10月4日 ワンマンチーム
気がつけば、俺は一ノ瀬の席を見ていた。しかし、アイツの席には誰もいなかった。なんで来てないのかはわからなかった。
俺 「今日は、学校来てないよ」
新田「そうなんだ」
新田は、不思議そうな顔をしていた。
新田「だから、暇してたんだ」
俺 「暇してないだろ」
暇なんかしてない。俺は、常に野球のことを考えていたのだ。
新田「アイツ、本気で勝とうとしてるらしいぜ?」
俺 「何に?」
新田「聖徳にだよ」
何の話かと思ったら引退試合の話だった。
俺 「でも、そんなに差なんてないだろ」
新田「海美は、一ノ瀬のワンマンチームだからな」
ワンマンチームって言われてもな。まぁ、俺も野球部では同じだったのかもしれない。
俺 「夏は、互角に戦えてたんだろ?」
新田「あれは、一ノ瀬が最高の状態だったからだろ?」
俺 「そんなに差あるのか?」
サッカー部と野球部の差がどんなものなのだろうか?
新田「一ノ瀬が出なかったら、一方的になるってサッカー部は言ってたぜ?」
俺 「そんなにかよ」
もしかしたら、俺が思ってないだけで凄い差があったのかもしれない。
新田「みんな知らないだけで、アイツは相当の奴だから」
俺 「俺たちがそれをサポートしろってことか?」
なんで、新田がアイツのサポートをするのか気になる。
新田「そうだよ、サポートしろよ」
俺 「俺も野球してるんだぜ?わかるだろ?」
新田「わかるけど」
最近、一ノ瀬の手伝いばかりして、俺の野球練習も雑になっている。
俺 「この後、俺は野球しにいくんだよ」
新田「まだ、怪我完全に治ってないんだろ?」
俺 「完全に投げるのは大学に入ってからだから」
新田「そんな遅いの?」
そう。怪我ってそれくらい時間がかかるもんなんだよ。
俺 「一度怪我したら、こうなるんだよ。無理してたら、やっぱりダメだ」
新田「へぇー。野球やってない俺にはわかんねぇ世界だよ」
俺 「スポーツやってなくてもわかるだろ」
コイツも一度は、スポーツをしたことがあるならわかるはず。それがわからなかったら、これから話す全てが噛み合わない気がした。
新田「俺は、お前らみたいにスポーツにのめりこんだことねぇからわかんないよ」
どこか冷めた目で、俺の方を見つめた。




