序章:‘‘鼓動’’
悪が蔓延り腐りきり、犯罪が跳梁跋扈する街。かつての正義はいつしか忘れ去られ悪こそが正義となった。これはそんな街に嫌悪感を抱き結託した3人のティーンエイジャーの物語ー。
「オレ達もう17になるんだぜ」中肉中背のリーダー、アーロンが汚れた世界を見下してため息をつく。「もうこの街も10年以上…か。」ディエゴが記憶を引っ張りだした。幼い頃この街に流れてきた3人は親も知らずにモノクロームな街に流れる真紅の血を見て育った。「今まで乱暴狼藉を働く奴らが野放しになっている状態に目を瞑ってきたが、ティーンエイジャーとして一度は悪業とやらを働いてみたい。」「それはムリじゃないか?...」
「可能だよ」アーロンとディエゴの会話に街一番のハイブロー、ベンジャミンが首を突っ込んだ。2人は疑問符を浮かべる。
「黒に黒を塗ったって目立たないが、黒に白を塗れば。。。」
「つまり奴らと反対の事をするってことか?」アーロンが簡潔に纏めた。
「そういう事。この街もかつて同じだったように一般的な善悪の価値観ではこの街の今は悪だ。」
ベンジャミンの知識によりこの街が解き明かされていく
「その反対って何なんだ?」
「昔は警察という社会の安全や治安を維持する責任を課された行政機関が存在したんだけど国が手を引いたから。。。今の状態だと力づくでも下の奴らを鎮めることかな...。」
「ほう…それにしてもなぜそんな事まで知ってるんだ」
「この街に流れ着いた頃、見知らぬ男に手渡された本のおかげなんだ。」ベンジャミンは幼少期に父親と思しき人物が歴史を書き記したとされる何冊もの本を受け取り、それからというもの勤勉に勤めたきたのであった。
ベンジャミンしか知るはずない過去の知識はこの町に正義をもたらすのに大いに役立つだろう。
「俺達…そろそろ動きだそうぜ」
「ー やっと重い腰を上げたな。」
「この時代を終わらせる為に」
今宵は革命前夜。新たな鼓動が静かな夜に響くー。




