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7 ビート (詐欺師爆誕!)

少し長いですよ?

3歳児の詐欺師ヴァク誕物語www


 箱いっぱいのビートが大量に食堂に運ばれてきたのは、翌日だった。


 この世界のビートは『テンサイ』とも呼ばれ、昔は砂糖の代用品として重宝されたらしい。

 ジャガイモを何倍にも巨大化した丸い球根にホウレン草に似た濃い緑の葉が特徴だ。


 ・・・まんまやん!


 しかし・・・

 向こうも世界のビートは生で食っても甘いが、コッチのは食えたもんじゃないんだな~。


 だが “鑑定眼” では食用と出てたので、イロイロ試してみたのだ。




 というわけで、

 ビートが詰まった箱を家族全員で取り囲んでいる。


 「・・・デカいな・・・。」

 父上が低く呟やく。

 眉間の皺が渋いゼ。


 「気持ち悪ぅい!。」

 マリア姉様。デカイのは嫌いですか?

 まあ、この見た目は慣れない人には少々抵抗あるか・・・


 「本当に大丈夫なの?」

 母上、大丈夫です。甘いです。


 そしてサルカス兄様。そんな難しい顔しても父上のような渋さを出せませんよ?


「そうですね。こういうものです。」


 俺は苦笑いしながらビートを一つ手に取った。

 大人が両手で持っても余りある大きさ。

 子供の俺の頭くらいある。


 「これはこのままではとても食べれませんので、前回はおろしで擦って煮詰める作業でしたが。いま厨房にある”おろし金”は二枚しかないので、小さいサイコロ状に切って実験してみます。ちなみに残りカスは牛のエサになりますし、調理すれば葉っぱも食べれます。」


 「()らなくてもいいのか?」

 「どうやら()ると苦みやエグみ成分も出てしまうようなので、何回も()す作業が増えるんです。なので今回はサイコロ状にしてみようかと・・・。」


 「・・・そうか・・・。」

 父上は好きにしろと・・・


 「そんないい加減でいいのか?」

 お?

 珍しく兄様が心配してくれてる?

 問題ないよ?実証済みだし・・・


 「葉も食えると言ったな・・・食べたのか?・・・」

 父上の視線が食い込む。イタイイタイ。


 「非常食なので・・・。」


 ついでに誰も見ていないときに、こっそり葉だけをゆがいてビネガーと塩で調ととのえて食ってみた。


 ホウレン草のビネガー?お浸し??

 近くて遠い味・・・非常食だった・・・


 この国はまんま「中世ヨーロッパ」の世界だからな~

 昭和生まれの元日本人の俺は 米・味噌・醤油 に飢えているのだ。


 「と、とにかくやってみましょう。少々時間が掛かります。マーク。手伝って。」

 「はい。まずは洗いましょうか。皮は剥いても?」

 「そうだね。皮を剥いたらサイコロ状に切って、寸胴に入れてでもらえる?」

 「了解です。みんな手伝ってくれ。」


 メイドを含む家人総出で輪切りにしたビートの皮を剥き、細かく切って寸胴に放り込む。

 人手があると早いな~。


 ・・・ってか、なんでみんな「マイ・ナイフ」持ってんの?

 父上当然のように見てらっしゃるけど・・・ええの!?


 んを!!


 キミソレ『くない』ジャナイノカネ


 ・・・ツッコんでいい?

 ねえ。ツッコんでいい??






 

 瞬く間に大きな寸胴に山もりのサイコロビートができた。


 !!!・・・あれは!木炭か!?


 「マーク!これ木炭?」

 「そうです。調理の時に使います、薪より高温で、お出しする料理に匂いが憑かないようにするためですね。」

 「・・・高いの?。」

 「自領で作ってるヤツなんで、薪よりは高いけどそれほどでは・・・。」



 よし!

 勝った!!

 心の中でガッツポーズ!!!



 「グレイ。どうした?」

 父の視線が俺に当たる、


 「いえ、失礼しました・・・これに水を加えて、湯掻いていきます。」


 「大丈夫?溢れないかしら?」

 母上の心配も解る。


 「問題ありません。湯掻くと小さくなっていきますので・・・マーク。寸胴の八分目くらいまで水を入れて、匂いが着かないように木炭で火をつけてくれる? 但し、沸騰させちゃダメだよ。お茶出しの温度位をキープして1時間を目安に・・・」

 「はい、お任せください。かき混ぜちゃダメです?」

 「うん。エグみが強いからね。そのままで。」


 がっちり甘みを取ってしまうと、たぶん家畜も食わないんじゃないかな・・・

 逆に『エグみ・苦み成分』だけ取って ”虫よけ“ 作れないかな・・・


 「1時間くらいか、一旦部屋に戻るか。グレイ。さっきからどうした。」

 「あ・・・いえ、うまくいくといいなぁ・・・と・・・。」

 いろいろ考えてたら呆けた顔になってたらしい。

 いかんな・・・集中、集中・・・


 「前回はうまくいったのだろう?自分を信じろ。」


 持つべきものは『できた親』だねぇ・・・。

 前世といい、今回といい、俺は親に恵まれてるなぁ・・・

 泣いていい?


 「ありがとうございます。頑張ります。」

 「うむ。行くぞ。」


 惚れ惚れする背中を追いかける。

 その背中はいつも偉大だ。







 「さてグレイ。お前は私に話すことがあるんじゃないか?」

 家族全員で居間に戻り、紅茶とお菓子で一息ついたころ、父上が突然話を切り出した。

 応接室にはセバスとマーサも控えている。


 「話・・・ですか?。」


 「マーサから聞いたぞ?お前は将来 “アストラス” の名を捨てるつもりのようだな。」

 「・・・!本当なの!グレイ!?」


 ジャジャ~ン♪


 おっと母上、紅茶が零れますよ?

 母上の声にビックリたのか、口を開けた姉上の顎にフォークが突き刺さる。

 あれは痛そうだ。


 ・・・にしても


 ネエマーサ♪ コッチムイテ♪


 「え~っと・・・何から話していいものやら・・・。」

 「グレイはサルカスに “跡目争い“ を降りると言ったそうだな。しかも、ビートの新事業が成功してもその収益と権利は全て放棄するとも・・・そうだな、マーサ。」


 矛先を向けられたマーサは(うやうや)しく頭を下げた。


 「相違ございません。全ての権利と収益はグレイ坊ちゃまの養育費と旦那様方への『ご恩返し』だとおっしゃってました。」


 「グレイ・・。」

 母上泣くほどじゃないですよ。

 俺の秘密知ったらそれどころじゃありませんて・・・言わないけど・・・。


 「恩返し・・・か・・・うまい事いいよる。それは本心か?」

 父上、目が恐いって。


 しゃ~ない・・・


 「はい。事業化した(あかつき)には権利および収益は全てアストラス領の発展と平和の為に使っていただきたく存じます。」

 「そうか・・・で、お前は将来どうしたいのだ?」

 「できれば冒険者に・・・」


 「冒険者だと!」

 おっと! 兄上、ソコに反応する?

 母上。ハンカチ堕ちましたよ?

 姉様、マイペースだな。ほのぼのするよ(笑)


 「冒険者か・・・冒険者がどういう仕事か理解して言ってるのか?」

 いや父上、そこニヒルに笑うとこじゃないよ。

 割とマジメなんだが?


 「はい、賃金を腕っぷしだけで稼ぐ “ならず者” の集団だと言う噂は耳にします。」

 「まあそうだな。間違ってはいない。」

 「書庫にある伝記や小説にも冒険者の話が多く出ます。」

 「・・・うむ・・・・」

 「父上は憧れたことはありませんか?国を(また)ぎ、身一つで自由を謳歌する冒険者という仕事に・・・。」

 「・・・あるな・・・、」


 「!!あなた!。」

 訴えかける母を手で制す。




 「・・・お前・・・何者だ・・・。」

 そうきたか・・・すんげ~威圧。おっかねぇ。


 「何者・・・とは?」

 「生まれた時から報告を受けるたびに、ずっと考えていた。お前は(さか)しすぎると・・・そして今回の件・・・もう一度問う。お前は何者だ。




 ・・・やれやれ・・・




 「僕のは名はグレイ・アストラス。アストラス家の末子であり、そして・・・。」

 俺は大きく一息ついた。


 「勇者の称号を持つ者です。」


 「・・・勇・・・者。だと!?」


 「嘘だ!お前が勇者なんて!!。」

 だよね~


 「サルカス黙れ!!セバス!外に誰かいるか!?」

 「いえ、誰もいません。」


 「ならばよし!ここにいる全ての者に命ずる。今日、この場での会話は全て他言無用だ。命に背いたものは誰であれ厳重に処罰する。心せよ!」

 「「「は!!」」」



 すんげ迫力!

 マリア姉さまダイジョブかい?

 めっちゃ目が泳いどるよ?



 父上は冷めた紅茶を飲み干すと、豪快に一息ついた。

 うん。気持ちは解る、


 「さて、グレイ。お前の今の発言がどれほど重いか、理解できてるんだな、」

 重いかどうかはともかく、そういう称号なんだがな~


 「付け加えるなら、先日教会でサラフィナ神様と会ってきました。」


 「・・・は?・・・。」

 衝撃の事実・・・だよね~。


「・・・お前・・・自分が・・・何を言ってるのか・・・解ってるのか・・・。」

「教会の耳に入れば、監禁間違いないですね。ヘタすりゃ叛教の罪で打ち首とか・・・けど事実です。」


 「・・・証明・・・できるのか・・・・」

 「難しいですね。従来の勇者とは役割が異なるようなので・・・」

 「違う役割の勇者?」


 「今回の勇者は、おそらく俺一人ではないと思います。」

 「なんだと!?」

 「少なくとももう一人。もう見つかっているかも・・・。」

 「・・・詳しく話せ。」


 「サラフィナ神様との約束もあるので、全ては話せませんが・・・今回は魔王の復活だけではないらしいですね。」

 「ぬ!・・・そうだ。魔王に加えて魔神までも復活するらしい。・・・そのための複数人の勇者か!?」

 「僕には僕の役割があります。そのために今から出来ることはやっておかなければなりません、」


 「・・・むう・・・、」


 父は腕を組み俯いてしまった。

 言葉がないとは、こういうことなんかね?

 あんま悩まない方がいいよ?

 どんなに悩んでも、なるようにしかならんし・・・。


 「・・・いつなんだよ・・・。」

 ほ?

 兄様復活?


 「いつとは?」


 「復活の日だよ!何時なんだよ!」

 兄様声大きい!


 「あと十数年後かと・・・サラフィナ神様が・・・。」


 「十・・・数年・・・後・・・。」

 母復活?


 「グレイ。・・・お前の言うことが、すべて真実だとして、今、お前がやるべきことは・・・何だ。」

 父上も復活・・・と・・・。


 「今やるべきこと・・・そうですね。近日中に教会に行くことでしょうか?」

 「・・・教会に?」

 「はい。サラフィナ神様が僕の修行の相手をしてくれる神様を紹介してくれるようです、」


 「「「・・・はあ!?・・・」」」

 ですよね~~~




 この後のすったもんだは。マークが呼びに来るまで続いた。




      ◆◆




 「いい匂いがする~。」

 厨房に入ったマリア姉様の第一声だ。


 「・・・ホントね。甘い香りがするわ。」 

 母上も嗅ぎ分けたようだ。

 得てして女性はこの手の匂いには敏感だよな。


 「イイ感じになってきたネ。」

 山盛りになってたビートが、寸胴の淵が見える程度に小さくなっていた。


 「そろそろイイと思うよ? じゃあマーク、火から外して()した液体を別の鍋に移してくれる?あ、火はそのままでね」

 「はい。オイそっち持て。」


 布を被せた寸胴を、大きい鍋に移した。

 透明で、少しトロみがある液体だ。


 「これで完成なのか?」

 父が不思議そうに作業を見守っている。


 「まだです。あの水には甘みと共にエグみが混ざっているので売り物になるほどの甘みは感じられません。 ですので、もう一度煮立たせて灰汁を取ります。灰汁取りが終わったら一度味見をしてみましょう。 マーク、お願い。」


 鍋を火にかけ煮立たせる。


 ここから俺がバトンタッチ。

 鍋の液体を泡立たせず、焦げが出ないようにゆっくり掻き混ぜつつ、灰汁を取る。


 透明感が出てきたところで火から外し、粗熱を取ったところで味見用の小皿に少量注いだ。


 お!? エグみがない!?

 うん・・・悪くない。

 『サイコロ状に切る』が正解か・・・


 「水分が多いので少し水っぽいですが、甘みは出ています。味見してみますか?」



 「うむ。・・・甘いな。」


 「本当!柔らかい甘みね。ほっとする味わいがあるわ。」

 鋭いな母上。


 「サトウキビの甘みは土からでた茎に凝縮するそうです。つまり陽の光を浴びることで鋭い甘みがでるとか・・・対してビートは母なる大地に埋もれた部分に甘みを作ります。その違いが甘みに出るとか・・・。」


 本当は地中のミネラル成分で、まろやかさが感じられるんだろうけど、解んねえよな~

 口八丁手八丁ここに極まれり・・・。

 詐欺師万歳!

 嬉しくねえ!!


 「・・・なるほど、それも文献に乗ってたのか?」

 俺は答える代わりに。胸元でクイクイと天井を指さした。


 「・・・ああ、そういうことか・・・責任重大だな。」

 父は苦笑交じりに呟く。


 俺は何も言ってないよ!?

 天井指さしただけだよ!?

 詐欺師のせいだよ!?

 嬉しくないよ!?

 ・・・モウドウニデモナレ・・・



 この後、もう一度煮立たせて泥状になった物をみんなで味見。

 キャラメルのような味わいが好評だった。


 「・・・これなら売れるか。」

  父も納得の仕上がりだ。


 だがな~


 「父上、まだ問題があります。」

 「・・・聞こう・・・・」


 「この泥状化です。このまま放置すると、すぐカビが生えて売り物にならないと思います。せめて砂糖みたいに結晶化出来れば長持ちするんでしょうが・・・、」

 「・・・保存方法か・・・。」


 「あのお方は教えてくれなかったのか?」

 兄様・・・人生は問題集なのだよ。


 「事業化の話が出る前の雑学でしたからね。そこまでは・・・。」

 「もう一度教会に行って教えてもらえば良いじゃないか。」

 「顎で使えと?」


 「よせ、サルカス。ここでする話じゃない。・・・グレイ。わかった。この先の事は皆で考えよう。ご苦労だった・・・皆、休んで良いぞ。」




 俺はマーサを伴って自室へ戻ることにした。


「坊ちゃま良かったですね。立派な『親孝行』が出来そうです、」

 マーササン? 自覚シテラッシャイマス?


「まだ問題山済みだけどね、結晶化とか・・・。」


 「結晶化の問題もすぐ解決なさるのでしょう?昨夜も遅くまで起きてらしたようですし?」

 アナタハ『くノ一』サンデスカ?


 「はあ・・・やってみる価値はあると思うけど、確証はないよ。それに・・・。」

 「それに?」

 「この後はサルカス兄も巻き込まなきゃ。」

 「サルカス坊ちゃまもですか?それはまたどうして?」

 「後顧(こうこ)(うれ)いを絶つためだよ。俺一人で全て解決したらサスカス兄がいじけちゃうだろ?」

 「なるほど、そうですね。流石はグレイ坊ちゃまです!」


 騒動の原因を作ったのは貴方なんですが?

 あと「グレイ坊ちゃま」が「無礼坊ちゃま」に聞こえたのは気のせいかね?




 部屋に戻り、一息つく間もなく昨夜の資料を持って部屋を出た。


 「父上の書斎に行くよ?」

 「お供します。」

 コレデオマエモキョウハンシャ。


「坊ちゃま。悪い顔になってますよ?」

「あ~・・・うん・・・。」





 書斎の前に立つと、父の気配が感じられた。

 『気配察知サン』目覚めてますね~

 もひとつ、薄っすらと・・・何か?

 セバスかな?


 「父上。グレイです。お話があります、」


 「・・・入れ・・・・。」


 執務室には窓の外を見る父と、静かに控えるセバスがいた。

 やっぱセバスか!

 気配薄!!

 さすが『元暗殺者』!!!



「失礼します。」

「座れ。要件は何だ。」

 相変わらす眉間の皺が取れないね~。

 俺は好きだけど・・・


 俺は図案と考察を書いた資料をテーブルに置いた。


 「ビートの結晶化のことで、実験をしてみたいのですが・・・。」

 「ほう。もう案があるのか。」

 「はい。僕は使えませんが、誰か風魔法か生活魔法が使える方をご存じですか?」

 「風魔法ならサルカスが使えるな。生活魔法なら俺やミレイ、あと洗濯メイドが使えるはずだが・・・、」


 「十分です。単純な話、泥状になったビートを徹底的に乾かせば粒状になるのではないかと思うのですが。」

 「ほう。その根拠は。」

 だから怖いって・・・


 「泥団子です。」

 「泥団子?」

 お~ でっかい “ハテナマーク” だな父上。

 セバスまで付き合わなくてもいいんだよ?


 「はい。水を含んだ土を団子状にして、風通しの良い場所に放置しておくと1~2日くらいで土に戻るのです。だからビートの泥状化も風で水分を飛ばしてやれば・・・と、思ったのですが。」

 「・・・やってみる価値はあるか。セバス。ビートは残っているか?」

 決断早いね~


 「はい。あと2箱ほど。早速作らせてみます。」

 「あ、ちょっと待ってセバス。乾燥させる前に魔法の強さをチェックしてね。」

 「・・・魔法の強さ・・・ですか?」

 「そう。予想だけど上手く乾くと平らな石みたいになると思うんだ。それをひっくり返して砕きながら、さらに乾かすと砂のようになると思う。だから強い風だと大事な商品が吹き飛んでしまうかも・・・特にサルカス兄様は魔力が強そうだから・・・、」

 「なるほど、了解いたしました。」

 セバスが大股で部屋を出る。



 父は扉が閉まるのを確認すると、鋭い視線を俺に投げた。

 痛いよう。


 「貴族の息子が泥遊び・・・か・・・マーサの監督不行き届きと言うべきか・・・いやよそう。お前の奇行は今に始まったものでもあるまい、」


 今度は奇行種扱いっすか・・・巨人化できるかなぁ・・・

 マーサヨカッタネクビガツナガッタヨw。



 「もう少しお話しても?」

 俺は資料に目を落としながら提案した。

 ここからが肝心要の案なんだよな。


 「よい・・・聞こう。」

 父も気付いていたようだ。


 「僕の今までの実験は全て人の手に頼ったものです。」

 「・・・うむ。」

 「それは僕は魔法が使えない立場であり、市井の者たちのほとんどが僕と同じか類似した立場にあると思ったからです。」

 「・・・そうだな、」


 「ならば、より効率化とコスト削減のための実験器具の作成許可を頂けませんか?」

 「それでその書類か。」

 「はい。まず試作品を作り実際の稼働効率と手順の確認をしてみるべきかと思いまして・・・。」

 「・・・見せてみろ・・・。」


 書類を受け取った父は図案をパラパラと確認し、再度考察をじっくりと読み込む。

 解ってるね~父よ。


 「うむ。セバスから聞いた。オッズから水車の概要を聞いていたと。・・・なるほど・・・風魔法に頼らず、水車を回してビートの水分を飛ばそうというのだな。」

 お耳の早いこって・・・


 「その通りです。ついでにもう一つお願いがあります、」

 「・・・まだあるのか、」


 あーるの~よね~♪


 「はい。この実験器具の作成と事業化については、兄様も参加させて欲しいのですが・・・。」

 「サルカスを?」

 「はい。ちなみに兄様は学校へは?」

 「うむ。少し早いが来年には行かせようと考えている。アレはアレで優秀なのでな・・・。」


 「何よりです。この計画には僕ももちろん参加します。ですがサラフィナ神様とのお約束もありますので、必要以上にのめり込むのは物理的に不可能ではないかと考えています。」

 「修行か・・・どのようなモノか解るか。」

 「いえ、全く。突拍子もないものであることを祈るばかりです。」

 「・・・よかろう。許可する。」


 やったね兄様!

 事業成功すればハクが着くよ!!


 「私からも聞いていいか?」

 「?・・・何でしょう?」


 「その前に・・・マーサ席をはずせ。二人だけで話したい。」

 「かしこまりました。」

 深々とお辞儀をした専属メイドが、楚々と退出した。

 気配が遠のく。

 茶ぁでもシバきに行ったかな?


 「・・・お前は教会に行ってサラフィナ神様に会ったと言ったな。だがその知識量は、とても1度の面会でどうにかなるとは思えんが・・・。」


 あ、ソコ気付いちゃいましたか?

 有耶無耶(うやむや)にはできなかったか・・・

 最終兵器発動~


 「・・・啓示は受けてましたから。」

 「啓示?」

 「祝詞です。サルムンド侯爵閣下の・・・!」


 お~

 父上の驚愕(ビックリ)顔は初めてだなw


 「!!・・・お前が生まれたばかりの話だぞ!憶えているのか!!」

 「はい。歴戦の・・・こう言っては何ですが、数多の傷跡がお顔に刻まれてましたね。」


 「うむ・・・魔王復活の話が流れてきてからというもの、王国のあちこちで魔族の活動が頻繁(ひんぱん)になってきていると聞く・・・侯爵は凶悪な魔族と対抗できる数少ない戦士の一人でな。ヨーデル王国の英雄とも言われている。」


 うほ~

 我が家の親戚は『お国の英雄さん』でしたか、逆らわんトコ。


 「・・・そうか。侯爵の祝詞で・・・これといった外的変化はないと思っていたが・・・内面の変化が・・・。」


 おおお?

 思考の海にダイブし始めたぞ?

 救助隊要請~

 サ〇ダ~バ~ド~♪


 「父上のせいではありません。発音もままならない赤子でしたし、毛布に(くる)まれてしまえば身動き一つできない状態でしたから・・・なにより・・・。」


 「・・・なにより?」


 「母上が言ってました。『普通の子がよい』と・・・・」

 中身ジサマだけどな。

 創造神サマもヒデ~ことするわ。


 「ぐっ・・・そうだな・・・確かに言っておった・・・。」

 「男子たるもの・・・の考え方を否定する気は毛頭ありませんが、まだ乳離れができて間もない僕は、母上のお傍を離れたくないというのが正直な所です。」


 「むう!しかし報告しないワケには・・・。」

 「解ります。ではこういう案はどうでしょう?」


 「・・・聞こう・・・。」

 「近日中に教会に行く予定ではありますが、その際、サラフィナ神様にサルムンド侯爵様を含む上級貴族か王族、もしくは巫女様の目も前で何らかの証明をしていただけるよう頼んでみます。」


 「!・・・できるのか・・・そんなことが・・・。」

 「解りません。ですが、現状では証明が難しいのも事実です。」


 「・・・そうだな・・・。」

 「その際 “複数の勇者” の話と『ワケあってアストラス領を離れられない』という旨の報告をするつもりです。」


 「・・・『領を離れられない』というのは神との修行の為か?。」

 「表向きはそうですが、単純に母上のもとを離れたくないという個人的な我儘です。そして『ワケあって』というのは僕の修行の師が、 “神” かソレに近しい人であった場合、国内外に大混乱を生むことが予想できるからです。」


 「・・・混乱か・・・そうだな・・・。」

 「僕の情報が魔族側に流れたりすると、自分の身も守ることができない僕は周囲の人たちを巻き込みながら死ぬ未来しか見えませんので・・・。」





 ・・・沈黙・・・重ぇな~

 なんかジョークでもぶっ放すか?

 ・・・やめとこ・・・。

 魔族の前に父上に殺されそうだ・・・。





 「生きて・・・帰れるのか?」

 どした? 父よ?

 急にトーンダウンしたぞ?


 「生きて帰るための修行です。」

 俺には世界中を見て回るという壮大かつ崇高な夢があるのさ!

 0歳児レベルMAX(灰色表記)ナメンナヨ(笑)

 フラグの一つや二つ、大笑いながら回収してやるさ!


 「そうか・・・そうだな。」

 OH! 目頭熱いぜ!!


 「父上ご心配なく。しっかり情報統制されていれば決戦は十年以上先の話です。それまでは蹴飛ばされてもアストラス家の末席を汚すつもりです、」

 「ふっ・・・掃除が大変だな・・・・。」

 不出来な息子でスマンね。


 「親孝行に精をだしますよ。」

 「それが3歳児の台詞か。つくづく変わった奴だ。」

 「サラフィナ神様にも言われました。」

 「くくっ・・・解った。全面的に許可しよう。好きなようにやってみよ。教会でサラフィナ神様からご許可を頂いたら、即サルムンド侯爵閣下に手紙を出す。心しておくように。」

 「ありがとうございます。」




 退室し、数歩歩いたところで、廊下の突き当りにマーサが静かに控えているのが見えた。。


 出来たメイドだね~。

 俺には勿体ないくらいだ。

 スパイ(報告魔)だけど!


 「ふ~・・・坊ちゃまもお人が悪い。」

 「なにが?」

 「なにがじゃありませんよ。泥遊びなんか何時おやりになられたんですか?」

 「やってないよ?」

 「え?でも泥団子のお話をなさってたじゃありませんか!?」

 してたね~。


 「僕は泥遊びなんかしてないさ。マーサに怒られるからね。近所の子供たちの話を聞いてただけ・・・。」


 ホントは前世の『鼻たれ小僧』だった俺の経験談だがね。

 ちったぁキモ冷やしてくれたかな?


 呆れて立ち止まったメイドを尻目に、俺はサッサと部屋に戻った。





 その後、【ステータスボード】のスキル欄に『詐欺師(NEW)』が生えていたのを知ったときは、膝から崩れ落ちたがね。


 さめざめと泣いたわ!!。


文字の継ぎ足しに継ぎ足しを重ねたらこ~なったwww

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