アンカー
『位置情報測定中』
ディスプレイはなさそうだが不思議と文字が浮き上がっている
しばらく眺める
「……で、測定中のままフリーズでもしてんのか?」
機械に聞こえていたのか表示が変わる
『測定失敗:対象が地球に存在しません』
「まぁ そりゃそうなるわな」
あの神様らしいと思いながらポケットにしまう
『アンカーを再取得中…… 【死神の鎖:再取得失敗】 』
ポケットの中で微かに熱を持った
「GPSくらい使えて便利な機械かと思ったんだけどな~」
『補助測位起動:代替アンカーを探索中……』
『アンカー打ち込み完了: 現在地を仮登録』
瞬間、視界の端が歪み、世界が揺れた
いや、空間を切り裂いて――違う世界に放り込まれた
という表現のほうが近い
全体的に赤黒く、植物一つ見当たらない荒れ地
一言で言えば、地獄
「お前がニートか?」
異空間に声が響く
しかし姿は見えない
「お前が空間をkx」
「おっと危ない 死神の鎖は切っておかないと」
天から光の筋が降り注ぎ、異空間は霧のようにかき消された
再び目を開けると、そこは元の森の中だった
――
アホ神の声だった
「また あいつのせいなのか?」
とりあえず助かった事に安堵しながら、前途多難な予感がする
「何回異世界転移みたいな事すれば良いんだよ」
空には魔法の残滓が微かに光り 天国への道のように空へと伸びている
その周囲には【あば】が飛んでいた
儚く、淡く、徐々に薄れ、やがて見えなくなった
――まるで、次元のひび割れに吸い込まれるように