハハハ!愉しいなぁ!」


 たまには、こういう無双系もいいな。どんなに斬ってもどうせ綺麗な形で素材(アイテム)落とすんだからな〜


 おっと、私のカタナの錆になるのが嫌だってかい。

 そうか……だが、お前に誰かの錆になるなんて選択肢はないぞ?


 私は、魔法で土手っ腹に風穴を開けてやる。


 そういえば、キラーアントはどこいった?ポイズンアントも?

 まあ、いっか!



____________________________________



 「狂ってる……」


 私が瀕死の状態で倒すであろう群れを、ただただ一方的に蹂躙する笑う白い少女。


 でも、あの笑顔はいつもの笑顔じゃない。

 人間が、弱者に向ける笑顔だ。


 「なんで……?」


 私はいつの間にか涙を流していた。



____________________________________



 あれれ〜?

 いつの間に腕、噛まれて毒入れられちゃった〜


 噛まれたのは左腕。戦闘には(魔防具で無理やり動かすから)支障は出ないが、とりあえず気持ち悪いから、毒抜きだけはしとくか。


 袖をまくり、噛まれたところを口ではみ、毒を吸い出す。


 口の中で、酸っぱ苦い味がする。


 「……っぺ!まっじ……」


 とりあえずこれで、毒が全身に回ることはないだろう。


 さて、戦闘再開と行きますか!



____________________________________



 目も当てられない。


 ただただそう思う。

 確信はないけど、なんとなくわかる。


 あれは私の知っているエドじゃない。

 私の知らないエドだ。


 きっと、別の誰かなんだ。


 きっと、きっと……


____________________________________



 さ〜て、あらかた片付いたかな?


 そうして、残るは!


 「ギャアアアアアアアアア!」


 キラークイーンアント


 大きさは、体高5m、身長25mほど

 その危険度は、単体でBランク、まれにAランクになる個体もいる危険種である。

 さらに、キラークイーンアントの周りには必ず、他の種類のアリどもを引き連れているため、もし発見されれば、群れでオーバAランク(天災)判定され、国をあげ討伐隊が編成される。


 っていう、確かすげ〜やべ〜やつだった気がする。

 まあ、その群れと思われるやつも全部、殺(KILL)したし。大丈夫でしょ!


 「さ〜て、ヤっていきますかぁ!」


 キラークイーンアントの前まで一気に突っ込んでいく。


 このまま突っ込めば、こいつに喰われてTHE ENDだ。が、アリの下腹部に滑り込み、下腹を切り裂いていく。

 斬り口から、体液がダバダバと流れ出る。


 「ギャアアアアアアアア」


 顎をガチガチ鳴らしながら、大きな声で鳴く。


 うるせぇな、さっさと黙らせるか?


 と、思ったら


 ブブブブブブブ………


 羽出して飛びやがった


 やべ〜、風圧で飛ばされそ〜

 とりあえず、「カタナ、投げるけどいい?答えは聞かないけど!」


 『へ?え!ええ〜!』


 なんかカタナが言っていたけど、気のせいか。とりあえずありの下顎を目掛けて投げる。

 が、風圧で、そこまで届かない。


 「オーライオーライ!キャッチ!」


 『おい!急に投げんなよ!』


 「すまんすまん」


 特に思ってないが。


 「カタナ〜これどうやって倒す〜」


 『ね〜そもそもなんでこんなやつが地下迷宮の一階層にいるのかが謎だけど。とりあえず、羽に水でもかければ?』


 「風圧で水、全部弾かれそうだけど?」


 『もう、魔法で潰せば?』


 そういえば、この部屋、周りが全て土である。


 「じゃあ、部屋の形変えるか」


 私は壁に手をつけ、魔力を部屋の壁に流し、土が変形するイメージをする。


 それじゃ、カウントダン!いっくよ〜


 3・2・1…PRESS(プレス)!


 両側の壁からのびた土の棒にキラークイーンアントはあっけなく潰された。


 あ〜最初っからこれやればよかった。


 ま、一件落着?かな。


 それを証明するように、入り口とは反対側が空いていて、その下には階段があった。


 「フォス〜終わったよ〜」



____________________________________




 エドが黒い。

 エドの終了宣言よりも、まずそう思った。


 おそらく、キラークイーンアントの下腹部を切った時に流れてきた体液を被り、その体液が変色して黒くなっているのだろう。


 「うん、お疲れ様」


 私は、これを言うのが精一杯だった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 エドが、エドじゃない時が時々ある気がする。

 それは、エドが、もう1人の何かになっている気がする。

 それを感じるのは、決まって戦っている時。しかも、一方的な蹂躙をするときだ。

 なぜだろう?

 エドは、エドであるはずなのに。


 私のこの疑問は、いつか晴れるのだろうか?

やべえ、一階層から飛ばし過ぎた……


※エドがやっていた毒抜き方法は、結構危険らしいので、真似しないように……

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