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(どうやら御者が気づいた様ですね。馬車の速さが上がりました。後ろから来ているのは音から判断して5人ほどです)

(音からそこまで判断できるんですね。軍にいた時の経験ですか?)

(そうですね。護衛の任務もありましたから、自然と身につきました)


「止まりなさい、そこの馬車!」

「セレスティーナが追ってきたのですか!?」


 驚きのあまり叫んでしまいました。もうバレましたから普通に喋ってもいいですね。


「レティアセレスティーナ夫人はどこまで戦えるのですか?敵が一人なわけがありません。必ず伏兵が居るはずです」

「リーアと普通に戦える程度には槍を扱えます」

「そうですか、となるとどうにかなるかもしれませんね。問題はどうやって馬車を止めるかです」


 馬車を止めるなら、馬との牽引帯を切れば良さそうですか。そういえば何か忘れてるような。


「あっ」

「どうしましたレティア」

「忘れていました、来てください」


 手の甲にある印に魔力を流し呼びかけると、初めからそこにいたように精霊が佇んでいました。


「呼べたのですか?」

「呼べます。何時も気付けば傍に居てくれたので忘れていましたが」

「そうですか、それよりもどうしても性格を?」

「この子の力で場所を止めようと思ったので。えっと……」

「どうかしましたか?」

「名前をつけ忘れていたので、どう呼べば良いのかと思いまして」


 あの時はバタバタとしていて名付けをしていませんでしたが、本来はあの場ですることでしたね。それにしてもどう呼びましょうか。

 名前、姿は白猫ですからシロ?安直過ぎるでしょうか、雰囲気としては優雅さもあります。白姫、ホワイト、ハク。白いものだと雪もありますね。ユキでもいいでしょうか。


「あなたの名前ユキでどうですか?」

「にゃあ」


 いいみたいですね。


「それではユキ、この馬車と馬を繋ぐ牽引帯を破壊出来ますか?」

「にゃん」


 ユキはひと鳴きすると溶けるように、視界から消えていきました。


「上手くいくといいですが」

「ユキは頭がいいですから、心配することは無いと思います」

「にゃーあ」

「もう終わったんですか?」

「ここにユキがいるのなら、終わったと思います」


 衝撃が来ると身構えますが、一向に衝撃が来ません。馬が馬車に当たると思っていましたが、そのまま走り去ったのでしょうか。


「ユキ、魔術を使いますよ」

「にゃん」


 ユキの補助を受けて使う魔術は索敵の魔術。海で使うソナーの魔力を使ったようなものです。生物は少なからず魔力を保持しているので、これで馬がどうしているか分かるはずです。


 私とクロード。御者の敵は馬車から降りていますか。後方の魔力はセレスティーナ達ですね。敵の妨害を受けているようですが、防ぎながら馬を走らせています。となるとこれが馬ですね。予想通り走り去っています。

 側面にいるのは敵ですか。魔力の増大は魔法を使う前兆。


「ユキ魔力障壁を。魔力は好きに持っていってください」

「にゃ」

「レティア何が」

「敵の魔法です、御者が離脱していたのはこの為でしたか」


 外で爆発音が響いています。今まで使わなかったことから予測するに手段を選ば無くなりましたね。私を殺すまで諦めるつもりもなさそうです。


 敵の魔法をユキの障壁で防いでいますが。このままでは馬車が持ちませんね。


「レティア馬車が!」

「脱出しましょう」


 クロードに抱えられて、馬車から飛び降ります。速度の落ちた馬車から飛び降りるのは、クロードからすれば簡単だったようです。

 飛び降りても私に衝撃が来なかったのが、その証拠でしょう。

 馬車は既に魔法で破壊され、残骸と化しています。

 そして周囲からは絶えず魔法が撃ち込まれ、障壁が無ければ既に死んでいたことでしょう。


「ジリ貧ですね。移動すれば周囲に被害が出ます」


 飛んでくる魔法はどれも人を殺すには十分な威力を持っています。これだけ騒がしくなれば住民も起き出して、さらに被害が拡散します。王都の警備兵が動くまで待つことは出来ません。

 ユキには障壁を張ってもらっているので、反撃も出来ません。


「セレスティーナ達に頑張ってもらうしかありませんね」

「それまで魔力が持つのですか?これだけの威力の魔法を防ぐだけでも魔力消費は多いはずです」

「これだけの魔法です。そう長くは相手も打ち続けられないはずです」


 それにこの魔法障壁は魔法に特化した障壁。魔法を防ぐことにおいては普通の障壁や結界に負けることはありません。


「では、攻撃が止み次第セレスティーナ夫人と合流しましょう」

「お願いします、私一人では移動も出来ません」

「任せてください。レティアは私が守ります」


 そして敵の魔法が止むと、私はクロードに抱えられながらセレスティーナの元へ向かいました。魔法に警戒して。

 私とクロードは気が付きませんでした。闇に紛れて近ずいて来る矢に。

 矢は魔法を防ぐ障壁を突き破り、クロードに抱えられる私へ刺さりました。


「っあ!」

「レティア!」


 矢は腕へと刺さり、塗られていた毒は私の体を蝕んで行きます。


「矢に……毒が」

 …「レティア!意識を保ってください!レティア!」


 すいません……クロード。意識を保てそうに……ありま……せ……ん。

前回から2週間ほど経ちまして、すいません。

内容はあっても手につかずで。

そろそろこの物語の折り返し地点まで来れたのではないかと思います。

誤字脱字は下のほうからお願いします。そして報告してくださってる方は有難うございます!

これからも頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。

次話は目覚めは見慣れた天井です。サブタイトルではありませんよ?

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