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 男子禁制(弟王狗呼は除かれる)の神殿は、蘇邑によって呆気なく破られ、そこは凄惨な殺戮場と化した。

 卑弥呼に迫る敵を阻止しようと、巫女達は立ち向かったが、蘇奴国王の無慈悲な矛の一閃により屍の山が築きあげられる。

 鬼人と化した蘇邑は、阻む者すべての命を奪いながら、夕暮れ迫る大鏡のある広間へと雪崩込んだ。


 卑弥呼はその瞬間もじっと目を閉じていた。

 予想できなかった現状に、自らを悔いるように。

 蘇邑は正面に、小さな老婆を見る。だが、対峙しているのは卑弥呼だと確信を持てない。


 蘇邑は肩で息をしながら傷だらけの身体で、血走った眼で老婆を睨んだ。

 その様子を青ざめた顔で、十六夜、采乎、壱与は見ている。


「お前は卑弥呼か」


「そうだ」


 卑弥呼は静かに答えた。

 蘇邑は目の前の女王にうっすらと笑う。


「卑弥呼よ。我が王、そしてお前を信じて、報われることなく倒れていった同朋の為にも死んでもらう」


「ああ、殺せ。私は長く生き過ぎた」


 卑弥呼は怯えることもなく、微動だにせず目は閉じたままで言い放つ。

 十六夜、壱与は目を見開き、卑弥呼を見続ける。

 采乎は自分のクニの王をじっと見ている。


「ふふ、見かけとは違い。威厳に満ちておる、さすが女王」


「・・・・・・」


「では、死んでいただこう」


 蘇邑は確実に女王を仕留めるべく、鉄矛を両手で持ち、頭上高々とあげる。


「蘇奴国を裏切った報い、今こそ受けよ」


「それは違います!」


 凜とした声が響くと、采乎は卑弥呼の前進み出て、彼女を庇う。


「何?」


 蘇邑の矛を持つ手が、わずかに緩む。


「お前は・・・我がクニの・・・生きていたのか」


 采乎は頷き、


「王よ。あなたは間違っています。こんな事をしても、前王や死んでいった皆は喜びません」


「ふ、はははは!そんな事は分かっておる。だが、我のこの怨み憎しみは、女王を殺すことでしか消えることはない」


「・・・そんな」


 采乎は息を飲み。言葉に詰まるが、なおも説得を続ける。


「卑弥呼様は蘇奴国を救おうと、なさったではありませんか。裏切っただなんて・・・」


 蘇邑は鼻で笑う。


「ふん、形だけの体裁を繕うようなやり方でな!我の目は誤魔化せん!もうよい、そこをどけっ!」


「どきません」


「ならば死ね」


 蘇邑は、矛を振り落とそうと力を入れ身構える。

 矛先から炎と霧がでて、采乎と卑弥呼の命を奪おうとする。


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