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「ところで・・・」
母は本題に入る。
「我らは弥奴国に在る鏡片の白虎なのですが」
母は注意深く辺りを見渡し、誰もいないのを確認し、声をひそませる。
「あなた方は、蘇奴国で鏡片を手に入れることが出来なかった・・・我がクニの白虎の鏡片を手に入れる覚悟はありますか」
母は少し皮肉をこめて言う。
「私達は、その為にここに来たのです」
即座に彌眞は言い返した。
「私達には鏡片を得なくてはいけない目的があります」
十六夜は思いを込めて言う。
母はゆっくりと頷く。
「では、鏡片を持つ者が余波であるとしても」
三人は一瞬、声を失う。
が、意外にも采乎が、
「勿論です」
と力を込めて言う。
母は喜び微笑むと、
「これで、安心しました。それでは」
母は話を続ける。
「我がクニには、王となる試練があるのです」
いきなり話が変わったので、面食らう三人。
それでも、彌眞が、
「・・・それで」
と話の腰を折らないようにする。
母は核心を喋り出す。
「これは、今は亡き前王が、脆弱な余波を見かねてのことでした。鏡片を背振山の山中の何処かに隠してしまわれたのです・・・それを探しあてることで・・・」
「王になり得るということですね」
母は静かに頷く。
「そうです。でも、あの子はこの試練に立ち向かいもせずに王を名乗っています。きっと、あの子は恐ろしいのでしょう」
母はそう言うと一同を見渡し、瞳に涙を浮かべて懇願する。
「余波と共に鏡片を探してくれませんか」




