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爆発落ちなんてサイテー

 「ついに……ついにこの時が来たか……」


 異世界に来て20年。

 短いようで長いような、短かったような……まぁどっちでもいいや。


 俺は普通の学生だった。

 しかし、よくわからい内に死んでいて、いつの間にか異世界に送られていたのだ。

 自称神とかいう胡散臭いジジイにチートを押し付けられて、そのまま訳も分からず放り出された。


 自称神の胡散臭いジジイとはそれから合っていない。

 この世界に来たばかりの頃は、最強になってモテモテになるんだ!とかいうアホな事を考えていたが、それはすぐに叶わなくなった。


 俺が手に入れたチートは戦闘の役に立たないものだったのだ。

 所謂、生産チートという奴だった。


 最初はショックだったが、立ち直ってからはそれなりに頑張って、それなりの収入を得ながら普通の暮らしをしていた。


 しかし、数年してからこう思うようになったのだ。

 「せっかく生産チート持ってんだから、それ使って大金持ちになってやろう」と。


 俺が持っているのは『解析の魔眼』と『加工時のみ魔力消費ゼロ』というものだ。

 最初はよくわからなくて、『解析の魔眼』しか使っていなかったが、本格的に生かしていこうと考えてからは、この二つの能力は輝きだした。


 この世界にはレベルもステータスも存在しない(魔法はある)。

 俺の二つの能力の名称は俺が勝手に呼んでいるだけだ。


 『解析の魔眼』

  これは、俗にいう鑑定みたいなものだ。

  これは結構細かいところまで解析することが出来る。


 『加工時のみ魔力消費ゼロ』

  これは、魔力を使って物に干渉する魔力をコストゼロにすることが出来る。

  なんのこっちゃと最初は思ったが、これがすごかった。

  この世界にはポーションが存在し、それは錬金術師と呼ばれる者たちが製造している。

  しかし、一本一本を作るのにそこそこの魔力が必要になり、普通なら一日に30本ほど作れればいいほうらしい。

  俺はそれを魔力を使わずに作ることが出来るのだ。


 この世界のポーションは、錬金ギルドと言われる組織が、製造販売を管理している。

 さらに、製造方法も秘匿している。


 ポーション市場を支配することにより、利益を独占しているのだ。


 俺は錬金ギルドに所属し、正規の方法でポーションのレシピを入手し、ギルドに50本を卸すことでかなりの金を得る事に成功した。


 だが、これで終わりではない。


 俺の『加工時のみ魔力消費ゼロ』の能力は、ポーションだけでなく、錬金術のすべてに通用したのだ。

 少なくとも、今のところ俺の能力が通用しなかった物はない。


 そこで俺は考えた。

 俺が莫大な利益を得るためには、錬金ギルドでもなかなか作れないような物を俺が個人で作り、さらに値段をギルドよりも安く売れば、その品の市場を独占し、莫大な利益を得る事が可能なのではないかと……。


 俺の能力なら可能だ。

 しかし、これには問題がある。


 錬金ギルドは、自分たちの利益にならない事を嫌う。

 自分たちの売り上げに悪い意味で影響するなら尚更だ。


 錬金ギルドはかなり汚い事も平気でやる。

 特に上層部の奴らは、金のためなら何でもやる奴らだ。

 俺が莫大な利益を得ようと動こうものなら、問答無用で殺しに来るだろう。


 だから、俺にはギルドに屈しない程の力が必要だった。


 15年近く、その準備に費やしてきた。


 俺が強くなるのは現実的ではない。

 だから、作ることにしたのだ。


 ……かなり長くなってしまったな。


 要するに、俺お金欲しい。

 贅沢したい。

 俺の力使ってお金持ちになろう。

 でも、それやるとギルドに消される。

 じゃあ抵抗できる力を手に入れればいいじゃん。

 俺強くなれないお。

 じゃあ強い味方を作ればよくね?←イマココ


 「そして完成したのが、この『ホムンクルス』だ!!これこそが、俺の努力4割!チート6割で出来た俺に忠実な力の具現!!」


 俺の目の前には、防腐用の液体に浮かぶ人造人間がある。

 ちなみに、見た目は綺麗な女性である。

 なぜ女性かというと、これからずっと一緒にいるのに、むさくるしい男とか嫌だったからだ。


 本当にいろいろあった。

 なんど失敗したことか……。


 実はホムンクルスの材料は結構簡単に手に入る。

 しかし、錬金ギルドはこれを数少ない禁忌の一つにしている。


 なぜか。

 それは、製作のリスクがあまりにもデカいからだ。

 ホムンクルスは製作に際に莫大な魔力を持っていかれる。

 その為、製作者のみならず、周りにも被害が出てしまうのだ。


 過去に、国家規模でホムンクルスの軍隊を作ろうとした馬鹿な国があった。


 結果、出来上がったのはたった一体のホムンクルス。

 しかし、その代償はあまりにも大きすぎた。


 研究施設のあった王都で暮らしていたすべての人間が、魔力を吸われて干からびたのだ。

 さらに、その一帯の大地の魔力さえ吸い尽くし、開拓不可能の荒れ地となった。

 その場所は今でも残っている。

 砂漠という形で……。


 だがしかし、それで終わりではなかった。


 製造されたホムンクルスは暴走し、あちこちをさまよっては暴れまわったのだ。

 しかも、ホムンクルスは魔力がなくならない限り死ぬことが無い。

 防御は硬いは、ダメージを与えても再生するは……そのホムンクルス一体を倒すのにかなりの犠牲が出たらしい。


 結局、どうやってそれを倒したのかは分かっていないが、今世界が滅びていないという事は、そういう事だ。


 まぁ、そいつに関してはホムンクルスの中でも例外だと思う。

 大気、生命に関わらず魔力を吸収してしまったため、それだけ強くなってしまったと思われる。


 「しかし!俺はそれを製造することに成功した!!」


 ホムンクルスの製造にかかる魔力さえも、俺のチートでコストをゼロにすることが出来るからだ。

 後は目を覚まさせるだけだ。


 起動の仕方は簡単だ。

 軽い電気ショックを送ればいい。


 実は、今このホムンクルスは眠っているわけではなく、死んでいる状態なのだ。

 生きている状態で作るのは不可能だったからね。


 そこで、こいつの臓器を活動させる為に、外部から一瞬だけ強い刺激を送らなければならないのだ。


 「……ハァ……ヤバい、めっちゃ緊張してきた……手汗が……」


 これまでにかかった苦労を考えれば当然である。


 「よ、よし!行くぞ……さぁ!目を覚ませ!!」


 ポチっとな。


 …………


 「…………」


 ピカ―…………。


 ホムンクルスが光り始めた。


 「……これダメな奴だ」


 ピカーーーーーッ!!!


 少しづつ光が強くなっていく。


 「さすがにこれは分かるぞ。あれだろ?どうせ爆発するんだろ?」


 ピカーーーーーーッ!!!!


 「ハァ……最後の最後で、失敗で終わりか………スゥッ!……爆発落ちなんてサイテーッ!!」


 ドゴォォォン!!!!!!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 「……んん?生きてる?」


 おかしいな……もしかして爆発しなかったのか?


 「……いや、爆発してるわ……」


 上から日が差し込んでいる。

 天井に穴が開いた、というよりも、ここら周辺が更地になっている。


 「地面も禿げちゃってるよ……これどうしよう」


 ここが街中じゃなくてよかった。


 俺の拠点は、念のため何があってもいいように森の深い場所に作っておいたのだ。

 その森はもう無くなっているが……。


 「……なんか落ち着かないなぁ……って、え?は!?うそでしょ!?」


 体に違和感を感じ、自分を見てみると、俺の視界には女性の裸が映っていた。


 「……俺はそこまで馬鹿じゃないからすぐに分かるぞ……これ、俺が作ったホムンクルスの身体だわ」


 解析もしてみたが、間違いない様だ。


 「……てか過去の俺、マジでファインプレーだわ。この体でも解析使えんじゃん」


 実は、この体を作る際に、こいつも解析出来た方だいろいろと便利だよなぁって思って、俺の目の片方をこいつに移植したのだ。


 つまり、今この体についている目は、片方だけ『解析の魔眼』なのだ。


 「はぁ……とりあえず服、ってなにもないじゃん!!」


 ……いや、待てよ?


 「確かこっちの方に……お?これはワンチャンあるぞ?」


 俺の拠点には地下がある。

 避難所もかねてちょっと丈夫に作ったのだが、扉を発見することが出来た。


 「中が埋まってなきゃいいんだけど……」


 俺は地下への扉を空ける。


 バキバキバキッ


 「うっへぇ、流石俺製のホムンクルスだ。厚さ30cm以上もある歪んだ金属の扉を軽々と開けちまったな」


 自分でやっててちょっと引く。


 「お?お!?生きてる!セーフッ!!やったぜ!!」


 とりあえず、服などの物資は解決した。

 地下は倉庫のように使っていたので、食料やらその他消耗品やら錬金術に使う素材やら、すべてを保管していたのだ。


 「よしよし……作っといてよかったなぁ~。核シェルター」


 この世界に核なんてない。

 この地下室を作った際、地下室ってロマンだよね!せっかくだからめっちゃ頑丈にしちゃおう!っていうノリで作ったのだ。

 地味にホムンクルスよりも金がかかっている。


 「ハァ……これからどうしよう……」

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