45 九、盟深探湯の法
九、盟深探湯の法
彌眞、十六夜そして采乎の三人は、命からがら蘇奴国を脱し、三日かけて邪馬台国連合国対蘇国へ到着した。
蘇奴国の隣であるこのクニは、いまや蘇奴国が狗奴国側に着いたので、対蘇国が戦いの最前線となっている。
蘇奴国の反乱という事実に脅威に晒された対蘇国は、クニ中に重苦しい空気に包まれていた。だが、現在、表立って両国に動きはなく、緊張の続く小康状態を保っている。
その数日後。
彌眞は身体を起こそうとするが、激痛が走りうずくまる。
瞬間に、蘇奴国王蘇邑に襲われたことを思い出し、歯を食いしばり痛みに耐え、半身を起こす。
(くそっ!)
心の中で苛立ちを叫ぶ。
采乎が慌てて駆け寄る。
「まだ、安静にしなくては」
彼女は彌眞をなだめると、有無を言わさず、無理矢理寝かしつける。
「邪馬台国に!卑弥呼様に伝えなければ!」
采乎は、彌眞を押さえつけながら、
「安心してください。対蘇国の兵士が、蘇奴国の反乱を告げに邪馬台国に派遣されました」
「対蘇国?」
彌眞はまわりを見渡す。
どうやら居館にいることが認識できた。
視線の隣には、十六夜が苦しそうにうずくまって寝ている。
采乎はふっと力の抜けた彌眞をそっと寝かせると、十六夜のもとに行き優しく背中をさすってあげる。
「はい、ここは対蘇国です。彌眞様あなたは五日間、気を失ったままでした。私と十六夜様、二人でここまでお連れするのは大変でしたよ」
「五日も・・・でも十六夜はどうして・・・」
采乎は十六夜を見つめて、優しくゆっくり背中をさすってあげる。
「彌眞様、あなたが意識を失っている間、十六夜様は盟深探湯をなされたのです」
「盟深探湯・・・」
「・・・十六夜様の事、聞いていただけますか」
彌眞は聞き慣れない言葉に眉をひそめ、十六夜の背中を見つめ、頷く。
「それでは・・・」
采乎はゆっくりと彌眞が気を失っている間の事を語り始めた。




