105/108
105
満点の星の光と篝火を頼りに、夜の世界を歩く。
二人は自然と手を繋いでいた。
激戦のあった場にたどり着くと、無数の屍が横たわっている。
夜になり初秋の風が、血の匂いや腐臭を弱めている。
幸いにも残党にも出くわす事もなく、二人はその場に着いた。
彌眞が土に刺した余波の鉄剣が、月夜の光に照らされて異様な輝きを放っていた。
十六夜は静かに祈りを捧げる。
彌眞はずっと星空を見つめる。
二人は余波や年長者、亡くなっていった邪馬台国の人達に思いを馳せる。
互いに会話を交わすことなく、長い静かな祈りの時間を過ごした。
彌眞は星を見つめながら言った。
「蘇奴国王に殺されかけた時、余波の鏡片が・・・いや、余波が助けてくれた」
十六夜はじっと彌眞を見ている。
「あの人は、きっと・・・うまく言えないけど、正直すぎたんだと思う」
彌眞は続けて、
「私は、彼の死・・・そして仲間の死にどうする事も出来なかった」
自然に彌眞の両瞳から涙が溢れだし止まらない。
十六夜は、何も言わずに彼の肩にそっと触れる。
満点の星々がすべてをいつまでも照らすように輝いている。
静寂のこの時に、音もたてず夜風が通り抜けていく。




