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必見!1ヶ月で6億金貨稼ぐ方法!トロールと呼ばれたNPCである俺はバグって村社会から追放されたが肝臓検査で成り上がる!〜個人的には味噌汁にはなめこ×アサリが最適解だと思う〜。P.S魔王討伐します  作者: 出版社に渾身の力作持ち込むも編集者とやらにズタボロにこき下ろされて精神崩壊し隔離病棟に10年ぶち込まれた俺、しかし夢で練り上げた全力の力作をなろうに載せて大大大逆転する〜いまさら後悔してももう遅いぜ〜
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偉大なる雷王の最後

豪雨を抜け、雷雲を抜けると石造りの宮殿が白い雲の上に乗っかっていた、乗っかってはいるが……


「こいつは……」

「『網の生成』」

「ダンジョンでは無いことは確かね」


これを宮殿と呼ぶのはややはばかられるサイズ感だ、20メートルほどの感覚で正方形に置かれた4本の柱に屋根を乗っけただけである、大きさはしょぼいが装飾はそれなりに凝っているし周りにイカヅチが飛び回っていて雰囲気はある。

そこの中央にいるのは白髪の男、ギリシャ神話風の衣装に身を包んでいる、有り体に言えばなんか神っぽいな、と言ったところだ。

その髪型

その目

その口元

推測するに、それが雷王だろう、ダンジョンの奥に待ち構えるようなダンジョンボスではなくすぐに戦えるフィールドボスだったのだ。


「ふむ、どうやら我の高尚な計画を見破り、攻め入るものが現れるとはな」

「「高尚な計画?」」

「剥製になれ」

微妙に息が合わないが、この雷王の説明は恐らくヒント無しで隠されているフィールドボスを見つけてしまった人用のものだろう、フィールドボスは大抵の場合なんの理由もなくばったり出くわすものではなくこちらから探さなければ出会うことは出来ない、バージョン1,0の頃は偶然ヒント無しでボスを見つけた人間が話の噛み合わないまま理不尽に襲われることがよくあった。

しかし計画とはなんのことだろうか、もしやここで誰にも見つからずに何かを企んでいたということだろうか。


「地底人共には高度すぎて到底理解出来んと思っていたぞ、この偉大なる雷王の大地侵略計画はな、空でこっそり兵力を高めて一気に攻め落とすという計画だ、クククク」

「いや理解はできる、馬鹿にするな」

めちゃくそ単純明快である、ギリギリ猿でもわかる計画なんじゃないか?

昔猿が森でこっそり仲間を集めて王都に侵略するイベントがあったぞ、それと同じじゃないか。

ちなみにそのイベントは猿が狩られるだけの経験値イベントだった。


「ここに3本の矢がある」

雷王は唐突に三本の雷で出来た矢を召喚した、そしてそれを1本折る。

「1本の矢では簡単に折れてしまう、だが3本の矢…うん?」

矢は2本しか残っていない、雷王はサッともう1本の矢を召喚した。

「だが3本集まっても同じぃぃぃいい!まとめて叩きおってやるわァ!かかってこぉい!」

そう言って矢を霧散させると雷王と俺たちは同時に戦闘体制に入った、テンインは槍を取り出し、拳はいつのまにか網で捕まえたイカヅチを気絶させバッグに詰め込むとこだった、だからさっき網出してたのかよ余裕かよ真面目にやれ、剥製は後でいいだろ。

俺がどんな方法で戦うか思案している間に先に雷王が行動した、その速度はまるで雷そのものである。


「『雷怨舞踏会』」

そう雷王が発した途端雷の檻が宮殿を取り囲むように設置され、足元に電気が散るような演出と共に俺の体毛が膨らむ、みんなが忘れていないといいのだが、俺、鳥である、羽毛が膨らむ、静電気えぐい。

この雷の檻誰も逃げられない、と言うだけでは無いのだろう、中にいるだけで持続的に軽い雷のダメージと、弱い麻痺(スタン)判定が行われるようだ、だがこれで麻痺麻痺(スタン)することは中々ないだろう。


「痺れた」

戦力の大半が動かなくなる声が聞こえた、テンインも強いプレイヤーではあるが拳より強いということはないだろう、そして俺はNPCの中では…てレベルの強さである、これどうなるんだろう。


「ほう?どうやらそこの鎧は相当運が悪いようだな、耐性が0でもなかなか痺れんのだが…『雷踏』!」


雷王が1歩踏み込むと雷王からテンインの前まで電気がほとばしる一筋の足跡のようなものが生成された、まあ少なくとも鳥より人間を狙うのは自然な流れである。


「なにか来るぞテンイン!」

「流石にわかるよ!」


防御体制を取ったテンインの元へ雷王がほとんど瞬間移動の速度で飛び込み、雷を纏ったパンチを繰り出した。


「ッ!」

クリーンヒットとは言わないまでもダメージを受けたようでテンインが一瞬怯んだ、それを見逃さず雷王は2撃目を放とうとするがテンインも槍を短く持って素早く反撃した、ふたつの攻撃が交わり雷と衝撃が起こる、2人が弾き飛ばされまた距離が開いた、恐らく雷王はもう一度『雷踏』で距離を詰めるだろう、それに備えて俺は動き出す。


「大丈夫か!?テンイン!」

「キツいね、防御できても雷でダメージを受ける」


確かに2撃目はテンインに直接当たらなかったはずだが接触しただけで雷が発生していた。


「ククク!我の攻撃を防ぐことなど出来ん!いつまで耐えられるかな?…『雷踏』!」


またしても雷王が踏み込みテンインに向けて雷の足跡が伸びる。

「2度もやらせるか!うおりゃ~~!!!喰らいやがれ~!!」


気合いを伴い急いで羽ばたいて割り込みどすんと落ちる、雷王の『雷踏』は移動自体は止められないほど速いが、足跡を伸ばし実際に動くまで猶予がある、この世界がゲームである以上いかなる技もゲームバランスが考慮されている、恐らく事前に予告するからこそ異次元のスピードを出せるというスキルなのだろう、その猶予こそ付け入る隙だ、俺は足跡を邪魔するように雷王とテンインの間に割り込んだ。


「ふん、生意気な召喚獣だな、邪魔するな」

「召喚獣じゃない!俺はムラビトだ!」

目論見通り『雷踏』をキャンセル出来たようで足跡が消える、それと同時に雷王が硬直する、どうやら『雷踏』には相応のリスクもあるらしい、これすなわちチャンスである。


「どりゃ~!鳥タックル!」

全力で走って雷王にぶつかろうとするが、躱されてつんのめる。

「くだらん、『雷槍』」

雷王の手に雷の槍が握られ俺に投射される、高速で飛来したそれは俺に直撃する。


「うわあ!全然痛くない!!」

俺の体に当たった『雷槍』は羽に触れてほとんど霧散し少しのダメージしか与えなかった、どうやら『ウルトラマジック・ラージ・ピジョン・プラスインセイン』の体は少なくとも雷属性の耐性には名前に恥じない程度のものがあるらしい。


「なんだと?鳥風情が、直接殴ってやるぞ」

「先にこっち」

そう言って遠くで甲冑が立ち上がった、その足元には空き瓶が落ちている、テンインが麻痺の解除薬を飲ませたのだろう。

「拳!またスタンしないだろうな!?」

「100%、問題ない、『檻を破る剣の生成』」


拳の身長の倍ほどの大きさの剣が浮き上がり、すぐに雷王に向けて発射された、雷王がそれを避けると剣はそのまま雷の檻にぶつかり『雷怨舞踏会』を砕いて破壊する。


「すごい…!まさか拳さんがこんなに高レベルな魔法使いだったなんて!」

「驚いた、まさか闘いの最初に痺れていたやつがここまでとはな…『雷踏』!」

「『意志を持った泥の戦士の群れの生成』」

再び雷王が雷踏を発動し現れた足跡を防ぐように泥でできた人型の生物が6体、即座に生成される、同じく泥でできた剣をもったそれらの内の一体が道を阻み『雷踏』はキャンセルされた、そして雷王は泥人形に取り囲まれる、恐るべきは拳の詠唱速度だ、詠唱する時間の都合で後手に回りやすいはずの魔術の弱点を全く感じさせない。


「くだらん真似を…『雷廻』!」

しかし雷王の回し蹴りによって泥人形は一掃される、泥でできた人形は雷に耐性があるようだったが、物理的な損傷で動かなくなった、しかしその僅かな時間で拳にとっては十分だったようだ。


「『誘導し炸裂する炎の槍の生成』」

宮殿を支える柱程の大きさの火柱が拳の前に現れそれが、雷王に向かって飛来する、雷王が回避しようとするが炎の槍は追尾し、そして炸裂した。


「やったか!?」

「それ言っちゃったら絶対やってないよムラビト!?」

まさかこの俺がツッコまれる日が来るとはな

【用語】

『麻痺』スタンと読む、状態異常であり、かかると痺れて行動不能になる。

『召喚獣』召喚魔法によってモンスターと契約すればモンスターを戦わせることが出来る、ただしモンスターの強さは召喚士の強さしだいで制限がかかる。

【ユニークスキル】

『雷怨舞踏会』雷の檻を生成し中のキャラクターに雷属性の小ダメージと微弱な麻痺属性の攻撃を持続的に与える、またキャラクターの出入りを禁止する、この檻は耐久値があり、攻撃されて0になると壊れる

『雷踏』足跡を出現させその上を辿って高速移動する、移動することをキャンセルすることも出来るがその場合少しの時間行動不能になる、足跡を邪魔するように何かが配置されると強制的にキャンセルされる。

『雷槍』雷の槍を出現させ投擲する、雷属性の中ダメージを与えられる。

『雷廻』回し蹴りで自身の周囲を攻撃する、雷属性の中ダメージを発生させる。

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