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 ~数か月後~

 

 邪馬台国に春が巡り、心地よい日和のある日。

 門前には、ここを去る彌眞の姿があった。

 女王の許可を得て、采乎、壱与、夜邪狗が彼を見送りに来ていた。

 彌眞は、みんなに深々と頭を下げて礼をする。

 夜邪狗は言う。


「ようやく、クニグニを取り戻し、これから忙しくなるのに、お前は行くのか」


 彌眞は、にこりと笑う。


「はい。私は伊都国へ帰ります」


「クニに帰ったら、伊声耆殿の墓前に宜しく伝えてくれ」


「はい、必ず」


 壱与が進み出て、


「また、戻ってきますよね」


「勿論・・・いつか」


 壱与の顔がぱっと華やぐ。

 彌眞は全員を見渡し、采乎を見ると、


「采乎さん、いままでありがとう」


「彌眞様、お礼を言うのはこちらの方です。皆さんのおかげで、こんなにも良くなったのですから」


 采乎は少し右足を引きながら、ゆっくりと彼に近づく。


「でも・・・」


「えっ」


「残念ですね」


 采乎は続けて、


「十六夜様」

 

 彌眞は戸惑う。

 采乎はくすりと笑う。

 彼はしどろもどろに、


「そ、そんな事はありませんよ」


 どもりながら答える。


「嘘を言ってはいけません」

 

 と、采乎。


「はい」


 彌眞が返すと、二人して笑った。

 采乎は真顔になると、


「ずっと、行くのを反対していらしたから・・・」


「分かっていました」


「そう・・・ですか」


彌眞はにっこりと笑うと、名残惜しさを振り切るように、


「それでは!」


 と、一際元気良く話を切る。


「では、行きます」


 彌眞は後ろを見ず、走り出した。

 一気に丘を駆け上がると、そっと振り返る。

 みんなの姿が小さく見える。

 彼は苦笑混じりの溜息を小さく吐き、道の先を見据え歩きだす。


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