表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この狂った街の全てに抗え  作者: 柑藍
荒々しいのが赤原学園
10/37

赤原学園の喧嘩

教室の前まで走った三浦は

廊下に倒れている1人を見つけた


「あの…し、しっかりして下さい!」


三浦は

一体何が起きたんだと不安に襲われた


目を教室の中に移すと

あちこちに机や椅子が倒れ

さらに数人の男子がうずくまっている惨状に目を疑った


「これは…一体?」


あまりの衝撃に誰も言葉を発さない


三浦が呼び出されてから

そんなに時間は経っていない

それにしては被害が大きすぎる


三浦は彼らを甘く見ていた


この学校で狂った5人と呼ばれていることが

どれほど異常なことなのかを

目の前の状況を見て

今ハッキリと理解したのだ


シンとした中

鈴が三浦に近寄る


「五十嵐君と柴崎さんの喧嘩です

彼らは五十嵐君の味方についたため

そのことに怒った柴崎さんに

やられたんです


でもこの喧嘩、まだ終わってません

逃げた五十嵐君を柴崎さんが追いかけてます


2人を探した方がいいかと思います」


そこに勇真が戻ってきた


「涼とイチが喧嘩したらしいな

このままだと涼がやべーかもな

早く見つけないと」


そう言い

三浦と鈴と勇真の3人は

涼と一華を探しに行くことにした


始めは三浦が先頭を走っていたが

ウロウロして要領が悪いので

いつの間にか先頭を勇真に代わられていた


「あまり目のつかない場所に行ってるはずです

涼も逃げきろうなんて

考えてないだろうから」


そう言うと勇真は

階段をかけ上がった




涼と一華の危険な鬼ごっこが始まって暫く


2人は誰もいない廊下で

ある程度の距離を保ったまま向き合っていた


「やっと殴られる気になったか」


そこは使わない机や椅子

その他にも辞書や様々な資料などがおいてある

倉庫と化した教室などがある場所だった


「お前に殴られる訳ないだろ?」


余裕の笑みを見せると

立て掛けてあった傘を掴み

一華に向ける


「んなもん意味ねーよ」


そのまま一華は涼に向かって

突っ込んで行き

殴ろうと拳を振り上げる


素手で受けるとさすがにまずいと思った涼は

傘を振り回し一華に距離を詰めさせないようにする


その涼の攻撃でもあり防御でもある傘により

一華は近づけずにいる


しかし段々と振り回されるスピードに目が慣れ

傘の動きを目で追えるようになる


一歩、また一歩と一華は涼との距離を詰める


その度に涼は一歩一歩後ろにさがる


このままだと押し込まれてしまうと

そんなふうに涼が思った瞬間

一華に傘が掴まれてしまった


掴んだ傘をグッと上に持ち上げると

空いたスペースに踏み込み体を入れた


そのまま1発で仕留めようと

右手を振り上げた



しかし涼の方が少しだけ行動が早かった


傘の動きが封じられる数秒前

背負っていたリュックに手を入れると

あるものを取り出した


そして一気に距離を縮めてきた一華に向かって

手にしたスプレーを吹き掛けた


「わっ!

…っ、なんだこれ」


スプレーを顔に思い切り吹き掛けられた一華は

手で目を覆う


賢人は傘を手離すと

スプレーの粉末が漂うその場から数歩離れる


「催涙スプレー

特別に作らせたんだ


さすがに効いたみたいだな」


目を開けられない一華だが

何とか涼を攻撃しようと態勢を整える


しかし

その時別の痛みを肩の方に感じた


薄く目を開いてみると

半袖から出た左腕に1本の線が入っており

そこからじわりと血がにじみ出ていた


涼は気を緩めることはなかった


右手に持ったカッターの刃を

カタカタカタと

出し入れしながら

一華を見ていた


「クラスの中にナイフ持って来るバカがいるんだ

カッターくらい護身用に持っててもおかしくないだろ?


お前でも痛みって感じるの?」


まだまともに動けない一華を見て

満足そうに微笑むと

カッターとスプレーをリュックに戻す


「これが俺の戦い方だ、じゃあな」


ヒラっと手を振ると

そのまま立ち去った



三浦、勇真、鈴は階段を駆け上がっていた


「イチ!?」


3人の進行方向には一華が座り込んでいた


それを見た勇真は様々な言葉が頭に浮かんだ


何があった?

涼は?

何でイチが座り込んでる?

涼を追いかけたんだから

ここにイチしかいないのはおかしい

追いかけるのを止めたのか?

いや、まさか

イチが途中で止める訳がない

じゃあ…



一瞬にしていろんなことを考えた後

1つの可能性が浮かんだ


イチが涼に負けた…?


勇真は一華の側まで行って

初めて気がついた


「おい、この傷どうしたんだよ!

涼がやったのか?」


一華は目をこすり開く


「柴崎さん!だ、大丈夫ですか!?」


三浦も血が出ていることに気付き

慌てふためいている


「柴崎さん、これ」


そう言うと鈴はハンカチを一華に渡した


「あいつ、変なスプレーかけてきやがった…」


「スプレー?

それよりも傷ですよ!

保健室に運びましょうか」


「こんなのかすり傷だよ

大したことない」


一華は大丈夫であることを示すように立ち上がった


その目には今すぐにでも暴れだしそうな

そんな狂気が見え隠れしている


「五十嵐のやつ

次会ったら

ぜってーぶっ飛ばす」


そう言い残すと

傷口を押さえながら

フラフラと歩き出した


3人は付いていこうとしたが

来るなと言われて

足を止めた


「あの傷、手当てしなくて大丈夫なんでしょうか」


「あれぐらいの傷なら

大丈夫ですよ


普段は、骨折らなきゃケガじゃないとか

言ってるんで」


さすがは中学の頃からの仲といったところだろうか

勇真は傷に対して全く心配していないようだ


「それよりも

できるだけイチと涼を会わせないようにしないと


すぐに出くわすようなことになったら

殺し合いになってもおかしくないですから」


「そうね」


昨日までの三浦なら

大袈裟なことを言っていると思うだろうが


教室のあの惨状を見てしまった後だ

勇真の言葉がとてもリアルに感じられた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ