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彌眞は女王の表情が穏やかになっているのと、十六夜の晴れ晴れとした様子に気づく。よく見ると、彼女胸元には光る鏡片があった。
このクニで一番の巫女が十六夜、邪馬台国に同行する人物だと分かった。
十六夜は彌眞を見るなり、思わず笑いそうになる。必死に堪えるが声を出して笑ってしまった。
涎のついた床は拭き取ったが、彌眞の唇から顎にかけて固まった白い涎が一筋ついていたのだ。
つられて女王も微笑んでしまう。
「?」
彌眞は、待たされた挙句、意味も分からず笑われたことで腹を立てた。
「失礼な。私の顔がそんなにおかしいですか」
その言葉に二人はまた笑いだしてしまう。なんとか、笑いをこらえた女王から、
「すまん、彌眞殿。そなたの口にとても良いものが付いていたので」
「・・・えっ」
絶句する彌眞、慌てて袖でごしごしと唇を拭う。恥ずかしさで二人から顔を背けた。
「これでよろしいでしょうか」
「彌眞殿、こちらを向かなくては分かりません」
ようやく笑いを留めた十六夜が指摘する。
彌眞は複雑な表情を見せる。
それがおかしく十六夜はくっくっと肩を震わせる。
女王は彼女をたしなめ、
「うん。いい顔です。まずは落ち着かれよ。十六夜いい加減にしなさい」
「はい」
彌眞は憮然として腰をおろす。




