第88話 お手本戦闘
「ちょっとだけ戦ってみましょうか」
12階層に降りたところで、ミライさんは唐突に言った。
戦う? 誰が? ――まさか!?
「俺達が!? ミライさんと!?」
「そんな訳ないでしょう。仮にやったとしても一分もあれば終わるわよ。それとも挑んでみる?」
「いえ、結構です」
珍しくつまらなそうな顔で、ミライさんは冷たく言った。
俺にはわりと甘いように思ってたのに、よっぽど笑えなかったかのかな……。
でも、ちょっと安心した。一分は保つのね。秒で終わるとか言われたらちょっとショックだった。
「この辺りで一度、楓太君のパーティの実力を見ておきたいと思ってね。どの程度動けるか知っておかないと、どう守ればいいのかも分からないし」
「ああ。確かにそれはその通りですね。進めば進むほどその余裕も無くなりますし、やるなら今だと思いますよ?」
拝賀君もミライさんの意見に賛同する。
だったら断る理由もないか。
「いいよな?」
「ああ。むしろありがたいだろ。トップレベルの人から見て評価してくれるんだから」
「おおー! やったりますよー!」
「ピュイイイ!」「ウォン!」
川辺とチヨちゃんは結構乗り気。ここまで暇だったらしいピーちゃんとマルもやる気を見せる。冷静な伊波と七緒ちゃんも、小さく頷いた。全員その必要性は分かっていたらしい。
「ミライさん、大丈夫です。それで、どれとやりましょうか?」
「そうね。基本の戦い方が見たいから、そんなに強い奴じゃなくても……ああ、ちょうどいいわ。あそこの群れにしましょうか」
ミライさんが指す方を見れば、ウサギの八羽ほどの群れが。
なるほど。確かにあれなら強くなっているだろうが、動きもそう変わらないだろうし、俺達でも十分戦える。
それにだ。今の俺なら、これまで以上に活躍出来る筈。
「七緒ちゃん。俺がデバフやるわ」
「分かりました。それじゃあ私はバフから入ります」
一言伝えるだけで、七緒ちゃんは察してくれた。このあたりはもう慣れた物だ。
「~~♪ ~~~~♪ ~~~~――」
七緒ちゃんの歌が始まり、すぐにその効果が出始める。
それを聞きウサギの群れがこちらに気づき、ボスの一鳴きで突進し始めた。
そこを狙って、俺はアイテムを投げる。
「うらっ!」
投げるのはいつもの〈鈍化薬〉。だが、今回は【錬金術】で作った試験管に入った液体バージョン!
試験管を作れる材料が見つかってだいぶ前から取り替えていたが、ここ最近は使う機会が無かった。ここでようやくのお披露目である。
ウサギ達の眼前でパリンッと試験管が砕け、液体が空気に触れた瞬間、煙になってウサギ達を包み込む。
粉であった時よりも格段に吸い込みやすくなったそれを、ウサギ達はたっぷりと吸ってしまったようだ。ブフッ、ブフッと咳込み、その場に足を止めた。
ここまでの隙を作れば、誰だって見逃さない。
「――アイスアロー!」
「ピュイイイイイイイイ!!」
「――ガウッ!」
伊波の【魔術】が刺さり、炎を纏ったピーちゃんが空から強襲し、マルが素早く飛びついて喉笛を噛み千切る。
これ以上なく完璧な先手で、三羽の角ウサギを葬った。だが更なる追撃となる前に、ウサギ達は立ち直り、反撃の動きに出る。
「――こっちだ馬鹿野郎! かかってこい!」
しかし、それすらも自由にはさせまいと、川辺の【挑発】が決まる。ボスのグレイブバニーを含めたウサギ四羽の攻撃に、川辺は盾とメイスで捌く。
ボスが混じった相手に大丈夫かと不安になったが、川辺は意外と余裕を持って守り切っていた。よく見れば、ウサギ達の動きがぎこちなく見える。
正規仕様の〈鈍化薬〉の効果。そして効果上昇のスキルが効いているらしい。これならこの先の敵にも使えそうだと、俺は安堵した。
川辺が引きつけられるのなら、アタッカー達も攻撃に専念できる。繰り返すように伊波達の追撃が決まり、部下である角ウサギが全滅。子分を失い、グレイブバニーは一瞬動きを止めた。
逃げるか? と気を抜きかけたその時、グレイブバニーの角が魔力で光る。
角ウサギにはなかったあの動き。おそらくは【穿角衝】とかいう攻撃スキル。必殺技とも言える初見の攻撃。これは川辺では――!
「――オラァ!!」
「ブギッ!?」
角を光らせて突っ込んできたグレイブバニーを、川辺は逆に盾で弾き返した。その時、盾に赤い光が纏ったのが見えた。
もしかして【シールドバッシュ】か? アイツいつの間に覚えていたの? でも見事だ!
「――ピュイイイイイイイ!」
逆にカウンターを食らってふらついたグレイブバニーを貫くように、ピーちゃんが炎の弾丸となって体当たりをかます。グレイブバニーは背中を丸々消し飛ばし、そのまま絶命した。
流石ピーちゃん。とんでもない威力だ。でも素材がほとんど使えなくなるだろうがっ。
オーバーキルが過ぎんだよ。まぁ今回は素材目当てじゃないしいいけども。
戦闘が終わりお互い労っていると、パチパチとミライさん達が軽く拍手をしながら近づいてくる。
「お疲れ様。怪我無く終えてなによりだわ」
「はい。本当に良かったです。それで、俺達の戦いはどうでした?」
んー、と考え込むミライさんを前に、俺達はドキドキとしながら待つ。
うん、と小さく笑みを浮かべて、ミライさんは言った。
「いいんじゃない? ちょっと経験不足は感じたけど、それ以上に盤石だわ。パーティのバランスも良いし、よほど無理をしない限り、レベル相応の相手なら問題ないでしょう。強いて言えば突発的なトラブル。奇襲を受けた時の対応に不安有り、ってところかしらね? やっぱり【挑発】はズルいわね……」
その評価に、俺達はほっと息を吐く。
パーティの動きでは、高レベルの探索者の評価なんか受けたことないからな。本当に安心した。
もちろん満点ではないけど、合格点が取れたならそれでいいわ。弱点はおいおい直していきます。
「合格点が取れたようでなによりです。でも、【挑発】がズルいとは? いや、かなり強みだなとは思っていますが」
「私達は【挑発】抜きでも立ち回れるようになっているけど、安定感ではやっぱり【挑発】には敵わないってこと。盤石っていうのも、川辺君が崩れる気配がなかったからよ。ハッキリ言って、このパーティの戦闘面は川辺君が支えていると言ってもいいわ」
「えっ、そうすか? いやー、そこまで言われると照れるなぁ」
うぇへへへ、と川辺は気持ち悪い笑みを見せる。
調子に乗りやがってと思うが、頼りになっているのは事実だからな。ここに関してはその通りですとしか言えないし、茶化せんわ。
ミライさんの意見に、刻子さんも同意する。
「ええ、こっちも安心して見ていられるほどに、本当に安定していましたよ。楓太さんと七緒ちゃん以外でセカンドジョブを取得していないのも、それが理由でしょうね。まぁこれに関しては一長一短なので、一概に悪いとは言えませんが」
「ん? えっと、どういう意味です? 【挑発】があるとセカンドジョブを取れなくなるんですか?」
そんな話、聞いたこと無いんだが?
首を傾げる俺に、ミライさんが代わりに答えた。
「【挑発】がないと、いつ後衛に魔物が襲ってくるか分からないからね。そんな時、後衛職も自分で魔物に対応できるようにする必要があるのよ。その方法の一つとして、近接戦闘用のジョブを新しく取得する、というのがあるの。つまり必要に駆られてセカンドジョブを取得するって訳」
ああ、なるほど。俺らは川辺が盾として安定しているせいで、自分の仕事に専念でき過ぎているってことか。そのせいでセカンドジョブを取得する必要がない。だから取れないと。
そういえば小畑会の人も、〈魔術師〉なのに前衛系のジョブを取得している人がいっぱい居たな。真逆のジョブを取得するのって、ビルド的にどうなんだ? って思っていたけど、そういう理由だったのか。
「カコの場合は前衛ジョブこそ持ってませんけど、術師のスキル【杖術】を磨いています! ある程度は自分で対処できますよ!」
「へぇ~、そりゃ凄い。うちの伊波なんか襲われたら何も出来ずにやられるよ?」
「ふっ、否定はしない。もっとも、僕に近づけた敵なんて今まで存在しないがね」
「俺が居るからだろ。なに強者感出してんだ」
スチャリ、と眼鏡を弄る伊波に川辺がツッコむ。
物は言いようだよなぁ……。
「ってことは、刻子さんの弓――あ。すみません」
「なんですその切り方? 逆に気になるんですけど」
「いや、ジョブのことだからさ。勝手に話すのもどうかと」
「ああ、そういう……」
俺は【鑑定】で知っているけど、七緒ちゃん達はまだ刻子さんのセカンドジョブについて知らないからな。
マナー違反かなと思って口ごもったのを、七緒ちゃんは察してくれた。
まあ仲間だし、一緒に遠征に出る仲なら話してもいいかなとは思ったけどね。そもそも刻子さんの担いでいる弓からして、予想しやすいし。
その辺の機微を察してか、刻子さんは微笑ましそうにしながら言った。
「ふふっ、構いませんよ。私も確かにセカンドジョブで〈弓師〉を持っていますが、これは敵への対応ではなく、魔力の節約の為です。全ての敵に【魔術】を使っては、すぐに魔力切れになりますから。特に私は水の確保でも魔力を使うので、あまり無駄に撃つ訳にも行かず……それで余裕のある時は弓を使っている内に、取得出来たんですよ」
なるほど。確かにそれなら【MP】の節約になるな。伊波も取り入れ……いや、コイツには無理だな。そんなセンスがない。
「なるほど。そこまでシビアな魔力節約の必要がなかったので、僕にはなかった考えですね。勉強になります」
「そ、そうですか……」
伊波の真面目な反応に、頬をヒクつかせる刻子さん。
お前、もう少し気を付けろよ。普通に煽りに聞こえるぞ。
「でもここまで聞くと、【挑発】なしでの戦いも見てみたいですねー。私が知っているのは、それこそ素人の集まりの戦いだけでしたので……」
「確かに俺も気になる。なんだかんだ、俺も兵藤さんのとこでしか、そういう戦いを見せてもらったことないし」
若干のトラウマを覗かせるチヨちゃんに、川辺も乗る。
後輩探索者の向上心に、ミライさんは快く引き受けてくれた。
「それじゃあ、ちょっと見せてあげましょうか。参考にするといいわ」
♦ ♦
〈百花繚乱〉の戦いを見せてもらうことになり、早速ちょうどいい相手を探す。
そして決めた相手は、俺達では挑むのに躊躇するような強敵だった。
〈バルクホーン〉――中層から現れるバッファローの魔物だ。
地上のバッファローと比べ、角が大きく黒曜石のような質感。背中と肩にかけての筋肉が異様に隆起しており、赤い目をしている。その重量と筋力から生み出される突進はあらゆる者を轢き殺すという、この渋谷ダンジョン中層における雑魚としては強い部類らしい。
気性はバッファローらしく、手を出さなければ襲い掛かってくることもない。しかし縄張りに一歩入りこめば……というのは言わなくても分かるだろう。
そしてそんなバルクホーンの中には、一頭だけ更にスケールの大きい奴が混じっている。
〈ドレッドホーン〉――バルクホーンの上位種。バルクホーンの特徴に加え角に赤い文様が走り、表情も周りの奴らと比べどこか険しく見える。
「さて、行きましょうか」
俺達では挑むという選択すらないような魔物を相手に、ミライさん達は散歩にでも行くかのような足取りで近づいていく。
ピクリ、と群れのボスであるドレッドホーンが、ミライさん達の接近に気づき顔を上げる。睨み続けるだけで何もしない。だが、ある地点にミライさんが足を踏み入れた途端、ドレッドホーンは吠えた。
「ブォオオオオオオ――!!」
「――――ッ!!」
ボスの声に反応し、全てのバルクホーンがミライさん達に体を向ける。そして、身震いをして足を進めようとしたその瞬間だった。
「――【鈍足の呪い】」
日向さんがおどろおどろしく呟くと、妖しい光が両手で持った杖から発せられる。するとバルクホーンの群れ全体に同じ光が発生し、上がり始めた速度が見るからに遅くなった。
よく見れば、バルクホーン達は走り辛そうに足を上げ下げしている。身体が重く感じるのか、速度自体が遅くなっているのかは分からないが、〈呪術師〉の【呪術】によって速度にデバフが掛かっているのだろう。
〈呪術師〉の本領を初めて見た。伊達にデバッファ―の専門職と呼ばれていない。これだけの数を相手に、纏めて呪いを掛けられるものなのか。
バルクホーンの突進も、速度に乗ってこそのもの。それでもその重量だけで脅威ではあるが、これだけでだいぶやりやすくなるだろう。
「――【脱力の呪い】」
だが、日向さんは手を緩めない。さらに攻撃力を下げる呪いを掛け、バルクホーンの武器を潰しにかかる。
ここまで攻め手を弱らせたのなら、思う存分こちらから攻められるだろう。
それを後押しするように、カコちゃんが動いた。
「よーし、いっくよー! ミライお姉様と蒼ちゃんに――【筋力上昇】! 【攻撃力上昇】!」
カコちゃんの杖から、濃度の違う赤い光が発生し、ミライさんと今西さんの身体が輝く。ステータス強化のバフと、攻撃するダメージに倍率をかけるバフだ。〈付与術師〉としては定番のコンボらしいが、この二つを重ねるだけで攻撃力が段違いに変わるらしい。
〈呪術師〉で鈍くなった敵に、〈付与術師〉の援護。
ここまでのアドバンテージが揃えば、アタッカーも迷わず突っ込める。
ミライさんが群れに突っ込み、その後ろを追うように今西さんが行く。
そして先頭のバルクホーンに、ミライさんは腕を大きく振りかぶった。まるで野球の投手のように、オーバースローで拳槌を振り下ろす。
「すぅ――フッ!!」
――ズゴンッ!
人が獣を殴って出せる音じゃねぇよ……。
ミライさんの拳がバルクホーンの頭部に叩きつけられ、そのまま地面に沈ませる。殴った場所はボコリと大きく陥没しており、たった一撃でバルクホーンの命を奪っていた。
仲間の仇討ちとばかりに、他のバルクホーンがミライさんを狙う。が、ミライさんの蔭から飛び出た今西さんがそれを迎え撃つ。
「――ハァッ!」
咄嗟に角を振ってくるバルクホーンの攻撃に身をひるがえしつつ、すれ違いざまに細剣を振るう。
首、脇、足など太い血管や大事な腱のある場所を的確に切りつけ、実にスマートに行動不能に追い込んでいた。
ミライさんは続けてバルクホーンに襲い掛かり、援護するように今西さんが動く。
片や暴力的に。片や鮮やかに。タイプの違う二人が、連携して群れを相手に暴れまわっている。
パワータイプとテクニックタイプの共演、というか。
ゴリラに付き従う騎士のよう、というか……。
ま、まあともかく、安心して見ていられる強さだ。
――ドパンッ!
そんな二人に見とれていた時、一頭の肩辺りが消し飛び、大量の血を流す。動きを止めたその一頭に、すかさず今西さんがトドメを刺した。
今のは……と、視線をカコちゃん達の方に戻してみれば、刻子さんが弓を放った体勢を作っている。間違いなく刻子さんの放った矢が貫いたのだろう。
いや、だとしてもただの一矢があの威力? 【MP】節約のための〈弓師〉って言ってなかったか? むしろこっちがメインになるんじゃ……。
俺が呆然としている中でも、刻子さんはゆっくりと矢を番え、また放つ。動作自体は遅いが、それだけの時間をかけているからか、一矢放つ度に確実に深手を与えている。そしてそこをミライさんと今西さんがトドメを刺していく。
「ブォオオ!!」
「――――ッ!」
このまま最後まで行くかと思われたその時、ボスが吠えて群れの端に居た一頭が刻子さんに向かって突進した。
未だ日向さんのデバフが掛かっているとはいえ、突進に入ってしまえばかなりの速度が出る。あっという間に群れから離れ、一頭だけで刻子さんに向かう。
だが、またもや俺は驚かされた。
今西さんはそのバルクホーンに気づくと、その場をミライさんに任せて刻子さんを守りに向かう。明らかに出遅れていると思いきや、今西さんの姿が霞んだ次の瞬間、突進しているバルクホーンの正面に回り込んでいた。
「――姫達の元へ行きたければ、僕を倒してからにするんだね」
「きゃー! 蒼ちゃんかっこいいー!」
聞いているこっちが恥ずかしくなる今西さんの台詞に、カコちゃんがノリノリで返す。すると、今西さんの身体が白く輝いた。
明らかに何らかのバフの光。その光を灯して今西さんが剣を振るう。先ほどまでは防御の薄いところを狙って斬っていたが、一閃するだけであっさりとバルクホーンの首を刎ね飛ばした。
ピュンッ、と剣を振って血を払い、今西さんは言う。
「我が姫達に手を出した報いだ。己の愚かさを呪うがいい」
すると、今西さんの輝きが更に強くなる。
今西さんはすぐにミライさんの元に戻ると、よりキレの増した動きでバルクホーンを斬り回っていた。
その動きの凄まじさに、呆れながらも川辺は言う。
「ちょっとアホっぽいけど、強すぎじゃね? どうなってんだありゃ?」
「アホっぽいとはなんだ。カッコいいじゃないか」
「ええ。まるで王子様のようですよ」
そんな川辺を伊波は睨み、七緒ちゃんは興奮した様子で反論した。
ハッキリ言って、川辺の感性が正しいと思うぞ。あれはカッコつけすぎだろ。正直見ているこっちが恥ずかしい。
まあ今西さんの場合はジョブのこともあるから、アレは必然的な物ではあるんだが。
ミライさんと強化状態の今西さんによって、バルクホーンは次々に倒されていく。残すのはボスであるドレッドホーンのみ、という所になって、その魔物の様子が変わった。
「――ブォオオオオオオオオ!」
「あら。【狂化】状態に入ったわね。これなら私も全力でいいでしょう。蒼、ここからは私だけでやるわ」
「分かりました。お姉様、ご武運を」
剣を鞘に納めて一礼し、今西さんはさがった。
そして、ミライさんとドレッドホーンの一対一が始まろうとしていた。
【魔物鑑定】
名称:ドレッドホーン
レベル:23 (魔力保有値3349)
ステータス:【MP】132【STR】248【CON】225【POW】121【DEX】145【INT】69
スキル:【鈍重】【狂化】【突進】【鈍重角撃】
見るからにパワータイプ、といったステータス。あの巨体、重量から繰り出される攻撃は、ステータス以上の威力があるだろう。そして今は【狂化】により、【STR】にバフが掛かっている。
【狂化】によって変わったのはステータスだけではない。凶悪な顔つきはさらに禍々しく、発達した筋肉が膨れ上がる。その威圧感だけで漏らしてもおかしくない。
正直に言えば、こうして距離を取って眺めているのすら止めたい。今すぐにでも逃げ出したい。そんな恐怖を感じる魔物だ。
しかし、そんな恐怖もミライさんのステータスを見れば吹き飛んでしまう。
【人物鑑定】
名称:中野 三蕾
性別:女性
年齢:41歳
レベル:34(次のレベルまで52978)
ステータス :【MP】265【STR】320【CON】218【POW】220【DEX】369【INT】276
ジョブ:〈舞闘士〉【戦舞】レベル―【舞律昂揚】レベル6【拍衝響打】レベル4【刃華の舞】レベル3【軽舞】レベル5【踊魂解放】レベル3【連撃】レベル5【貫通打撃】レベル3【魅了】レベル6
――逃げて! ドレッドホーン超逃げて! そいつ思った以上にゴリラだよっ!




