008_冒険者ギルド・サイロン支部
冒険者登録をするために都市サイロンへ来たが、登録を行うべきか考えものになってしまった。
登録料がかかることはロイ爺に質問し用意していたが、更新料の存在は予想しなかったからだ。
とは言えサイロンで観光やショッピングを楽しめる程お金もないので、暇を潰しに冒険者ギルドへ足を運んだ。
ここが冒険者ギルドか。
入口にドアはなく、入ってみると中は開放的な酒場といった感じだ。
受付に行くかどうかはクエストボードの内容を見てから決めよう。
採集クエストや害獣駆除の稼ぎが悪いようなら、登録しないほうがいいからな。
...ふむ、一見ロイ爺の手伝いより稼ぎが少し良いように思えるが、諸々の必要な装備や宿代なんかが掛かると恐らく赤字だろう。
帰りは実家まで1日歩きともなると、やるメリットがない。
「おいおい、身の程知らずのガキがいるぜ!」
踵を返そうとしたところで丁度、昼間から酒を飲む連中がこちらに気づいて話しかけてくる。
「ガキは家に帰ってママのおっぱいでも飲んでなぁ!」
ヒャハハァと言った風貌の輩が、ぞろぞろと俺を取り囲んでくる。
おい、帰り道を塞ぐな。言ってる事とやってる事が違うじゃないか。
「アニキ、こいつに冒険者ってのがどんな奴らか教えてやりましょうや!」
「おい坊主、ここに何しに来たんだ、え?」
いくら中身が大人とは言え、強面で身長差のあるおっさん達に囲まれると中々恐ろしい。
あれ?ちょっと膝が笑ってきたかも。
「こらー!」
入口から大きな女声が響きわたる。
「げっ、今日は非番のはずだろ⁉」
「昨日忘れ物したの~!ぷんぷん!」
激おこぷんぷん丸が近づいて来たのか、男衆の円陣が崩れる。
「ごめんねー?こいつらの顔やばかったよね。」
「やばいってなんだよエリー。男前だろ。」
「冒険者になったらこんな顔になっちゃうぞ~」
厳つい男衆を御して喋る小さな彼女は、彼らと顔なじみのようだ。
男衆は興が冷めたのか各々席に戻る。
「私エリー。このギルドの受付嬢なの。」
差し出された手に握手して、俺も自己紹介をする。
「レオンって言います。」
「レオン君ね。見たところ若いし、未成年だよね?
こいつらはちょっと強引だったけど、この支部は未成年の冒険者登録を推奨していないの。」
いつの間にか握手を両手で握られ、上目遣いで見つめられる。
あざといが、一応心配されている感じはする。
「そうなんですね、丁度帰ろうとしていたところだったんです。」
エリーの威を借り、ヒャハハァ達へ暗に邪魔だったと含みを利かせる。
「杞憂だったみたいで良かったわ。でもあいつらも貴方を心配してのことなの。
ああ見えて冒険者の中ではいい奴らだから、気を悪くしないでね。」
つい毒を吐いてしまったが、冒険者どもの受付嬢だけあってフォローが上手いものだ。
少し反省しつつ冒険者ギルドを去り、家に帰ろうか考え始める。




