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烏賊退治に向かいます

 こうして、クラーケン退治に出撃は決まったけど、反対意見が出たのも事実。彼らへの配慮も必要だ。


「万が一に備えて、できる限りのことはしよう。使える武器は全部上甲板にあげて、それからハンモックや防舷材で防御を少しでもあげよう」


 と言うわけで、艇内に格納されていた武装も全部甲板に上げ、艇の周囲や船橋部分をハンモックや防舷材で囲んで、気休めだが防御力を上げる。


 もちろん、乗員も上甲板に出る者は鉄兜と救命胴衣を着けた。


 こうして、クラーケン討伐装備となった「みさご」に乗り、翌日僕たちはその姿を求めて大海原へと出港した。


 クラーケン出没海域は、予め情報収集をしているので、機銃も爆雷もいつでも発射できる態勢に入れておき、発見次第攻撃する。サーチアンドデストロイだ。


 あと、これまで漁の際は無縁だった聴音機も使用する。この艇に搭載されているのは簡易型だけど、それでも、使わないよりマシだ。


 と、気合い充分で出撃したのだけど。


「出ませんね~」


「出ないね~」


 予定海域進出から3時間経過しても、クラーケンが出てくる様子は、まるでなかった。


「聴音も何もなし?」


「何もありません。まあ、そもそもクラーケンを捉えられるかという、そもそもな疑問がありますが」


 聴音手がもっともなことを、言ってくる。確かに、相手はファンタジーだがらな。


「そっか」


 何もないなら何もないに越したことはないけど、これじゃあ士気に関わるよな。


「提督。せっかく暇してますし、試験ついでに爆雷を投下してみます?」


 と、大槻艇長がそんな空気を感じ取って提案してくれた。


 30個しかない爆雷を使うのは勿体ない気もするけど、実際まともな実弾訓練なんかやってないしな。


「そうだね。じゃあ、やってみようか。3個だけ投下。深度を1発は30m,2発は60mに設定して。投下間隔は10秒で」


「了解!爆雷戦用意!」


 途端に艇の後方が慌ただしくなる。爆雷担当の乗員たちが動き、投下軌条に載せられた爆雷の深度を調節する。


 ちなみに、搭載している爆雷はドラム缶型の95式爆雷だ。


「用意ヨシ!」


「投下始め!」


 艇尾の兵が、投下軌道を操作して爆雷の投下をはじめる。10秒間隔で、爆雷を海中へと落として行く。


 爆雷が水中に投下されると、小田島兵曹がストップウオッチで爆発までの時間を計る。


 爆雷の沈降速度は決まっているので、おおよそ爆発の時間はわかる。


「じかーん!」


 と彼が叫んだが。


 一行に爆雷特有の爆音も、水柱も起きない。


「うん?不発?」


「かもしれません・・・2発目じかーん!」


 でも、2発目も爆発しない。そして、案の定3発目も爆発しなかった。


「故障?」


「まさか。1発や2発ならわかりますが、3発連続だなんて。それに、爆雷は提督の神様特典で、最新の状態の筈ですが」


「だよな~。30分くらい様子見て、もう一度3発投下して見ようか。爆発しないのは、なんだか気味悪いし」


「了解」


 しばらく「みさご」をグルグル同じ海域を航行させる。すると、10分ほどして足元から鈍い震動が伝わってきた。


「うん?」


「提督、爆雷が爆発した模様です」


「でも、あれから15分は経ってるよ。それに、感じからして至近じゃないし」


「どうします?爆発が起きた方向に、行きますか?」


 晴香の問に、俺はちょっと考える。


 色々と理解しづらい状況だけど、確かめないわけにもいかない。


「そうだな・・・艇長、悪いけど爆発地点に艇を向かわせて。もちろん、戦闘配備のままで」


「了解です。おも~か~じ!!」


 大槻艇長の掛け声のもと、爆発音が起きた海域にとって返してみると。


 そこには、海上に転々と浮かぶ明らかに烏賊と思しき生物の胴体や、足の残骸が浮かんでいた。


「これって、クラーケン?」


「みたいですな。バラバラなところを見ると、爆雷の直撃を受けたみたいですね」


 乗員たちで比較的形の残っている残骸を、引き揚げてみた。確かに、強力な力で引き千切られたみたいだし、中には焦げ目がついているのもあった。


「やっぱりこれ、爆雷の直撃ですよ。でないと、こんなバラバラになりませんって」


「明らかに、至近で爆発した痕跡もありますし」


「だよな・・・どういうことだ?」


 未だに納得いかない僕に、小田島兵曹が笑いながら言う。


「まあまあ。退治できたんだからいいじゃないですか。これで提督の経験値も上がるでしょうし」


「そういうもんか」


「それより提督。このクラーケンの残骸、どうします?捨てます?持って帰ります?」


 艇長の言葉、捨てるのはさすがに勿体ない。


「取り敢えず持って帰って、イカ焼きにでもしてみようか。捨てるのは勿体ないから」


「了解!」


 その後、とりあえず食べられそうな足を中心に残骸を拾い上げて、僕たちは帰投した。


 ちなみに、クラーケンは刺身と焼きでは味が薄く、皆顔をしかめただけで、最後に残った部分で作った烏賊干しだけが、旨味が出てようやく食えた。


 と言うか、醤油がないのが致命的だな。なんとか作れるようにならないと。


 そして、経験値はと言えば・・・拠点に帰って自分の部屋の「艦艇一覧」が「武器一覧」にアップして、航空機の頁が増えていた。もちろん、召喚できる艦艇も。


「よっしゃ!」


 僕がガッツポーズしたのは、言うまでもない。


 次に召喚するのは・・・

 

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― 新着の感想 ―
お久しぶりです。これは先が全く読めないw 艦艇はどこまで行くのか? そして敵はどうするのか? 作者様の腕に期待大で有ります!
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