表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
代理聖女ミコはわが道を行く――その辺にいる普通の事務員です  作者: 赤城ハルナ/アサマ
【第一話】聖女召喚に巻き込まれたら肝心の聖女様がヒャッハーと叫んで逃亡しました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/6

聖女見習いと副神官長と聖騎士副団長――次期〇〇談合その一

聖女見習いミコの一日がはじまります。

「「ミコ様、起床の時間ですぅ!」」

 頭に響くアニメ声が聞こえた。

「う〜ん、もう?」


 まだ薄暗いじゃない。勘弁してぇ。そういえばガランゴロン鐘が鳴っている。起床の合図? 教会みたい、よく知らないけど。


「お顔を洗ってお着替えですぅ、そしたら朝食ですぅ」

「……分かりました」


 双子の巫女みこちゃんによって洗顔・丁寧なブラッシング(わたしもロン毛です、背中まであります)が済むと聖女服の着付けをされ、ダイニングルームに運ばれた朝食を三人で食べる。

 出されたのはベリーたっぷり蒸しパンとゆで卵とチーズ、はちみつ入りハーブティーでした。


 聖女服は何枚もの衣服を重ねる仕様で、下着はノースリーブチュニックとゆったりしたパンツ、その上に白地のロングスカート、さらにミディ丈の紺色チュニック、さらに床を引きずる白いマント。頭には薄絹うすぎぬのヴェール。靴は革の編み上げサンダル。生足です。

 ローマというよりは、ギリシャっぽい?

 それに、床暖があるのか足元は暖かいのだけど。


「ミコ様が着ていたお服とお荷物はクローゼットにしまいましたぁ」

「ありがとうございます」

「珍しいお服とカバンなんですぅ!」

「そうですか?」


 スマホは……ここにいる限り使えないだろうな。


 宿舎は神殿裏をコの字に囲んでいて、左側が神官棟、右側が巫女棟。真ん中は上級神官・上級巫女・聖女棟、双子ちゃんは特別にココ。聖騎士せいきしは別棟らしい。

 妻帯者は自分の家を持っているとか。


 中庭に出て驚いた。


 中世的な丸屋根付き巨大神殿 ドォーン!

 フードをかぶったグレーローブ姿の修道士 ドォーン!

 バケツかぶととロングチュニック、防弾チョッキ(ラメ入り?)姿の聖騎士団 ドォーン!

 謎の彫刻だらけの噴水付き中庭 ドォーン!


 す、すごい、圧巻!

 昨日は夜も更けていたから、外の様子なんて分からなかったわ。権威の高さがうかがえる。


「おはようございます、ミコ様。副神官長のアンドレアス・パパスです」

「お、おはようございます?」

「副神官長様、まさか朝っぱらから待ち伏せですかぁ? 前の彼女さんとはどうなったんですかぁ?」

「人聞きの悪いことを言わないでください。あなたがたはもう下がりなさい!」

「「はぁ~い」」


 爆弾発言でうろたえているのは副神官長様ですね、覚えていますよ。グレーのローブ姿がデフォなのね。優しそうな微笑みがまぶしいわ。女性関係が派手なの? 待ち伏せではないわよね?


「まずは神官と巫女に挨拶、それから祈祷きとうです。わたしが説明いたしますので、安心してください」

 案内ということですね、わたしったら自意識過剰。反省。


 祈祷は大広間で。大きなつぼを肩で担ぎ、ウッカリ水をこぼしている『温泉の女神像』に向かって両手を組む。わたしは……[異世界で殺されませんように、悪者はダークマターで消滅しますように]と祈った。


 祈祷が終わると神殿関係のお勉強。中年の巫女さん(巫女の教育係らしい)から、礼儀や儀礼について習う。そしてシンプルなランチ。これは何だろう、雑穀がゆ?


「ミコ様、午後は参拝者の治癒に当たっていただきます。やり方を説明いたしますので、参拝廊さんぱいろうの先にある聖女塔せいじょとうへどうぞ」


 副神官長様に案内されたのは、大神殿の門と大広間をつなぐ外廊下そとろうか。その先に丸い建物があって、普段聖女様はここで参拝者とお話するらしい。

 中央の台座に大きな女神像付き椅子。ここに座るの? 恥ずかしい。参拝者を見下ろす感じじゃない。しかも何人もの巫女さんがいる。


 大会社のメンタルヘルスカウンセラーかな。社会福祉士や臨床りんしょう心理士の専門知識や実務経験はないんだけど。


「わたしにできるんでしょうか?」

「はい。ミコ様にはいやしの力がありますので」

「……???」

「試してみましょうか。そこの神官、副団長を呼んでもらえますか」

「はい」


 やって来たのは……とりわけ背が高くイカツイ聖騎士さん。この人が副団長様らしい。バケツ兜を取ったら……おおぅ、メチャたくましい格闘技系イケメンさん。今まで稽古でもしていたのかしら、カールした茶髪が汗で濡れているわ。お風呂に入れて全身をタオルで拭いてあげたい。


「何か御用か、副神官長」

「ミコ様がお呼びだ。ちょっとそのごつい手を切ってくれ」

「ごついだと?」

「いいから切ってくれ」


 待って待って。手を切るって!?


 ガシッ、ブシャー!


「キャ〜〜〜ッ!!」


 副団長様が左手の甲を自分の剣で切った!

 血がドクドク流れている!

 頭おかしいの? 信じらんない!


「どうぞミコ様、こいつの手を治療してください。できなければできないで構いませんので」

「いいえ、ミコ様。ぜひ治していただけませんか」


 エエエ〜。この二人って……。


「でも、どうすればいいのか分かりません……」

「傷口をその可愛らしい手ででてくださればよいのです」と、副団長様。


 エエエ〜!

 仕方なくわたしは副団長様の傷口を、泣きそうになりながら撫でた。


 うわぁ~、大きな手。撫でがいがあるわ。わたしの二倍はありそう……スリスリ。

 すると――。

 驚いたことに、次第に血が止まり、傷がふさがったのだ。


 エエエ〜!


「さすがでございます、ミコ様。俺はイアソン・クセナキス、聖騎士団の副団長、ど・く・し・ん、三十歳です。これからずっとミコ様をお守りいたします、守らせてください」

 副団長様がわたしの前でひざをつき、にこやかにわたしの両手を握りしめた。

「ええと……」


 な、何だか恥ずかしい。


「副団長、ミコ様が困ってらっしゃる。手を離せ」

「フン! ではミコ様、また俺の傷を癒してください」

「はぁ……」


 副神官長様の方が副団長様よりも上なのかしら。上下関係はちゃんと把握はあくしないと。人間関係を円滑えんかつにするためにも。



❖ ❖ ❖



 参拝者の訴えを聞き流し(何を訴えているのかよく分かりません)、傷や火傷なんかを撫でていたら、あっという間に夕方になった。聖女塔へ参拝に来る人たちは体にダメージがあるのね。外科医になった気分。巫女さんたちはナース。

 新しい職業は外科医兼メンタルヘルスカウンセラー。勘弁してぇ。理解と心と治癒力が追い付かないの。


「お疲れ様でした。ミコ様、明日もよろしくお願いします」

「よろしくお願いします、副神官長様」

「顔色が優れないようですが……大丈夫ですか? こちらにいらしたばかりですし」

「それは……はい。でも仕方ないですから」

「ミコ様の前の聖女様もそうおっしゃってらしたと聞いております」


「前の聖女様?」


 はて?


「何かありましたらわたしにご相談ください。すぐにでもミコ様のお部屋へ飛んでいきましょう。同じ上級者棟なので」

「いえ、そこまでは……」


 とびきり優しい微笑みに隠された真意は?

 神官が聖女部屋に来るのは風紀的にマズいのでは。この国の神殿はゆるゆるなの?


 ヘトヘトになって自室に戻り、双子の巫女ちゃんと夕食。夕食だけは豪華。ベリーたっぷり蒸しパンに加え、野菜シチューと蒸し謎肉ソース添えと果物があったから。

 もう立っていられません、お風呂(温泉!)でゆっくりしたらベッドへダイブ!


 二年前に新入社員になって研修したばかりだったのに、また新入社員研修。しかも訳の分からない世界と経験のない仕事。続けられる気がしない……。



☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞


「あsdfghjkl;:!」

「オイ、マテ!」

「あsdfghjkl;:!」

「オイ、オマエ! オマエだよ!」


☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞ ☞

※次回、第一王子様が現れ、談合は続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ