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第四の障害 甘い果実と甘い罠Ⅱ オルファン帝国編

巨大市場に出かけたクリスティアン達、海鮮物を新鮮な状態で流通出来ないという問題にぶち当たり、今度は同じ青果店のエリアを見学する事に。

「よし!

 じゃあ農産物エリアに行きましょう~~」

挿絵(By みてみん)


「農産物とかいいわよ。

 南国のフルーツが豊富で他ではない果物がオルファンの売り。

 まだ輸出されていない珍しい物もあるわ」


マルグリットのアドバイスは的確で納得する。

こういう時はその国を知る人物の言動に乗っかるのが一番だし。

女子はフルーツ好きだから!!



エレーヌは先頭に立って、アランをそっちのけで市場を先導したからアランは不服そうだ。


エレーヌはそんなのおかまいなしで、途中で店主が振舞う試食の食べ物を手で抓んで口に運ぶし、私の口に無理やり入れてくる。


「エレーヌ~~。あっ!美味しい~~~」


二人でキャッキャしている。

エレーヌが楽しそうなのを見ると私も楽しい。

これはもうお約束になっている。


挿絵(By みてみん)

通路の両サイドに並ぶ店が徐々に販売するものが変わってくる。

新鮮な海産物から加工品そしてスパイスや調味料の店や、蜂蜜、薬草店、そして野菜、そして~!



「わあ~甘い香り」


まずエレーヌが鼻をクンクンさせながらはしゃいだ。

甘い香りと甘酸っぱい香り果物の香りが辺りに満ち溢れて、鼻を嗅ぐだけで幸せな気持ちにしてくれる。

フルーツはテンションをあげてくれる食べ物。

食事の最後に出てくる癒しの食べ物。

これが出てくる食卓は間違いなくある程度ゆとりのある家庭と聞いていた。


両側に並ぶ青果店には赤色、黄色、茜色、橙色、紫色、緑色、黄緑色、茶色、黒色、白色ありとあらゆる自然世界の色がそこかしこに置いていてパレットに色をぶちまけたかのようだ。


「うちのは一番新鮮でおいしいよ。農場直送だよ」


「うちのは珍しい果物ばかりだよっておいで!!」


「うちは市場で一番安いよ!!寄って行って」


どこも商売上手ばかりで購買意欲を掻き立ててくる。


「この果物エリアで一番多くの果物を扱う店舗で話しをつけている。

 さあこちらで」


そう言ってドンドン奥にアランが進んでいく。

通路は二手に分かれている。


「左手が庶民向けの店舗で、右手が富裕層向けの店

 舗。

 輸出の場合やはり高級品を狙うのがいいかと思

 う。

 今回は特にこの市場でも評判のいい店を紹介す

 る」


そう言って右手の一番右手の大型店舗に入店した。


店はかなり大型店舗の半二階でところ狭しとフルーツが並べられている。

店内では白い制服の店員達が客の相手をしている。


「フルーツはどれも大きいわね。

 本当にすごく甘い香り~」


私もそんな風景にワクワクしている。


「色や形もいいわ。それも芳醇な香りまさにこれぞ等級もかなりいいわ。

 美味しそう〜」


エレーヌも満足げだ。


「アルベルト!」


アランが知り合いだろうかある男に声をかけた。


「アラン!

 久々だな。

 どこ行ってたんだ。随分ご無沙汰だな。」


「はぁぁ~~はあぁっ。

 やぼようさ。ちょっとトラブルで郊外にな。

 もう解決したさ」


「それは良かったな。

 また女とのトラブルか?」


「おいおい。客人の前だぞ。

 仕事だよ」


「初めましてアランから話は聞いている。

 どうぞ何でも聞いてくれ」


「クリスティア商団のクリスティア・ヴァレリーです

 ありがとうございます」


アルベルトと呼ばれた店主はいかにも商売人といった雰囲気があり、人懐っこい瞳を向けてにっこりと微笑んだ。


「まずあまり輸出されていない。極上品の農産物を

 探しているの。佳日がいいかしら?」


「女神の果実ディアスかな」


「女神の果実ってディアースの事よね。

 フェレイデンにも沢山あるわよ」


アルベルトの言葉に思わず私は不思議に思った。


旬がなく年中実り、植物の病気や菌、害虫にも強く、ものすごく繁殖力が高い果実だ。

だから市場には出ない。

普通に道端に成っているので誰も育てたりはしない。


「あ!それとは違う。

 各国で女神の果実と呼ばれる果実はまったく違う種類の果実。

 オルファンではディアスと呼ばれている。

 完熟すると芳醇な香りとねっとりとした口当たり、甘みが他を凌駕している果実でね。

 ただ最近では手前暇かけて栽培した後、長時間熟成させる必要があるからオルファンでもなかな

 か高級品だ。

 うちの郊外の農園で、今収穫時期だから。

 くるといい。

 よかったらあっちに言っとから」


これは!ビンと来た。


熟成させる必要があるという事は長期間保管する必要があると言う事だ。

しかも今が収穫時期ならフェレイデンまで暑すぎず寒すぎずいい。


「長期間の移動にはさすがに無理では?」


「いや。それが日を追う毎に美味しくなるんだ。

 外側が硬くてね。

 それが熟成させると甘くなって完熟の一歩前が一番食べ頃だ。

 その期間や一年だ。

 それ以上熟成させるとこれが甘い酒になって。

 また美味いんだ。

 手間がかかるうえにすぐに出荷できないし、国内

 需要だけで十分利益が出るから他国には出回って

 ないはずだ。

 うちの農園では今回新設備を稼働出来たんで、ち

 ょうど輸出先相手を探していたところさ」


絶対これだ!!


「アルベルトさん。

 是非農園に行きたいわ。

 後でアランと話を進めて」


そう言った後アルベルトさんを見たら、うわの空で目線が違う所を見ていると思ったら!


「おまえら!

 待て!!」


突然低く身体を構えて猛ダッシュで店の入口に駆け出した。


私はその先を見ると数人の十四、五歳くらいの五、六人の子共達が。

アルベルトの叫び声で反射的に走って逃げ出していた。


お店の中がざわついている。


「どうする?見守ったほうがいいか?」

ラインハルトが私に問いかけた。


私は黙って考える。

どうしたらいいか?

子供…か。何故か気になる……。

なんだか胸がざわつくのを止められない。


エレーヌもマルグリットも離れるという判断を素振りも見せない。

私達もこのまま退出するのがいいのか?

悩んでいた時だ。


怒りながら子供達の首根っこを掴んだアルベルトと数名の男性が店に戻ってくる。


「お前ら!毎回毎回!

 度が過ぎるぞ。親がいないからと甘く見ていたが! 

 今日こそ警察隊を呼ぶからな!!」


五名の子供達、身なりは汚れ服は破れている。

そういえば魚屋で見た子達と風貌はかわらなかったが。

その顔つきは不貞腐れて、面倒くさいと言わんばかりにふてぶてしい様子だ。


あれでは心象が悪くなる一方だ。

そう思って時だ。


「あのアルベルトさん。

 私がその子達の取った物を買いましょう。

 そのかわりその子達を私に任せてほしい」


マルグリットは我が事の様に思ったのか。

真剣な眼差しでアルベルトに願い出た。。


「いや。こいつらはもうどうしようもないんだ。

 何度良識のある大人が何度も助けだが。

 結局毎回店内のお客様がこいつらを助けるもんだから。

 ずに乗ってしまっているんだ。

 甘やかさないでくれ!」


かなり興奮したアルベルトにマルグリットは姿勢を正し言った。


「助けるとは言っていません。

 彼らにはその責を担ってもらいます。

 なので私に任せてくださいませんか>

 二度とこちらに迷惑をおかけするような事がないようにいたしますが。

 それでもまだこちらにご迷惑をかけるなら。

 その時はどこにでも突き出してください」


マルグリットの瞳にはいつも許してあげてと忠告するいままでの客とは違う。

意思の強さが垣間見え思わずアルベルトも次の言葉が出ない。


しばらく腕を組んで考えたあげく、深い溜息をついて言った。


「仕方ないな!

 今回だけだ。

 しかもさっきの話通り駄目ならそうさしてもらう」


「ありがとうアルベルト殿」


マルグリットはアルベルトに向かって嬉しそうに言って子供達の年長者に何か言った後で、その子は顔を下に向けて項垂れてしまった。

他の子達も暗い顔をして黙っていた。


「行きましょ。

 クリスティア」


マルグリットの声は熱を帯び何かを決意していたのがわかった。

高級果実店での見学中に子供連れの窃盗集団に出会ったクリスティア達。

マルグリットがほっておけずに助けます。

さてその後は?

次回子供達との交流の話

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