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王は再び彌眞の首を持ち、吊り上げると激しく叩きつけた。
「聞こえるか、邪馬台国の使者よ」
彌眞はかすかに蘇邑の声を聞いた。
「返事をせねば殺す」
彼は声が出せなかった。ゆっくりと手をあげて意識があるのを伝える。
「まだ、死にたくないらしいな」
彌眞はゆっくり頷いた。
「ならば邪馬台国女王卑弥呼に伝えよ。我が蘇奴国は狗奴国に従うと、そしてここにいた邪馬台国を信じるすべての者を皆殺しにしたと!」
蘇邑は周りの戦況を見て、満足気に頷く。深く息を吸い込み叫ぶ。
「我らの積年の怨み、ここより始まる!王よ、ご照覧あれ!」
胸元から鏡片を外し、天高く突きあげる。
兵士たちは雄叫びをあげて叫ぶ。仲間を殺した罪悪感を打ち消す、戦勝の歓喜。
王は満面の笑みを浮かべると、彌眞に冷たく言い放つ。
「もうよい、いずこでも立ち去れ」
彼は恐怖で頷く事しかできない。
「これが戦というものだ。戦のないクニで育ったお前には分かるまい。」
蘇邑は矛を強く握りしめる。
「皆の者、あと少し!一気に決めるぞ」
高らかに叫び、自ら先頭で駆けだす。
兵士たちはそれに続いた。




