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追放された男、最狂にて  作者: 新仁友成
第一部 第7章 死闘
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無言

 ティラ達3人の勢いは止まる所を知らず破竹の勢いで次々に深層を攻略していた。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 94F フロアボス 紫蛙

 毒の沼地で戦わなければいけないのが強力な毒を放つ紫色の蛙。


氷雪域(ひょうせついき)展開(てんかい)!」

 辺り一面に雪が振り、ティラが歩いた所に氷が出来る。


「咲き誇れ!」


雪月花(せつげっか)!」

 地面に積もった雪が花の形になる。



「啼け(な)!!」


五月蝿(さわえ)便所蟋蟀(べんじょこおろぎ)!!」

 辺り一面に出来た氷から蝿と蟋蟀の群れが生まれ相手を襲いながら氷属性の魔力因子を増やしていく。


「阿天羅、阿流巳須っ!お願いっ!!」


『はぁぁ、仕方ないわね~』

『じゃぁ~こ♪じゃぁ~こ♪じゃぁ~こ♪』

 阿天羅、阿流巳須が氷で紫蛙を拘束する。



 ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 バタッ!バタッ!ババンッドンッ!

 バタバタ

 ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 紫蛙は暴れている。



 ティラは左手の人差し指と中指を立て胸の前に固めて詠唱を唱え始めた。


「志し高くも道半ば頓挫した玉座」


「君臨者は今日も王座を玉座と偽る」


「偽りの中で生まれる逸話」


「胸踊らせた童話は交差して何処(いずこ)へ」


「嘔吐し続ける王と遊ぶ歩兵は未だ応答無い」


「北が天と唄い走る騎兵」


「南が地獄と謳う詩人」


「外と内の寒さが融合した時」


「死へと誘うだろう」


「ハァァァァ!!」


「凍志・絶対零度!!」

(とうし・ぜったいれいど)

 氷が紫蛙を捕らえる。


『アタシ達も行くわよっ!!』阿天羅。


『うん。オネェちゃま。』阿流巳須。


『ふぅー……ハァァァァ!!』

 阿天羅は大きく息を吸って吹雪を吐く。


『ハァァァ!ヤァァ!』

 阿流巳須は両手に氷属性の魔力の塊を溜めて放つ。


 ティラは人差し指と中指を相手に向けて開く。

(あつ)っ!!!!!!」

 開いた手の平の拳を握る。


 紫蛙は圧殺された。


 ロムのコメント

 ・やっぱ強すぎるww

 ・安心感がアルベールなんよwww

 ・それなwww


『もぉーこれじゃ半分以上は素材として使えないじゃないのよっ!!』阿天羅。


「まぁ、そこは追々かな。今はこのメンバーで攻略出来る所を目指しているから。死んだら意味ないでしょ!?」


『フンッ!わかってるならいいのよ!!』阿天羅。


『オネェちゃまとアタティが居るのに負ける事とかあんの~??』

 阿流巳須。



 アルベールからの呪具、着けると寿命が失くなって行くが全ての状態異常が効かない。という呪具を身に付け呪いを全て阿天羅が受けて、全ての状態異常が効かない。という恩恵だけ受けているティラには毒がどんなに強力でも、効かない。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇


『まちゅター!!』


『マスターただいまっ!!』


「…」

 無言のティラ。


「お帰り。」

 阿天羅はアルベールを見つけると直ぐに駆け寄りソファーで座ってるアルベールの膝にちょこんと座る。

「お帰りですわ~」クロム。


『あーオネェちゃまだけズルいズルい!!アタティも!!!まちゅタ~!ちゅー!』


「はいはい。阿流巳須も可愛いよ。」


『えへへへ。』


「あっ!!3人ともお帰り。」

 ルシェラ。

「帰ってたのか!?」

 シルフィード。


 コクンッ

 頷くティラ。


『今、帰ってきたの~』

『えへへへまちゅター。ちゅー。』


「今日は?どこの階層?」ルシェラ。


「94Fです。」ティラ。


「94じゃ、紫色の毒蛙か。」シルフィード。


「はい。」ティラ。


「あそこ、アル様の活躍で私、記憶がありませんわ~」クロム。


「相性が良いんだよね~」

 アルベール。


「…」気まずさから無言のティラ。


「ティラちゃん、普通に接して大丈夫よ。許す許さないはアル君の心が決める事だけど今の私達は貴方の事はわかっているから。」


「はい…」


「もう、ティラ~笑顔で楽しみになさいよ~」

 ティターニアが口を開く。


「でも、そんな簡単にはいかない物よターニア。私はアルとターニアが側に居るから幸せだけど~。」

 ペルが口を開く。


「そうよね~」

 ティターニア。


 ティラはアルベール達の屋敷に住むに辺りダンジョン攻略をしながら掃除と洗濯など進んで手伝っている。


 ルシェラ達も2日に1回のダンジョン攻略と毎日の家事手伝いは体に負担が大きいからと何度も断っているが本人の希望で毎日続けている。


 そんな、ティラを見て同居人は少しずつティラに対しての態度が柔らかくなっていった。

 勿論、アルベールもだ。

 だが、ティラがアルと呼んでもアルベールがティラの名前を呼んだ事は無い。

 口調が少しだけ柔らかくなっただけ。


 こんな状況下なのにティラが屋敷から出ていかないのは阿天羅達の事とアルベールに対しての負い目を感じているからだろう。

 近い所で少しでも償いたい。

 1人よがりの気持ちだが、ルシェラ達が間に入り、アルベールの気分を害さない様に努めた。


 ルシェラ達も恋する乙女としてティラの行動全ては理解出来ないし、したくも無い。だが、その気持ちだけは理解している。想い人の全てを手にしたい。想い人の頭の中が自分でいっぱいになって欲しい、と。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「ティラちゃんは明日何するの?」ルシェラ。


「明日は、撮影が1件入ってます。10時に本部に行きます。」


「何の撮影なんだ?」シルフィード。


「飲むヨーグルトです。」


「飲むヨーグルト?」

 アルベール。


「最近、そう言うの流行ってるわよね♪」

 ルシェラ。


「はい。ただ、今回の案件はスキンケアらしいですけど……」ティラ。


「スキンケア?」ルシェラ。


「はい。飲んで肌のスキンケアになるヨーグルトです。日焼け止めにも効果有るらしいです。シミ予防とか…」ティラ。


「「「なっ何それ?」」」

 ルシェラ、シルフィード、クロムが驚く。


「あの黄色いラベルのでありますか?」

 リーゼ。


「そうそう。」


「リーゼちゃんも知ってるの?」ルシェラ。


「はい。であります!!大きさはこれくらいで、1本大体130円くらいのであります!!」

 リーゼ。


「そんなのがあるのかっ!?」

 シルフィード。


「もし、貰えたら貰ってきましょうか?」

 ティラ。


「「「ぜひ!!」」」


「3人とも必要なの?充分綺麗だけど?」

 アルベール。


「何を言ってるのアル君っ!!仮に今が綺麗でも10年後もちゃんと愛してくれるっ!?」

 ルシェラ。


「そうだ!そうだ!」シルフィード。


「私、アル様が浮気したら八つ裂きにしちゃますわ~♥️」クロム。


(1人やべー奴が居るよ。何っ八つ裂きって!!)


「なら明日、俺も暇だから散歩がてら買ってくるよ。」アルベール。


「ありがとう。じゃあ私も一緒に行こうかな♪ついでにアル君も飲んだ方がいいよっ!?」ルシェラ。


「いいね♪じゃあ、みんなで買い物でもするか?」アルベール。


「「賛成っ!!」」

「はいっであります!!」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 ベランダで夜風に吹かれ1人でボーッとしていたアルベール。


「アル君ッこんな所で何してるの?」ルシェラ。


「みんなは?」


「まだ、お風呂じゃないかしら?そろそろ出ると思うけど。」


「いや、ちょっと考え事……」


「ティラちゃんの事?」


「まぁ……込みで色々(笑)」


「アル君がしたい様にすればいいと思うよ。許すも許さないも、アル君が決めればいい。でもね、私にも居場所をくれた、優しい優しいアル君だから1つだけお願いしていいなら、あの娘の頑張りと自己満足かも知れないけどアル君に償いたいって想いだけは認めてあげて欲しいな。」


「…うん。そうだね……」




 2人で夜空を見る。

 言葉は無い。

 無言。

 でも、不快な感じも気まずさも無い。




「星が綺麗だね。」アルベール。

「そうだね♪」ルシェラ。



「じゃあルシェラさん、ちょっと風呂場行ってくる。もう出る頃でしょ?入ってたらリビングでペル達と遊んでるよ。」


「うん。待ってるね。」





(あの星みたいに綺麗になりたいな…)




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