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この狂った街の全てに抗え  作者: 柑藍
最終章 終わり、そして始まり
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いつまでも街は動き続ける

阿部は先輩に言われ

三浦が搬送された病院に来ていた


看護師には三浦の意識はもうすぐ戻るだろうと言われたため

病室を覗いてみることにした


「失礼します………あれ?」


ベッドの上には布団しかない


病室の入口を確認するが

確かに三浦がいるはずの病室で間違いない


どこかで検査でも受けているのだろうかと思った阿部は

通りかかった看護師に声をかける


「三浦さんですか?

意識は戻ってないはずですけど…


あれ?いませんね

安静にしとかなきゃ傷口が開いちゃうのに……」


「じゃあ…」


捜査はしないと言っても

事情を聞かない訳にはいかない

焦った阿部は廊下を走り回り三浦を探す

病院の外に出てもみるが

三浦はもうどこにもいなかった


「くっそ、逃げたんだ…」


看護師の言うように

動いても大丈夫なほどまだ体は回復していないだろう

動き回ってただで済むはずがない


しかしそうするまで

警察に事情を聞かれることが嫌だったのか

それとも他に理由があったのだろうか


三浦が消えた今となっては

もう何もわからないが

1つだけ言えるのは

この街の黒幕は

誰にも気づかれることなく

負傷した体で街に姿を消したということだ



勇真が穂香の病室を出て

その足で向かった先は

赤原学園だった


休日のため校舎には

全く人の気配がない


長い廊下を突き進み

1つの部屋の前で止まると

内ポケットから何かを取り出した


退学届だ


覚悟を決めたように

1度深呼吸をすると

理事長室へと続く扉を開いた


そこに理事長はいなかった

しかしその代わりに…


「なんだよ、お前もか」


涼が声をかけてきた


そこにいるのは涼だけじゃない

一華も賢人も鈴も理事長の机の前に立っている


勇真も4人と同じ場所まで行くと

その机の上には4枚の退学届が既に並べてあった


勇真は4人と顔を見合わせると

同じように隣に並べて置いた


「勝手に置いてても

別に引き止めはしないだろ」


「そうね」


そう言って赤原学園を後にした5人は

駅前まで来ていた


まだ街は混乱の中にあるのか

すれ違う人々が昨日起きた事件について

話しているのが耳に入ってくる


「なぁ勇真

三浦が病院抜け出したってまじか?」


「みたいだな

どこに消えたかわからないらしい」


一華の問いに答える勇真だが

もう三浦のことに

あまり興味がないようだ


「もうこの街にはいないかもしんねーな」


「病院抜け出して

生きてるかどうかも怪しいですよ」


涼が鈴も三浦が今どうしているかなど

気にしていないようだ


「もう三浦と会うこともないだろうな


それぐらい

俺らがもう1度揃うこともないってことだな」


賢人の言葉に全員が静かに同意を示す


「じゃあ……行くか」


勇真の声と同時に

この街に似合わない

春の訪れを感じさせる風が吹き込む


5人はそれぞれ

別々の方向に歩き出す

誰も振り返ることもなく

その姿は次第に街の中に紛れていく


人が集まる賑やかな街

決して平穏ではない街


裏からの支えを失った今

これからの未来など誰にもわからない


それでも

今日もまた夜になれば

どこかで喧嘩が起き、警察が出動し

朝になれば中心部には

どこを見ても人だかり



どんな未来が待っていようと

この街が動きを止めることなどないのだ


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