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意外なレベルアップ

 実弾演習で偶々見つけた不明船。そこから意識を喪った少女を救出し、ファーストハーバーに戻った俺は、司令官室に向かった。今日起きたことを、日誌に綴るためだ。


 しかし、そこで思わぬ光景を目にした。


 ここ3ヶ月ほど特にレベルアップすることもなく、すなわち召喚できる兵器が増えるわけでもなかった「武器一覧」


 一応、一縷の望みをつないで、毎日目を通すようにはしている。


 今日もダメだろうなと半ば諦めていたのだが、なんとパラパラめくったら、召喚できる兵器が増えていた。


 増えていたのは飛行機と車両で、飛行機は日本陸軍の98式直協機と日本海軍の95式水上偵察機に米海軍のSOCキングフィッシャー偵察機。車両の方は日本陸軍の97式中戦車初期型とソ連軍のBT7型快速戦車だった。


 艦船に関しては、種類は増えてなかったけど、召喚可能な間隔が1ヶ月に1回から3週間に1回に短くなっていた。


 一体何が功績としてカウントされたのか?思い当たることと言えば、あの少女を救助したことくらいだ。となると、人命救助もレベルアップに反映されるのだろうか?


 そんなことを考えながら首をひねっていると、ドアがノックされた。


「どうぞ」


「提督、救出した少女と、回収した航海日誌について報告に参りました」


 副官の晴香だった。


「ああ。ごくろうさま。で、どうだった?」


「少女の方は、大分衰弱していますが、命に別状はないそうです。今は病室で眠っています。ただ、目を覚まして逃げ出すと行けないので、病室前に見張りの兵士をつけてあります」


「うん、それでいいよ。航海日誌の方は?」


「それがこの国・・・ああ、ここで言うこの国とは、今我々がいるカークラント王国のことですが。そのカークラントとは別の、外国の船のようです」


「ほう。国籍は?」


「リリアーナ王国という、カークラントからは海を隔てて北にある国のようです」


「リリアーナ王国か・・・」


 僕は本棚から、この世界の地図を取り出す。以前漁村にいた行商人から大金をはたいて買ったものだ。


 見るからに精度の荒い、どこまで信頼していいかは疑問だが、それでもこの世界の貴重な情報源だった。


 僕たちのいるカークラントは大陸の西端にある中堅国家だけど、リリアーナ王国は地図が正しければ海を挟んだ北にある島国だった。ただ距離は判然としない。船で数日掛かる程度としか、伝わっていない。


 この世界では国家間の貿易は、地球の21世紀に比べれば微々たる範囲でいしか行われていない。ましてや、こんな辺境に至っては、まともな情報など得られないに等しい。


 とは言え、その国の船があの海域に漂っていたのは気になる。もちろん、乗員が全滅していた点や、ただ1人生き残った少女も含めて。


「情報の無い異国の船。しかも、あの異様な状況・・・晴香はどう思う?」


「普通に考えて、リリアーナ王国で何か起きたとしか」


「だよな・・・とは言え、生き残りが小さな女の子だけじゃな」


 はっきり言って、有益な情報が聞き出せるなど、微塵も考えていない。あの状況をサバイブしたのだ。ちゃんと喋れるかもわからないし、喋れたところで、あの年齢では聞き出せる情報はタカが知れている。


「提督は、あの娘をどうする気ですか?」


「そりゃ、放り出すわけにもいかないし。うちで面倒見るしかないだろ」


「となれば、住居や衣服の準備とか、必要ですね」


「だな。部屋は女性居住区の空き部屋でいいとして、服は・・・近くの村で調達するか?」


「基地内の縫製工場で作るという手もありますよ」


 晴香さん。実に楽しそうだな。


「何だか、楽しそうだね」


「だって、子供ですよ子供。それも可愛がりの甲斐がありそうな、女の子ですよ」


「はいはい。まあ、まずは意識を取り戻すのを待たなきゃな」


「わかってますって・・・ところで「武器一覧」を見ていると言うことは、そろそろ次の召喚ですか?」


「いや、それが今日見たら召喚できる兵器が増えていたんだよ。航空機と戦車だけど」


「う~ん。今すぐ必要ではないですよね。むしろ、今後のことを考えると、そろそろ新しい船を召喚した方が良くないですか?」


「そうだな・・・大きな船を増やすか、それとも小さくとも数を増やすか、どっちがイイと思う?」


「う~ん。数を増やす方が良くないですか?そうすれば、出動する船のローテーションを組みやすく出来ますから」


「そうだな・・・じゃあ、掃海特務艇を増やすか」


 掃海特務艇は、旧日本海軍が捕鯨船をベースに開発した艇で、特務と付くように正規の掃海艇よりは性能スペックは一段低い。それでも漁船ベースだから航洋性は折り紙付だし、漁船としても使いやすい。


「みさご」1隻に負担を課し続けるのもアレだしね。


 こうして、我が艦隊に2隻の艦艇が増えた。もちろん、2隻の乗員90名もだ。


 召喚時点で艇の乗員の練度は確保されているので、早速翌々日から「みさご」とローテーションを組んで、漁を行わせた。残る2隻は整備と訓練に交互に入る。


 これで船の運用の柔軟性が、大きく上がった。


 そして、同じ日にあの少女も目を覚ました。


 


 



 

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