44話
今日から初実技授業初日に、問題行動を起こした直後、僕とエリスは先生に説教を聞かされている。
実技授業を担当する教師、サナ・サイトウに叱責される。
もちろん、このクズトリオも一緒に……
「それしてもオオウチ君、昨日の転校初日の放課後……問題を起こした事はわかっているでしょう」
「はい」
「その三人組を暴力を振るったでしょうね」
「はい」
先生の言う通りだ。ヨシノは昨日の出来事を正直に認めた。
「問題を起こして、風紀委員に送られた反省文を書いて提出したずなのに、今日に限って、またあの三人組に喧嘩を吹っ掛ける気だったでしょうね?」
「違います!」
別に、好きで喧嘩をした訳ではない。
「それは……昨日の少年がまたからかわれいるのを……止めただけです」
「からかわれている? 誰が?」
「この少年です」
「彼なの?」
エリスは僕を庇うように、その丸型のソーラー・グラスをかけて、顔が腫れている少年に向けて、指を刺す。
「彼が?」
「……」
「君……三人に殴られたのは本当?」
「……」
「聞いてるの?」
「……」
「黙り込まないで」
先生は、その少年に話しかけるが、無言のままで何も返事せず、ずっと黙り込んでいる。
「オイオイ、こいつは何も話せないんだぜ」
「そうそう、引っ込み思案って訳だろう」
「ンダンダ」
(コイツら……)
また嫌な愚痴を言ってくる。今すぐぶっ飛ばしてやりたい。
「あなたたちは黙って!」
「「「はい!!!」」」
先生は三人組を一斉に怒号を上げた。クソトリオいじめっ子は、先生の一喝ビビッてしまい、黙り込んでしまう。
「それで、君はいつからいじめられたのか?」
「……」
(どうした? なんで黙り込んでいるんだ?)
その少年は、何も言い返すにずっと黙り込んでいて、脂汗をかき、何も口を開こうとしない。
サイトウ先生は、その少年をじっくり観察するような目でじっと見つめる。
「君は確か……その二人と同じ五組のクラスね?」
この少年は、僕と同じ五組の生徒で、つまりクラスメイトなのか。
「名前は確か……ススム・テヅカ君だね」
(ススム・テヅカ……少年の名前を聞けたよ)
名字がテヅカで、名前はススム。結構いい名前じゃないか。
「そういえば、私たちのクラスにいましたわ」
「何!?」
テヅカのいたことに気づいていたのかエリス。しかも同じクラスメイトだと、今まで気づかなかったのか。
「エリス……お前って奴は」
「あっ……それは……そのですね」
エリスはオドオドとした態度で、恐る恐るした表情で、足をガクガクと震えあがる。
「全く! テヅカの奴を忘れるとは、五組のクラスメイトの顔を覚えておけよな」
「何言っているんですか! ダレス君!?」
「ダレス!?」
背後から、同じ五組のクラスメイト男子、ダレス・マッカーサーがいつの間にかひょろりと現われ、一体どうやって出て来たのか。
「テヅカは二年の時に同じクラスメイトになったけど、ずっと一人でいるのが多いんだよ」
「そうなのか?」
「……」
またもや無言のまま黙り込む。いじめられっ子の少年、ススム・テヅカか、待てよ、さっきダレスが教室で、
『テヅカは……いつもの事だ』
……と聞いた気がした。そんなことは置いといて。
「先生! テヅカの顔を見てくださいよ! 顔が少し腫れているところもあります。昨日、あの三人に殴られたんですよ!」
「それって本当?」
僕は一旦とテヅカの顔に向けて指を刺す。シップや絆創膏が張られていて、殴られた青い痣が少し残っていて、あの三人組に暴力を振るった証拠だ。僕は昨日の出来事を正直に全て話した。
「成る程ね、君は殴ったテヅカ君を助けただけなのかい?」
「はい」
「私もいましたので、確かに見ましたわ」
昨日の学校案内で、エリスも同様に話した。
「ハア!? お前何言ってんだ! 俺達そんな奴を殴った事ありませーん!」
「殴った記憶忘れましたー!」
「「「ギャハハハハ!!!!!」
クソトリオの奴ら目、ムカつく笑い声を上げて余計に苛立ってきた。今すぐにでもぶっ飛ばしたい気分だ。
「黙りなさい!」
「「「ハイ!?」」」
サイトウ先生は三人組をキッチリと叱り、あいつらはびっくりする程黙り込み、怖気付いた。
「そいつのことはいいけどよ……俺らもボコボコにされてんだぜ!」
「だって俺らはソイツを殴ってねーのに、殴られたんだぜ!」
「そうだそうだ」
「本当に?」
奴らの話は事実だ。でも、昨日のいじめの現場を目撃し、その三人組を止めただけだ。
「殴り掛かるのはいけないのよオオウチ君」
「ですが先生! 僕は奴らを殴ったのは本当ですけど、襲い掛かって来たんですよ。アレは正当防衛ですよ!」
「そうかしら?」
神妙な顔をするサイトウ先生。話を通じても信じてはもらえない。
「私も目撃者ですわ! 先生信じてください!」
懇談する中で、エリスも割り込むように僕を庇い、先生に口述する。
「ザビエルさん、これは彼の問題ですよ。初日で暴力佐田を起こした生徒は……彼女以来かも」
「彼女?」
「エッ!? イヤ……なんでもないわ」
(怪しい……?)
ドタバタで慌てるサイトウ先生、『彼女依頼かも』と言葉が聞こえた気が……
僕の他にも、問題児な生徒もいるのか。
「それは置いといて……どっちが本当の事なの!」
「悪いのはあいつらだ! いじめをしていたのを見ましたよ」
「イヤ! こいつらだぜ! 俺らは知らねーし!」
「俺達はその転校生に手を出していないのに、殴られたんだぜ!」
「そうそう! 酷い目にあったんだぜ!」
僕は三人組のいじめ行為を正直に話した。だがしかし、三人組は犯行を認めず、無理矢理僕のせいにして、処分する気だろうか。
「駄目だね、正直に話しても……意味がなさそうね」
あなた……それでも教師か。いじめられている同じクラスのテヅカが可哀そうだとは思わないのか。
「こうなったら、最後の手段に行くしかないわ」
「「最後の手段?」」
本当の事を何も決められず、〝最後の手段〟で決めるのか。
「なんじゃそりゃ?」
「何するつもりなんだ?」
「まさか……俺とソイツをー」
「黙りなさい!」
「「「はい!」」」
三人組の馬鹿どもは文句を言おうとしたところ、サイトウ先生に叱正に仰天して絶句する。
両方が罰を下すだろうと言いかけた気が……
一体最後の手段で何をするつもりなんだろう。僕はキッチリとして、先生の話をちゃんと聞いた。
「対戦で決めるわ!」
「ハッ!?」
「ハイ?」
「「「ハァァ!!!」」」
「……」
いきなり対決勝負を決められたよ。どうして適当過ぎるんだよ。
「どうしてですか! いきなり勝負対戦なんて出来ませんわよ。オオウチ君は初めての実技ですし! まだ授業内容も全く知りませんですわよ!」
エリスの言う通りだ。初めての実技授業を参加するはずなのに、まだ授業を受けていないはずなのに、エリスは慌てて先生に文句を言うように抗議する。
「それは知っているわ」
「ならどうして!」
「彼は……真剣なのよ!」
「じゃあ信じてくださいよ! 罰を下すなら、愚かな三人に天罰ですわ!」
「エリスさん! あなたが落ち着きなさい!」
「はい!?」
先生に説教を受け、エリスは何も言い返すに黙り込む。
「対戦する日を報告しますわ」
「いつから?」
「来週の……実技授業の時間帯わよ」
「一週間後じゃないか」
対戦の当日は、来週の実技授業の時間じゃないか。まだ何も教わっていない。
「他の先生から報告をしますので、どっちが悪いのか対戦で決めます」
「先生! なんて無茶苦茶!」
「これは運命よ! ソーラー学園にとっての最後の手段!」
(運命……対決……)
いじめられているクラスメイトのテヅカを助ける為には、先生が決めた対戦で、そのいじめっ子クソトリオどもを対決しなければならないのか。
選択する暇がない。一か八かやってみるしかない。
「わかりました。対戦を挑みます」
「オオウチ君!?」
「やるのね?」
「はい」
対戦の参加を決意した僕は、世の中人の為に救うには戦うしかない。エリスは僕に心配して、困ってしまうようにオドオドする。
お師匠様がいた頃、彼女に説明を聞かされる。
〝弱気を守るには……何も決めずに正義の為に戦うんだ〟
……と、何度も聞かされたよ。耳元からあの頃のセリフが、耳元から聞こえた気が……。
「先生がおっしゃるなら、僕は対決を挑戦してみますよ」
「ヨシノ……」
「わかったわ。君が決めた事で、許可するわ」
サイトウ先生は対戦勝負を、申請してくれた。
「対戦は……三人対決ですね」
「三人」
三人組で対戦するのか。相手であるクソトリオも三人で、僕と後の二人は誰にするのか考えないと、
「エリス……戦える?」
二人目はエリスとして、勝手に決めた。
「私も参加するんですか!」
「じゃあ決定ね!」
「先生!」
先生は強制的にエリスを決められたよ。無理矢理だよサイトウ先生。
「残りは……」
後の一人が残っているな。
イヤ待てよ。一人がいた気がした。
「先生、一人のいましたよ」
「え?」
「誰なの?」
「彼です」
僕は最後の一人目らしい生徒を、指に刺した。
「テヅカにしてくれませんか」
「え……」
三人組にいじめられたクラスメイトのススム・テヅカだ。
「「はい?」
「「「ハァ!?」」」
僕のチームにテヅカを入れた。




