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彌眞は、静かに闇の中へと落ちていく。
王の元へ駆けつけた副官が囁く。
「よいのでしょうか。あの者を生かしておいて」
副官は彌眞が倒れた方を振り返る。
十六夜と采乎が彼の元へ駆け寄っていく。
「・・・・・・」
「よいのでしょうか」
副官は繰り返した。
「よい」
と王は強い口調で言う。
「しかし」
副官は蘇邑に抵抗し続ける。
「いずれ、かの者たちは災いの種となるかもしれませんぞ」
「それでよい」
王の言葉に副官は驚く。
蘇邑は副官を見て、
「それでよいのだ。あいつらを殺しても今は何も変わらん。鏡片の一片はわが胸に収まっている。もし、あやつらに奪われるのなら、俺もそれまでの男だ」
王はそう言うと、副官を置き去りにして駆けだす。
副官は振り返る。
(いずれ、これが災いとならねばよいが・・・)
視線の先には、彌眞を介抱している十六夜と采乎がいる。
闇の中で、彌眞は思った。
(これが、憎しみの力・・・)
十六夜は、彌眞を膝に抱きかかえ、邪馬台国連合蘇奴国の最後を見つめていた。




