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突然の大統領からのプロポーズ ハシャルバード共和国編

襲撃を受けたクリスティア達、オーギュストの機転で命は助かったものの。

伯爵夫人と子供達が犠牲に。


オーギュストのいわれるまま隠れ家を離れた一行が向かった先は


半ば強引にオーギュストは私達を馬車に乗せる。

反論できないほどの強引さだったという。


正直このあたりの記憶はあいまいでほとんど覚えていない。

あまりに衝撃的な事実をこの事件から思い知らされていたからだ。



丁度商談の為に郊外に商品を納入し終えた帰りだというので、馬車は三台に分かれて首都を目指している。


気がついた時には始終下を向いてだんまりを決め込んでいた。


いや恥ずかしくて前を向けられないのだ。


馬車の中は私とエレーヌとラインハルトとオーギュストがいる。

私の様子から皆口が重く聞こえるのは馬車の揺れで弾む車の軋む音と風の音だけだ。


エレーヌは普段と違う私の様子に肩を抱いて優しく抱擁してくれている。


ラインハルトはどうしていいか動揺しているようだ。

それはそうだ。

こんな沈んだ様子はあまり今まで見せた事はない。

いや正確に言うとそれほど動揺している。


何故?

私の軽率な行動で家族に悲しみを与えた事実をいまさら思い知らされたからだ。


そうあの場面を見るまであの冷静沈着な伯爵が取り乱し、家族の私の悲しみに打ちひしがれているあの様子に。


私の家族を重ねた。


そうだ。


お父様もお母様も全ての家族の悲しみは底知れないだろう。

そんなふうに生と死を軽んじ、私はなんて愚かな人だろう。

なんてひどい娘だろう。

なんてひどい人間だろう。


もう自分が自分でいやになった瞳に浮かんではぽろぽろと勝手に涙が流れていく。

泣きたくて泣くんじゃなく勝手に流れてくるのだ。


情けない自分。

愚かな自分。

自分に腹が立つ。

お父様の事を考えたのか?

お母様の事を考えたのか?

なんて勝手な娘だろうと。



隣のエレーヌはもう言わなくてもわかってくれているようだった。

指で私の涙を拭うとにっこり笑いかける。

その優しさが尚私を刺す。


「経営が落ち着いたら。

 気持ちが落ち着いたら。

 一緒にあやまりにいきましょう。

 帰りましょう。

 いずれフェレイデンに。

 私の親友。私の希望。

 私達はいつも一緒よ。

 罪も罰も一緒よ」


すべての罪を許す女神ディアの微笑みがその前にいた。



「WAWWAWWA~~~~~WAWAWAWWAWAWAWWA」


子供が泣きわめくようにありったけの涙を流した。


「まぁ。

 次に会う時に…。

 両陛下にあの日があったから成長したと思っても

 らえばいいじゃないか。

 まあ。

 どちらにしても相当怒られるだろうがな」


珍しく追い打ちをかけるかと思っていたラインハルトの言葉が痛かった。


「WAWWAWAWWAWAWAWAWAWWAW~~~~~~~A」


本当に情けない!!



どのくらい泣いたかわからないがさすがに泣き疲れと一連の騒動でそのまま寝てしまっていたらしい。




次に目を覚ましたのはある重厚な内装の部屋だったからだ。





**********************




ぼそぼそぼそと誰かと誰かが。

いやいろんな人の話す声が聞こえてくる。


それは小さな囁きから段々と大きく、浮遊した身体がどんどん重力を感じる様に。


ふっと瞼が開く。

あぁ~~泣き疲れたのか。


「はアァ~~」一息吐いて、ゆっくりと身体を起こす。


どうやらソファーに寝かされていたらしい。

周りを見渡すと重厚なマホガニーの書斎の様な部屋にいた。


目を凝らすと皆いた。


エレーヌ、ラインハルト、ジョルジュ、カミーユが真剣な顔をして話し合っているようだった。


そしてオーギュストとデュルア=ルファンツッア伯爵。


えっ?

伯爵の隣に隣に伯爵夫人がいる。

えっ?えっ??


その伯爵の膝の上に抱かれた二人の子供達??

えっ?えっ?えっ?



私の頭は混乱して今この状況がまったく理解できていない。

そう夢?都合のいい夢!


何???


ソファーに腰かけて微動だにしない私の傍にエレーヌがやってくるのを瞳が捕らえる。

瞳だけはよく見えていた。

身体はまったく動かない。


「えへ~驚いた?

 夢じゃないよん」


エレーヌが私の首に両手を撒きつけて、ケタケタ笑いだした。


「やられちゃったみたい。私達。

 役者よね。伯爵も……完敗よね。

 あれって演技だったってさあ~~」


エレーヌの言葉を聞いても私は理解出来なかった。

目が点とよくいうが、まさに目が点なのだ。


伯爵の膝に乗っていた双子の娘ルディアーヌがこちらにスタスタ走ってやってくる。


「あのね。あのね。おねいちゃま。

 るでいね。

 だいぼうけんしたの。

 すごいでしょ。

 すごいたのしかったの。

 おとしゃま。ほめてくれた。

 えらいねって。

 るでえらい!」


えええぇ~~~~?


すると今度は息子のアルバートがニコニコしてやってきて。


「おねいちゃま。

 あるね。

 いいこだったよ。

 おかあしゃまがね。だっしゅつゲイムしようっ

 て。

 じょうずにできた!

 じょうずにできたの」


なんなのか???なんなの??なに??


現実?現実 えええええ~~~~~~~



なんとかエレーヌに抱きかかえられて、皆のいるテーブルについて伯爵とラインハルトの話を聞いた。


伯爵の命を狙う政敵が邸宅を襲撃し、間一髪の所、助かったものの犯人とおそらくいる内通者の特定できないでいた。

正確にいうと容疑者はいるものの、証拠がなく特定できないのだそうだ。

そこで伯爵達は自分達を餌にして、実行犯と証拠を確保する為に隠れ家を襲わせる計画を立てた。


伯爵夫人と子供達はあの商談の少し前に、警護兵に伴われ、館を抜け出しここで保護されていたそうだ。

オーギュストの訪問は敵の餌であり、つまり二重の餌を撒いたという。


しかもあの爆発は渡していた発光体の残りを使用したのだという。

爆発した様に偽装して、後から爆薬をしかけ館を焼いたそうだ。


何故そんな手の込んだ事をしたかというと。

あの光の前に逃げ出す人物が誰かを特定したかったからだという。


私は力が抜けて椅子の背に全ての身体を預け脱力してしまう。


やられた感が半端なかった。


伯爵の名演技に完全に完敗だ。

もう……。あまりの衝撃で怒りさえ沸かない。


「ごめんなさいね。クリスティアさん。

 本当に申し訳ない事をしましたわ。

 私…なんて申し訳なくて…」


伯爵夫人の申し訳ないという表情に反論や怒る事など出来ない。


「いえ。ご無事ならよかったです」


そういうしかなかった。

もう顔は引きつっていてこれはどうしようもない。


「申し訳なかったね。

 敵を騙すのはまず味方からというからね。

 でもおかげで誰が内通者かわかったよ」


伯爵はまったく謝罪感はなく、ひょうひょうとしている。

こういう方が本当にむかつくが、大人対応しないといけないけど本当にむかつく。


「それともう一つ謝罪しないといけない事が…」


伯爵のその一言はさすがに申し訳なさが少し感じられた。

なんか嫌な予感がする。


その瞬間に隣の部屋の扉が開いた。


「あっ」


オーギュストだ。

えっ??でも正装している。いや誰??えっ???その正装確か確か!!!


ニッコリと微笑んだ彼は言った。


「改めて自己紹介する。

 オーギュスト・ディア・フェレッシェンだ」」



「えええぇ~~~~~~~~~」


その名前ってシャハルバート共和国の大統領じゃん!!


「もうぅ~~~~~~~~~~~~~~~」


しかもその後何を言い出したかというと。



「ちなみに掘削会社は私の会社だ。

 あの時の名は私の事業時の通称だ。

 いきなりだが。

 浮遊石の販売許可を出そう。

 但し条件は私との結婚だ」


えっえぇぇ~~~~もう意味が分からない!!


商人だと思ったら?

大統領?

それからのプロポーズ??



意味わかんない誰か?誰か?誰か?


私にわかる様に説明して!!


大統領からのプロポーズを突然受けたクリスティア。

何がどうなるのか??


次回シャハルバート共和国編最終回です。

とうご期待。



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