8月18日 大会14日目
仕事を準備するお母さんは、どこか忙しそうにしていた。大会14日目の組み合わせが新聞に記載されているのが目に入った。
お母さん「未來、野球どうするの?」
俺 「ああ、、、。どうしようかな」
不意をつかれ、困ってしまった。
お母さん「お金払わなくて大丈夫?」
俺 「まだ、正式に行くか決まってなくて」
必死に誤魔化しの言葉を考えていた。
お母さん「でも、この前、合格発表されたんじゃないの?」
合格したことは既に伝えてある。
俺 「それはあったんだけど。今は、監督と面談中で」
お母さん「あんまよくないの?」
何かを心配している様子だ。
俺 「そういうわけじゃないよ。ただ、ちゃんと話し合ってからかなと思って」
どれだけお母さんがわかっているかはわからない。それでも、伝えないよりはいいかなと思った。
お母さん「そうなんだ。もし、決まったらいいなよ」
俺 「ありがとう」
決まったら言うけど、決まるかな?
お母さん「でも、珍しいね」
俺 「何が?」
お母さん「未來がすぐに入らないんて」
意外なのか?自分でもよくわからなかった。
俺 「そう?そんなことないよ」
お母さん「怪我のこともあるの?」
俺 「そうだね。怪我のことは聞かれるよ」
お母さんは、俺が上手くいっていないことを悟ったのか?それならヤバい。変に迷惑をかけたくなかった。
お母さん「あんまり、無理しないのよ」
俺 「うん。やれる範囲でやるよ」
お母さん「じゃあ、私仕事行くね」
仕事の準備を終えたお母さんは、荷物をもった。
俺 「おう。頑張って」
お母さん「お父さんは、今日も遅くなるみたい」
俺 「そうなんだ」
まだ7時30分というのに、お父さんは既に仕事に出ていた。
お母さん「未來も負けずに野球頑張りなよ」
俺 「うん。仕事って楽しいの?」
お母さん「何よ、いきなり」
驚いている。
俺 「いや、楽しいのかなって」
お母さん「楽しいことばっかりじゃないけどね。でも、稼がないと」
稼ぐかぁ。
俺 「‥‥‥」
言葉につまった。
お母さん「アンタのためにも稼がないと」
俺 「そうだな」
お母さん「じゃあね」
俺 「いってらっしゃい」
軽く手を振り、部屋を出て行った。




