10月6日 ステージ
俺 「明日?」
一ノ瀬「ああ」
一ノ瀬の高校生活最後の試合。どんな感じになるのだろうか?
俺 「どこでやるの?」
一ノ瀬「今回は、俺たちのグラウンドでやるよ」
俺 「そりゃあ、楽しみだな」
明日なら、予定は空いている。野球も昼からいけば間に合うし。
一ノ瀬「まぁ、相手が強いから試合になるかわからないけどな」
俺 「そんなに強いのかよ」
一ノ瀬「まぁな」
聖徳高校が強いからってそんなにビビらなくてもいいのに。一ノ瀬の弱気なところが気に入らない。
俺 「お前がなんとかするだろ?」
一ノ瀬「まぁ、俺は天才だからな」
もし、一ノ瀬がここで結果を出せないようであれば、所詮その程度の選手だったということなのかもしれない。サッカーのことはよく知らないが、試合を見ればどんなモノなのかはやってなくてもわかるだろう。
俺 「じゃあ、見に行こうかな」
一ノ瀬「ああ、来いよ」
当たり前だけど、大学に行けばみんなサークルとかに行き本格的に部活をする人はさらに減る。上のステージに行けば行くほど減るのは当たり前だから仕方がない。それでも、一ノ瀬はやめてほしくない。俺がかかわる人がそうであってほしくないのだ。
俺 「来たら勝つとこ見せてくれるのか?」
一ノ瀬「そうだな、、、、、、。俺のゴールが決まれば勝てるかもな」
俺 「みんな練習してないのか?」
ずっと疑問だった。一ノ瀬は一人で練習していることが多い。でも、サッカーは野球よりもチームプレーのイメージがあった。
一ノ瀬「するわけないだろ。引退試合なんだから」
俺 「じゃあ、負けるじゃねぇか」
一ノ瀬「まぁ、普通にやればな。向こうは、何人かはまだ練習出るみたいだしな」
俺 「やばいじゃん」
普通にやりあえば負けるのは目に見えている。
一ノ瀬「勝ったら、飯奢れよ」
俺 「ああ。その代わり負けたらお前が奢れよ」
一ノ瀬「わかったよ」
決して負けるつもりはないといったような目をしていた。
俺 「何時からあんの?」
一ノ瀬「明日は、11時スタートだ」
俺 「前後半両方するの?」
完全に気持ちは明日にむかっていた。
一ノ瀬「もちろん。俺は両方するから、13時までに来たら見れるさ」
俺 「11時には行くよ」
少し笑みを浮かべ、俺の方を向いたのだった。




