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遅いうえに、短いですすみません。だんだん投稿ペースを元に戻します。
「今帰った。それとレティアさんにお客さんだ」
「あなた、おかえりなさい。レティアさんのお客さんって誰かしら」
「私には覚えがないのですが」
エレーナさんともに夕餉をいただいていたら、お義父さん。レゲンドさんが帰って気ました。すでに辺りは暗くなっていて、大変お忙しかったのでしょう。レゲントさんの顔からは疲れが見て取れます。肉体的な疲れというよりは、気疲れのような気がしますね。そして私に客が訪ねてくるようなことなどあったでしょうか。
「こんばんは、レティアさん。あなたに用事があるのは私なのよ」
「アルセリーナ様、お久しぶりでございます。できるのであれば事前に来ることをお伝えしてほしく思います」
「レゲントがいけないのよ。レティアが来ることを黙ってたんだから」
「こうなることが分かっていたので、お教えしなかったのですが」
「私に隠し事しようとするのは無理なのよ。話は食べてからで大丈夫よ、私はもう食べてきたから気にしないでちょうだい」
「城にわたしを呼び出すのではいけなかったのですか?」
「それだと公式な物になってしまうでしょう。今回は非公式、今私は自室で寝てることになっているもの。それじゃあ、別室で待っているわね」
そう言ってアルセリーナ様は食堂を出てゆかれました。
非公式にしたい理由とはなんなのでしょうか。お待たせするわけにも行かないですし、早く食べてしまいましょう。ちゃんと食べてたうえで。
「お待たせしました」
「ちゃんと食べないで来ていたら怒るところだったわ。それで会いに来た理由なのだけど、これをティア王女に渡してくれないかしら」
「手紙ですか。ご自分でお出しになれば良いのでは」
「私からは出せないのよ。会ったことがないことになってるもの」
「あの時は非公式でしたか」
あの時とは、アルセリーナ様が自ら囮となっていた時の事です。それからは公式なものとして、ティア様がアルセリーナ様とあったことはありません。アーサー様と会う時もアルセリーナ様がその場に来たことはないようですし。しかし、ティア様から聞いた話では、アーサー様の手紙と一緒にアルセリーナ様とも手紙でやり取りしてるはずです。
「アーサー様にお願することは出来ないのですか?」
「この手紙はお兄様のと一緒だとダメなのよ。お兄様の好きなものを書いたのだから」
「プレゼントですか」
「そう、だからティアに直接じゃなくても良いから渡してくれないかしら」
「途中検閲が入っても大丈夫ですか?近衛伝いに渡そうかと思います」
幾つか伝はありますが、リーア経由で渡すのが速さ的にも一番だと思います。学園ではあまり接点がありませんからね。リーアに渡せば確実に渡してくれるでしょうし。
「大丈夫よ。お兄様に見られなければいいだけだから」
「分かりました。しかし、いつもアーサー様は手紙の内容を見るのですか」
「ああ見えてお兄様嫉妬深いのよ。私がティアとどんな話をしてるか気になって仕方ないみたいなのよ。しかもその嫉妬を上手く隠してるから、ティアにはバレていないみたいだし」
「恋をした男性はだいたいそうなるのでしょう。あれでクロードも嫉妬してきますから」
私が男性の教師と話してると間に入ってきたり、何を話してきたかとか聞いてきますからね。生徒のことな授業の話しかしてないというのに。それだけ愛されているということでもあって、嬉しいんですけどね。
「良いわね、好きな人が居るって言うのは」
「アルセリーナ様は婚約者がまだ決まっていませんでしたか」
「過保護なのよ、早く決めないと私も準備のしょうがないし」
「娘を手元に置いておいて置きたいのはどこの父親も似たようなものですね。そのうち自力でどこかに行ってしまうというのに」
「早く飛び立ちたいものだわ。二年ってもどかしいわね」
「アルセリーナ様もエングラスト学園に?」
「そのつもりよ。自国の学園に行くべきなんでしょうけど、魔法や魔術に関してはエングラストの方がはるかに上だもの。人脈もある程度は作り終えているから、自国の学園に通う必要も無いし」
「人脈というのであればエングラスト学園にも少なくない貴族が他方の国より来ていますから、広く持てると思いますよ」
魔法などがステータスとして認識される国の貴族などは、魔法や魔術の技術を求めてエングラスト学園に来ることがあります。また他国であろうと平民の一般入学ができるのも他国の人間が来る要因の一つでしょう。
「そうなのよね、国外の人脈ってなかなか繋ぎにくいのよ。だからそれもあってエングラスト学園に行くわ。その時はよろしくね、レティア先生」
「お待ちしております、アルセリーナ様」
次回は甘くなるかもしれません。誤字脱字ありましたら下の方に専用のがあるのでそこからお願いします。




