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「明日からは長期夏季休暇です。宿題に関しては学園に戻って来るまでにやっておくこと。また、帰郷する子学園に残る子も危険なこと犯罪はしないこと。これらを守ってくださいね」
『はい』
長期夏季休暇。年に二度ある長期休暇の内最も日数が多いです。
夏季休暇中は帰郷するものが多くいます。
長い休暇ですから、故郷の遠い生徒も往復にかかる日数を除いても十分休む日数があります。
ちなみに先生にも休みはありますが、二週間決められた日取りになります。
全ての先生が学園からいなくなることを防ぐためですね。
一部の教授は自らの研究で帰ろうとしないことも多いのです。
しかし学園長が必ず休むようにと、無理やり学園から追い出すので多くの先生は故郷に帰っています。
他にも学園長のご好意で、故郷の遠い先生は長期休暇の全てが休みになることもあるそうです。
「おかえりなさいませ、奥様」
「ディーただいま。ケェファの様子はどうでしたか?」
「お嬢様はお元気でいらっしゃいますよ。今日は屋敷の中を探検致しておりました。あとは本に興味を持たれたのか、書庫を探検した際に大変楽しそうにしておりました」
ケェファはまだ立つことが出来ませんから、ディーに抱き抱えられて探検したのでしょうね。
「本に興味をですか。絵本を用意しないといけませんね。絵本選びはディー達に任せます」
「分かりました奥様」
「それからペンと紙を部屋まで持ってきて貰えますか?お義母達に手紙を書くので」
「すぐお持ちいたします」
私とクロードの休みが決まったので、帰ることを伝えようかと思っています。
冬季休暇ではルビィクト王国まで行くのは難しいですからね。夏季休暇の内に行かなくては。
それに孫の顔をみせに行かなくては申し訳ないです。簡単に会えるような距離ではありませんからね。
休み自体は二週間後なので、準備の時間は十分にあります。
翌日、いつも通りに学園に向かう途中街のほうへ歩いていく生徒たちとすれ違います。おそらくは平民の生徒たちでしょう。
貴族の生徒たちは家の馬車を使って帰ることが多いですから。
予測の通りに、校門周辺は馬車で溢れかえっていました。この事態を避けるために早めに屋敷を出たのですが遅かったようです。
「レティア先生」
聞き覚えのある、決して忘れることのない声に呼ばれて私は振り返りました。
「ティアさ……ん。帰られるのですね」
危なくティア様とお呼びするところでした。
「はい。それで先生にお渡ししたいものがあるのです。これレティア先生への手紙です」
ティアさんから手渡された手紙には、セレスティーナやリーアかなの手紙がありました。もう一つ差出人の名前のない手紙がありましたが紙質からしてルエンからでしょうか。
「ありがとうございます。この後ゆっくりと読ませてもらいますね」
「はい、レティア先生、長期休暇が終わりましたらまたお会いいたしましょう」
「はい、またお会いしましょう」
ティアさんが乗り込んでいった馬車、その護衛をする人たちに見覚えがありました。
王女の護衛をするのですから居て当たり前ですね。王女宮近衛騎士たちとリーアです。
リーアはこちらへ目配せをして、馬車へと戻っていきました。仕事途中ですから安易に話しかけることはしないのでしょう。それに、言いたいことは手紙に書いてあるでしょうし。
長期休暇中、教師は正直言ってすることがありません。
教師の本質とは生徒に知識を教えることですから、教える相手である生徒がいない以上、どうしても手持無沙汰になります。
他の先生方は訓練場で訓練をされたり、図書館でほんを読まれたりとそれぞれの過ごし方をされています。
私も例にもれず時間が空いていますが、すでに予定が入っています。
「アルビィーネ教授、お手伝いに来ました」
「待っていたよレティア先生。とりあえずマリー=ジョルジュ君起こすの手伝ってくれるかい?」
誤字脱字は下に専用のがあるのでそちらからお願いします。
感想は私のモチベーションに直結してるので頂けると泣いて喜びます。面白いの一言でも大変うれしいです。
次話は数日後から始まる予定です。
さて、一つご意見伺いたいのですが。今回やく1600文字ほどなのですが。短いか、長いかご意見のほうをお聞きしたく思います。いいよ、という方はおしえていただけると、一つ不安がなくなり私も書きやすくなります。なにとぞお願いします




