死んでないし完全復活
「グッ!?なんだこれは!」
何度も激しい爆発が連鎖し雷王を襲う、立て続けに高いダメージが発生して雷王は身動きが取れない、終わる気配のない炎の嵐は雷王の体力を削りきるように思えた、しかし唐突にそれは起きた。
雷王にダメージが入っていたヒット音が途切れた、これはつまり無敵時間に入ったことを示している。
「1度は我を倒したことを認めよう、だが2度目は無いぞ…『雷身』!!」
雷王に向けてどこからか現れた大量のイカヅチが集まり吸収される、そして雷王は拳が打ち出した炎と同じくらいの雷を発生させそれを相殺した、そして雷を身に纏った新しい姿になる。
「回復したの!?」
「第2形態って訳か!?」
「やっぱり1回では終わらないと思った、次はちゃんと手加減して気絶させる魔法を撃つ」
剥製狂はこの事態を見越していたようだ、そして今日も安定している。
「ふん、余裕なのは今のうちだ、俺はまだ本気を出していなかった、切り札は取っておくものだからな…だが今こそ放つぞ、『雷桜』」
雷神の背後から桜の木のような形をした雷が出現する、1枚1枚の花弁が雷の礫となって当たりを飛びまわる。
「なにこれ!?避けられるわけないじゃん!」
「2人ともこっちに来て、『台風の目の生成』」
拳の近くに3人が集まったのを見てから唱えられた魔術で俺たちを中心に円状に強風が発生し、雷を弾いている。
「すごい!これなら雷王の切り札も無効化できるかも!」
「甘い!これで終わりじゃないぞ!」
「まずい」
拳が俺達2人を突き飛ばす、台風の目からも追い出されてその直後に枝から花の落ちた『雷桜』が1本の雷に変化し目にも止まらない速さで拳を狙い直進し
風の壁すら突き抜け拳に命中した、それと同時に雷の花は止んだものの、またもや拳は麻痺してしまったらしい。
「やられた」
「ふっ!必中にして絶対麻痺の一撃だ、如何なる強者も逃れられはせん」
「結構余裕じゃない!?さっきの何回も使える技には見えなかったけど!」
テンインの指摘通りだ、特殊な演出や仕様を持つ技はボス戦で1度きりのことが多いもう一度拳の麻痺を解除出来れば勝利は確実だろう。
「テンイン!薬まだあるか!?」
「させると思うか?切り札はもう1つあるとくと見よ!『偉大なる雷王の最後』」
そういうなり雷王はどこからか現れた多数のイカヅチを吸収していき、今までにないほどの雷を纏って拳に向かい突進していく、拳は無防備だ、誰かが守らなければいけないが耐性の高い代わりにレベルが低い俺や、普通の冒険者のテンインが受ければひとたまりもないだろう……しかし全身に鎧を纏っている上、魔術師として魔術に耐性のありそうな拳ならどうだろうか?俺たちが守らなくても耐えられるんじゃないか?
「絶対耐えられない」
「吹き飛べ!!甲冑人間!!!!」
「じゃあヤベえじゃねえか!うお〜〜!!鳥キーックッ!!!!!」
急いで拳の間に割り込む、俺の実力は雷王には遠く及ばない、だが!少なくとも気合いでは勝った。
だがあっけなく吹き飛ばされてぐるぐると回転しながら地面に倒れて、急いで状況を確認しようと周りを見渡したところ、異変に気づく
「な、なんじゃこりゃあ!?」
「ウソ!?アハっ!ムラビトそれヤバすぎ!!」
「正気か?それはなんだ鳥…いや鳥頭」
まず俺が挟まったことで拳に攻撃は直撃しなかったようだ、しかも『偉大なる雷王の最後』は属性方面に偏った攻撃だったようで『ウルトラマジック・ラージ・ピジョン・プラスインセイン』のびっくりするほど高い耐性によりおれは体力の半分ほどを残している。
そんなことより驚くべきことは俺の体が雷王のものに変化していることだ、体から溢れ出すパワーに思わず最初から雷王に触れに行けば良かったと考えてしまった、肝臓検査によると『雷王化』状態である、しかしなぜか頭は鳥のままである、下半身を向けて突っ込んだ為当たりどころが悪かったのだろう。
拳は攻撃を受けて膝を着いているが少なくともまだ体力は尽きていないようだ。
「チッ!さっさとくたばればいいものを!『雷踏』!」
「させないよ!ムラビトこれ!」
テンインの判断は素早かった、俺に向かって薬のビンを投げつつ素早く移動、雷王から拳に向かって伸びた足跡が出るもテンインが割り込みキャンセルされる、そのまま2人は近接戦闘に入る、テンインは受け主体の戦い方でダメージを抑えながら時間を稼ぎ、俺は拳に薬を飲ませる、すぐに異常が解除された、と同時に拳は立ち上がって言う。
「2人とも少し時間を稼いで、後魔術が当たるように動きを封じて」
「「了解!」」
拳が魔術を唱え始めると同時に俺たち2人は雷王に接近戦を仕掛ける、今の俺は元の俺より何倍も強いし、いい勝負になるかと思ったが。
「くっ!この体になっても同じ強さにはなれないか!」
「当然だ!どう見ても俺には届いて…いない!!!」
俺の体はどうやらレベルの差からか雷王と比べると能力は劣るらしくその差は数発拳を交わしただけで浮き彫りになってしまう、テンインのアシストのおかげでなんとか耐えられてはいるものの2対1でもやや押され気味になり、俺の体力は減っていく、だがそれでも俺たちは必死で食らいついた。
「チッ!面倒なヤツらだっ!『雷廻』」
泥人形を吹き飛ばした技が俺たち2人に牙を剥く、テンインは槍で上手く衝撃を殺せたようだが俺はもろに受けて怯んでしまう。
「まずいか!?」
「十分だよ、『地獄の底で魔王を繋ぐ鎖の生成』」
拳が相変わらず脅威のスピードで魔術を唱え終わると拳の背後から3本の鎖が現れて辺りの空気を鈍くねじ曲げて拳のコントロールの元雷王に向かって突き進んでいく。
「そんなトロい攻撃に当たるか!」
「一緒に当てるぞテンイン!『雷踏』!」
「なっ!なんだ!?なんのつもりだ!?」
雷王が驚くのも当然である、俺が出した足跡は雷王の後方、それも空中に浮いた状態で出されたからだ、このまま行けばただ空中に飛び出しそのうえで雷王に背後を晒すだけになってしまう、テンインの本来の戦い方を知らなければ何にも気づけないだろう、これは俺たちのコンビネーションアタックだ。
「切り札は取っておくもの!でしょ!『爆心地』!」
テンインが地面を蹴りつけると足元が爆発してテンインが前方に飛んでいく、雷王に急接近すると同時に槍を雷王の足元に叩きつけた、それと同時に大きな爆発が起こる、宮殿の床が崩れ衝撃で浮き上がった雷王の足元が奪われる、テンインは実は爆破属性を操るプレイヤーなのだ。
「くっ!小癪な!」
「そーれ!『爆穿突』!」
テンインが槍を雷王に向けて突き出すとそれが爆発する、雷王は衝撃をしっかりガードしたようだがダメージは入っていなくとも爆発の影響で空中に放り出されることを止めることは出来ない。
「さあくらええ!」
「しまった!ックソ!」
俺の『雷踏』の先へ、テンインはしっかり雷王を送ってくれた、そしてそれに応えるために俺は雷となって移動し、渾身の一撃を加える、それもやはり大したダメージを与えることは無いものの、明確に雷王の隙を作った。
「認めよう…!お前達の勝ちだ!」
拳の三本の鎖が次々と雷王に刺さり、凄まじい連続ヒットが発生した、しかしそれが雷王の体力を削り切る前にギリギリで止まってしまう。
「「「???」」」
俺、テンイン、雷王の3人が困惑していると、拳が答え合わせを始めた。
「『めちゃくちゃ弱いロングソードの生成』、『剥製斬り』」
「そんな馬鹿なァァァ!!この鎖は手加減用か!?体力がゼロにはならないようになっているのか!?そのためにわざわざ今までで1番複雑な詠唱をしたのか!?舐めてるのか!??ふざけるなあァァァァァ!!!!!!!!!」
雷王の悲鳴が雲の上の晴れ渡った青空に響き渡った、後にはポーズを決めた雷王の剥製とボス討伐報酬、そして満足気な甲冑姿の魔術師と鳥頭と自称NPCが破壊され尽くした宮殿に残った。
【スキル】
『爆縮地』爆破属性を極めた者が一つだけ選んで習得できるスキルのひとつ、この世界中のどこでも移動可能な最強移動スキル、距離に応じて魔力を消費する。
『爆穿突』爆破属性の武器でのみ使用可能、魔力を消費して刺した場所に爆発を発生させる
『剥製斬り』全モンスターの50%の種類を剥製にしたとんでもないプレイヤーに与えられる恐ろしいスキル、これでトドメを刺した相手を即座に剥製にする極小ダメージ斬撃攻撃、その際そのモンスターのアイテムドロップは正常に行われる。本来剥製にされるモブはアイテムをドロップしない。
【ユニークスキル】
『雷身』体力が0になった瞬間発動可能、体力を一定割合回復し周囲に強力な雷属性攻撃を行う
『雷桜』雷の桜を召喚し周囲の範囲全体に雷属性ダメージと弱い麻痺属性を持つ花弁で攻撃、その後桜がビームに変形し強力な雷属性ダメージと確定麻痺を与える、このビームは必ず命中する、『雷怨舞踏会』後に1度だけ使用可能。
『偉大なる雷王の最後』雷属性の超強力ダメージと物理の中ダメージを発生させる突進攻撃。「目を閉じればその光景が浮かぶ、いずれ大地はイカヅチに沈む」




