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鏡片は祖母の首に紐でかけられていた。
そっと外し十六夜は鏡片を胸に抱き、祖母を見つめる。
祖母は何言わぬ屍と化していた。
十六夜はしばらく祖母の姿を目に焼き付けていた。
きゅっと顔を引き締めると、祖母に感謝の一礼を深々として立ち上がった。
「ありがとう、おばあさま」
十六夜は祖母に小さく呟いた。
鏡片を握りしめ、自分の首に提げる。
祖母との絆を確かめるように、紐をしっかり結び微笑んだ。
振り返り、自信に満ちた表情で母の元へ歩く。
一部始終を見ていた女王は我が母に感謝する。
戻って来た娘をしっかりと抱きしめた。
「十六夜よく頑張りました。でも、これからがはじまりなのです」
「はい」
十六夜は母の胸の中で力強く答えた。