67 報告
レベル70越え。
もはや『レッサードラゴン』である。
しかも四人。
一人でも大混乱。
四人揃えば『ぺんぺん草も生えない焦土』となる破壊力♪
「なに不穏なこと考えてんのよ。」
メイさんが鋭いw
「いや~ここまでレベルが上がると “悪い” こと出来ないな~ってw」
「“悪い” ことするつもりなのかい?」
メルさん?
「坊ちゃまが “他人様” に迷惑を掛けるはずがないじゃないですか。」
スズネさんが天使だ。
拝んで良い?
《 マスターの妄想が止まらない件ww》
あらコクウさん?
お久しぶりw
《 何言ってるんですか。チームが大はしゃぎで “レベル上げ” するもんだから 、”能力の統合” が大変だったんですから!》
ん?
もしかして2回目以降の『レベル酔い』が軽かったのもキミのおかげ?
《 褒めてくれてもいいんですよw》
コクウ。愛してる。
《 ////》
デレてらっしゃるww
ちなみに『ロマックの街』に居た領主は『魔族』が化けていた。
『幻視魔法』とか言うらしい。
レベル差がある俺達には効かなかったが・・・なるほど、他人によって評価が分かれるのも頷ける。
本来なら帝都周辺に散らばる『魔族』を一掃してから臨みたかったが、いつしか急激に『魔族』の気配が薄れて行った。
アホみたいに広がった俺の『気配探知』にも、何も引っ掛からない。
「・・・撤退したかな?」
「『魔族』が?何のために?」
「さあ?」
「どっかに隠れたとか?」
「ボク達を警戒してかい?夜間しか行動してないが?」
『魔族』とはいえ、夜は寝る。
昼夜を問わず働き続けるのは、『天上界』の “ワーカーホリック” くらいじゃないかな?
あと一部の “王族” とか?
元凶は俺だけどww
ともあれ行ってみないと分からない。
俺達は “昼夜逆転” を切り替え、日の出とともに『バギー』で帝都に乗り込むことにした。
三人娘には『気配隠しのペンダント』を外すように頼んだ。
とんでもない存在感が、俺の周囲を満たす。
尋常でない気配と魔力を持ったチームが。高速で移動するのだ。
これだけ目立てば、何らかの反応があるだろう。
静かだ。
帝都の門も開けっ放しになっている。
予想はしてたが、ヒトの気配は探知できない。
もちろん『魔族』もだ。
「出てっちゃったみたいだね。」
「原因はなんだろうな、」
「お城に乗り込んでみるしかなさそうですね。」
『バギー』の速度を落とし、ゆっくりと見て回る。
兵士の遺体が、あちこちに放置されていた。
なかには手足がバラバラに引きちぎられ、傷口をカラスが啄んでいる。
凄惨の一言だ。
「城を確認してから、陛下に手紙出すか。」
気の進まない報告になりそうだ。
「『帝都の勇者』も居ないんじゃな。」
「『帝都壊滅』か・・・モロ映画だね。」
「いい趣味の物語とは言えませんね。」
全く持ってスズネさんの言う通りだ。
これが『エキストラ』や『人形』だったら、『カット!』の一声でムクリと起き上がって『お疲れ~今夜一杯どう?』なんて話で盛り上がるんだろうが・・・異世界ではそうはいかない。
“濃密な血臭” と “死の影” が、リアルタイムで押し寄せてくる。
悪夢の極みだ。
遺体を踏んで走るわけにもいかないので、『バギー』を収納して徒歩で城を目指す。
城門は全開だった。
城の外観から『謁見の間』を予測し、豪華に彩られた廊下を歩く。
「全員連れて行かれたかな?」
「食べられちゃった・・・とか?」
「ヒトを食べるのかい?食人の『魔族』なんて聞いたこともないが?」
「『魔族』の生態は、未だ不明としか発表されていません。」
だよな~
実際『魔族』の遺体を持ち帰ると、王都の研究者が狂喜乱舞するらしいし・・・
迷路のような場内をウロチョロして、やっと『謁見の間』に辿り着いた。
で、そこにあったのが・・・
「・・・デカ!」
「標本?・・・にしては。趣味が悪いにも程があるね。」
「見事に “白骨化” してるな。」
「今回の “親玉” でしょうか?」
巨大なミイラ(?)が部屋の半分を占領して、横たわっていた。
「上半身は人間か・・・骨盤から下は蛇?・・・腐った卵みたいなのは、産卵に失敗したかな?」
「産卵に失敗して白骨化?普通じゃ考えられないけど?」
「普通じゃないのが『魔族』だからな・・・どうする?グレイ君。」
とりあえず、持って帰ることにした。
これは学者さんの出番だろう。
解明できるとは思えんが・・・
これだけ大きいと『魔石』も大きかったんだろうが・・・流石に回収されたか。
そのあとノワールにも手伝ってもらいながら、四方に分かれて捜索。
もしかしたら、生き残りが地下に隠れている可能性もあることを考慮して、各部屋を捜索することにした。
◆◆
王都。
ノルグナー公爵が、執務中のベルトナラキウス国王に手紙を差し出した。
「・・・小僧からの手紙か。」
手紙を受け取り、乱暴に封を切った。
「・・・なんてこった・・・」
「グレイ君は何と?」
「帝都には兵士の死体しかなかったそうだ。城の中も “もぬけの殻” だとか・・・地下の逃走経路にも人影が無かったらしい。『謁見の間』に巨大な『魔族』の白骨化した遺体が転がっていたか・・・『魔石』は手に入らなかったそうだが・・・『帝都の勇者』は討ち死にか・・・『サラフィナ神』からの神託だそうだ。」
「最悪の事態ですね。『評議会』へ報告を?」
「それが良かろう。『神獣』はもう帰ったか?」
「私の部屋で寛いでいます。返事を書きますか?」
「そうだな。早急に帰るように伝えてくれ。サルムンドが短気を起こさぬ内にな。」
「畏まりました。」
「王様なんだって?」
ノワールが運んできた手紙を読んだ俺は、予想通りの返事に頭を抱えたくなった。
「・・・帰って来いってさ。センダン川の国境にサルムンド侯爵閣下が兵を引き連れて待ってるそうだよ。」
気の重い話だ。
「ハリセン・・・じゃ済まないかもねw。」
「ボクはゲンコツに一票かな?」
「大丈夫です。いざとなったら私の “里” に逃げれば良いのです。」
気持ちは嬉しいけど、俺はまだ『アストラス』の人間だからね?
「遺留品はあった?」
本来の目的はコレだ。
「幾つか・・・汚れた『リボン』やら『ぬいぐるみ』なんかは拾っておいたが・・・メイ君は?」
「私も、そんな感じかな。見てみる?」
全部で十数点・・・想定する行方不明者数に対して圧倒的に少ないが、仕方ない。
サラフィナ様が言うには、姪子さんの魂は御両親と共に天国に居るという。
遺留品に心当たりがなければ、諦めてもらうしかあるまい。
俺達は、早々に帝都を出ることにした、
帝都の門を出てから、合掌。
巨大な墓標になってしまったが、せめて成仏してくれることを願うしかない。
俺は『バギー』を、ノデラ神父と子供達が身を潜めている町に向かってハンドルを切った。
◆◆
「・・・なんてこった・・・」
ホウレイ・アストラスは、息子の手紙に慄くしかなかった。
「グレイ様はなんと?」
執事のセバスは、書類の整理をしながら聞いてきた。
「・・・『帝都』が『魔族』の手に堕ちたそうだ。」
「なんと!」
「王都には既に報告済みのようだが。『帝都の勇者』も死んだらしい・・・到着したときには、『帝都』は “もぬけの殻” だったそうだ。」
「・・・そのようなことが・・・」
「つくづく恐ろしい存在よな・・・『魔族』というものは・・・報告の為にサルムンド侯爵閣下と合流して『王都』に向かうそうだ。クレアリス様は今、何をしている?」
「先日の “茶会” で、仲良くなられたカフェの女主人の所へ、」
「そうか・・・いずれ『王都』からも連絡が来るだろうが・・・いましばらく居ていただいた方が良さそうだな。」
「そうですな。侍女たちに ”武器の携帯” の御許可をいただいても?」
「許可しよう。目立たぬようにな。」
「は。」
◆◆
センダン川国境付近。
二千程の兵を率いたドアトリスの軍が、川沿いに大小のテントを張っていた。
対岸では一時的に大騒ぎになったが、侵略する意図が無い旨を知らせると、やや落ち着いたようだ。
それでも警戒しないワケにはいかず、両者ともに緊張状態が続いていた。
「・・・むう!・・・」
『魔導鎧』に身を固めたサルムンド・ドアトリス侯爵は。グレイからの手紙に唸るしかなかった。
「父上?」
その隣には、父に倣ってミスリルの装備に身を固めている嫡男のコアック・ドアトリスが、テーブルの地図を眺めていた。
「閣下。グレイ様の手紙にはなんと?」
ナルスキュール・サニエル男爵が、サルムンドの只ならぬ様子に緊張した。
その手には愛用のハルバートが握られている。
改心した息子に領地を任せ、大恩ある『勇者』のためにと駆け付けていた。
「『帝都』が滅んだ。」
サルムンドが絞り出すように答えた。
「・・・は?」
「なんですと!?」
「帝都が・・・」
「グレイが『帝都』に到着したときには、兵士の死体しかなかったらしい。帝王も、それに連なる貴族らの影も形もなかったようだ。『魔族』め!!」
「・・・なんという・・・」
「では、いま対岸にいる者達は?」
「まだ知らぬだろうよ。『神獣』などという便利な通信手段を持っておらぬからな。」
「王都へは?」
「既に知らせておるそうだ。じき撤退命令が下されるだろうが、帝国の避難民が押し寄せてくることも考えられる。警戒は怠るな。」
「「「「は!」」」
「・・・して、グレイ殿は今?」
アルアス・トリアンテ男爵が、聞いてきた。
ナルスキュール・サニエル同様、領地を息子たちに任せて、参戦すべく兵を率いていた。
「こちらに向かっとるそうだ。幸運にも生き残った神父と子供達を連れてな。」
「そうですか・・・何よりです。」
「・・・ったく。幼いミレイにも手を焼かされたが・・・親子よなw」
「ふふw」
◆◆
つ~ことで
戻ってきましたヨーデル王国w
どうやったかって?
聞いて驚けw
『バギー』と『結界』の “連係プレイ” なのだよ。
順番はこう。
①ノデラ神父の町まで『バギー』で疾走。
②子供達を乗せる荷馬車と『お馬さん』を確保。
③揃って『シェルタールーム (別室)』へ、ご案内。
④『バギー』でセンダン川近くまで移動。
⑤超デカい “結界の橋” を作って、ラクラク国境越え。
レベルアップの恩恵を最大限に利用した反則技だ。
メル・メイコンビの「非常識にも程がある!」という罵りにもラクラク対応w
《 バイパス走ったようなモンですねww》
コクウさんの評価を採用ww
『バギー』を収納した後、まる二日かけて荷馬車で移動しながらサルムンド侯爵の軍と合流予定だ。
『バギー』の機動力は危ないからね。
『軍事利用』なんかされた日にゃ、『王国』が『帝国』に変貌しかねん。
《 そもそも “作ろう” にも『素材』がありませんが?》
素材あったら喜んで作ろうとするだろう?キミ?
《 否定はしませんがw》
こっわ!
コクウさん怖!!
《 それが私の “存在意義” ですのでw》
笑いながら “シリアス発言” しないでくれる?
「久しぶりの馬車も悪くないね~」
のんびりと手綱を握るメイさんが宣う。
「ここは本当にヨーデル王国なのですか?」
ノデラ神父が、信じられないという顔だ。
「間違いありませんよ。ちょっとした魔法です。悪用されると各国の軍事バランスが崩れてしまうので内密にお願いします。」
「解りました。神の聖名において、決して口外いたしません。」
「お願いしますw」
いずれバレるかもしれんがね。
素材なきゃイイわけだし・・・
《 The meaning of existence ・・・》
コクウさん。
Shut up!( ´艸`)
まあ、事実。
コクウさんの “内助の功” には、ずいぶん助けられているからね。
また何か『開発』してもらおう。
《 乞うご期待w》
俺の記憶にアクセスできるのも考え物だな・・・
二日かけて、ようやくサルムンド侯爵率いる軍に到着。
メルさんは『シェルタールーム』でお休み頂いている。
『元巫女さん』だもんね。
長年 “蝶よ花よ” と育てられたエルフっ娘が、こんな短期間に “戦闘民族” になっちゃいました~なんて、教会関係者が知ったら卒倒するわw
てか、すんげ~大所帯じゃね?
エイトラディス公爵家、ドアトリス侯爵家、サンデラ侯爵家、ノーティラス侯爵家、コロエイド伯爵家、タラギュース伯爵家、サニエル男爵家、トリアンテ男爵家、フォラデウス男爵家、ロドリゲス男爵家、トリュデア男爵家 etc. の旗が乱立しとるが・・・
我がアストラス家の旗が無いのは解る。
第三王女預かってるしな・・・“お見合い” 忘れてたわ・・・
《 マスターの失踪が大事になってた件ww》
マジですか・・・
「千は軽く超えてるね。二千くらい?」
メイさんが冷静。
「そのくらいでしょう。大袈裟な・・・」
いや “密入国” は立派な重罪ですよ。スズネさん。
「市中引き回し?打ち首??ギロチン???」
ネガティブな発想しか出て来ないんだが・・・
「あ!グレイ様!おかえりなさい! おい!閣下にお知らせしろ!!」
いや “お知らせ” しなくていいです。
このまま行方不明になりたいっす・・・
《 坊ちゃま。ご心配なく。軍の中にも “草” がいます。『逃走経路』は確認済みです。》
スズネさんが頼もしい。
《 ダイジョブだってw イザとなったら『魔の森』に逃げ込めば何とかなるってww》
メイさんが行き当たりばったりだ。
二人に縋り付きたい気持ちを抑え、案内されるままに設置されているテントに入った。
知らない顔もあるが、公爵、侯爵、伯爵、男爵。
揃い踏みとはこのことだ。
《 子爵が不在ですけどねw》
そんなツッコミいらないよ?
熱い視線にさらされながら、俺はテントの中央で知らず正座をしていた。
「えっと・・・ただいま戻りました。」
冷や汗と脂汗が止まらねぇ。
一番奥の席に座っていたサルムンド侯爵が、怒れる大魔神に見える。
「・・・それだけか・・・」
大魔神・・・もとい侯爵が口を開いた。
「えと、今回、陛下や閣下の了承も得ずに、勝手にグランパス帝国へ密入国を果たしたことについては弁解の余地もありません。」
「・・・それだけか・・・」
「えと・・・えと・・・数多くの皇族または貴族家に多大なるご迷惑をお掛け致しました旨につきましては、平にご容赦願いたく・・・また、今回の件についてかかった費用に関しては一生をかけてでも返済させていただきたく・・・」
「ほう。グレイ君が費用を立て替えてくれるのですか?」
コロエイド伯爵家の紋章を付けた優男が、口を開いた。
「エイトラディス公爵家、ドアトリス侯爵家、サンデラ侯爵家、ノーティラス侯爵家・・・この四家だけでも相当な額になるでしょうな。」
アルアス・トリアンテ男爵が楽しそうだ。
「B級冒険者とは言え。爵位を持たぬ身では些かきついかと思いますが?」
ナルスキュール・サニエル男爵の意見がシュールだ。
「そうですね。現状、爵位も持たぬ子供が何を言っても説得力に欠ける。それにコレ幸いとばかりに、再び国外に逃げられても困りますしね・・・」
エイトラディス公爵家の紋章を付けた人が笑った。
って、アンタ誰?
「となると “首輪” が必要か。まずは『騎士爵』辺りからか・・・ゆくゆくは『伯爵位』くらいまでは・・・」
サンデラ侯爵家の不穏な発言が・・・
「おお!良い考えですな。更なる国富を生み出してもらうには、それなりの地位と影響力を持ってもらわなくては!」
ノーティラス家さん??
《 御主人様を是が非でも貴族にしたい件www》
《 ヨーデル王国に対する貢献度を考えれば、当たり前のことかと・・・》
君達どっちの味方!?
「グレイ・アストラスよ・・・」
サルムンド侯爵が、静かに立った。
あこりゃ、殴られるか?
レベル70を超えても、殴られれば痛い。
俺は覚悟を決めた。
目の前まで歩み寄って両手を広げた時に、反射的に目を瞑ったのは仕方ないことだと思う。
だが、抱きしめられのは予想外だった。
固い『魔道鎧』が、俺の身体を包んだ。
「心配かけさせおって。馬鹿者が・・・」
やば!
6歳の子供の身体に精神が引っ張られる・・・
俺は人目を憚ることなく、大声で泣いた。
おっちゃん「登場人物が ”鮨詰め状態” になってる件・・・」
相方「捌ききれないほうに一票w」
おっちゃん「何人か死んでもらうか・・・」
相方「主人公が人類の敵になる方に一票ww」
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頭抱えながら、次回更新8月30日




