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カテゴリー  作者: なぽれおんEX
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第10話 【綺麗な炎に魅せられて】

「この公園・・・だよな?」


鷹一は友助と合流するため、約束した公園にたどり着いた。

だが、その公園に着いた途端、鷹一は嫌な雰囲気を公園内に感じていた。


「まぁ友助が来るまでの辛抱だしな・・・しかしなぁ」


そう言いつつも、友助のことが気にかかり、公園の奥へと視線を向ける。

鷹一は徐々に暗くなる夕暮れ時の公園がすべてを飲み込もうとしているように感じた。


「・・・近くにはいるだろうし、少し探しに行くか」


鷹一は夜闇に溶けゆく公園に足を踏み入れたのだった。

そして鷹一が公園に一歩、足を踏み入れた時、公園の奥から悲鳴が響き渡った。


「悲鳴!?・・・っ!」


嫌な予感が一気に膨れ上がった鷹一は咄嗟に悲鳴が聞こえてきたほうに走り出した。

ちらほらと見える電灯に照らされる木々に囲まれた公園路を少し走ると広間のような場所に出た。


「なんだ・・・これ」


広間に出た鷹一は目の前に広がる光景に言葉を失った。

その広間の中心では人が火だるまになり、身悶えていたのだ。

そして、身悶えている人物の近くには見覚えのあるカバンが落ちていた。


「あのカバン・・・!友助なのか!?」


そのカバンは日中の間、ともに今夜の食事会の店を散策していた友助のものと同じカバンだった。

鷹一の声が届いたのか、火だるまの人物が振り返る。

火だるまの人物の顔はすでに焼けただれていたが、なぜか服だけは一切燃えておらず、昼に見た友助の服装だった。


「ああぁぁあ・・・よう・・・いち・・・」


火だるまの友助が鷹一に気付くとよたよたと鷹一のほうに歩きながら手を伸ばす。

鷹一は伸ばされた手を伸ばし返そうとしたが、なぜか動きが止まってしまった。

そしてその一瞬に友助は限界を迎えた。


「ようい・・・ち・・・たす、け・・・ああぁあぁああああぁぁぁ・・・」


悲痛で弱々しい叫びをその場に残し、友助だったものは最後にごうと燃え立つとそのまま崩れ落ちた。

その後友助は鷹一の目の前で服も残さず光に変わった。

すると目の前の出来事に理解も追いつかぬまま呆然と立ち尽くす鷹一に声がかけられた。


「あら?いつからそこにいたのかしら?」


鷹一が声のしたほうに視線を送ると、そこにはどこかで見たことがある全身レザーの男が片手に太刀のような刀を持って立っていた。


「なんか名前を呼んでいたみたいだし、その子の友達かしら。彼、良い燃え方してたでしょ?」


心底楽しそうに燃えていた友助のことを語るレザー男。

それを目の当たりにした鷹一は自分の奥深くで何かが弾けた気がした。


「お前が・・・やったのか?」


ぐつぐつぐつぐつ。

鷹一の体の奥底で何かが煮えたぎる。

鷹一の体の奥深くでどろりとした何かが体の中を這いずり回る。


「そうよ。アタシがやったの。それで?アタシがやってたら・・・どうするの?」


にんまりと口角を上げ、鷹一を煽るように話すレザー男。

レザー男の鷹一を見る目は明らかに見下していた。

その目を向けられた瞬間、一気に力が高まる。


「俺は・・・俺はお前を!」


そう言いかけた瞬間、鷹一の体の奥で何かが爆発した。

その力の本流を感じた鷹一は思わず、固まってしまった。


「な、なんだこれは?」

「この感覚・・・まさか!」


戸惑っている鷹一を他所に、レザー男は何かを感じたのか、鷹一との間合いを一気に詰め、持っていた刀で襲いかかった。

鷹一は戸惑いつつも、襲いかかってきたレザー男の動きに反応できた。

そしてなぜかその太刀筋すらも完全に見切っていた。

鷹一は咄嗟の反応でスローモーションのように見える刀の柄の部分に手を伸ばし、レザー男の太刀筋と動きを止めた。


「っ!?止められた!?」


まさか完全に止められるとは考えてすらいなかったレザー男は思わず声を上げてしまった。

そして鷹一も同様に止められたことで驚き、声すら出なかった。

するとレザー男は驚きながらも嬉しそうな笑みを浮かべ、目と鼻の先にある鷹一の顔をまじまじと見る。


「貴方・・・やっぱりカテゴリーだったのね!しかもアタシと同じ鳥のカテゴリー!」

「カテゴリー?・・・カテゴリーってなんだ!なんで友助を襲った!」


その鷹一の言葉にレザー男はハッとなった。

レザー男は流れるような動作で鷹一の手を払い、鷹一から離れるように後ろへ下がり距離をとった。

対して鷹一はなすすべなく、前へつんのめるように倒れこみ、簡単に距離を開けられてしまった。

間合いの外に出るように距離をとったレザー男は持っていた刀の切先を鷹一に向け、牽制しながら話しかけた。


「貴方・・・アタシの太刀筋に反応しておいて、本当にカテゴリーを知らないの?」

「知らない!カテゴリーって言葉だって聞いたこと・・・」


そこまで言って今日の日中、講義にて講談を受けた株式会社カテゴリーの代表である、神崎のことを思い出した。


「・・・株式会社カテゴリーの神崎と何か関係があるのか?」


思い出したことをそのままレザー男に問いかけると、レザー男はニヤリと笑みをこぼした。


「あら、神崎社長を知っているなら話は早いわ。貴方の知りたいことはだいたいあの人が知っている」


レザー男はそう話しつつ、鷹一に向けていた刀の切先を下ろし、話し続ける。


「カテゴリーが何なのか、それを知るまでは手は出さないであげる。そうじゃないとフェアじゃないものね」


そう言い終わると、そのままゆっくりと後ろに下がり始めた。

レザー男が撤収しようとしていることに気付いた鷹一はレザー男を呼び止める。


「待て!まだ話は!」

「ぬんっ!」


鷹一が止めようと叫び、飛び出そうとしたとき、レザー男は空いた手を横になぎ、鷹一との間に炎の壁を作り出した。

突如現れた炎の壁の熱量に怯んだ鷹一は思わず足を止めてしまった。


「そんなにがっつかなくても、今度遊んであげるわ。それじゃまたね、ルーキーちゃん」


レザー男は繰り出した炎の壁を残したまま、踵を返し歩き出した。

鷹一もレザー男の後を追おうとしたが、目の前で燃え盛る壁に阻まれて追うことができなかった。

そして、レザー男が視界から消え、しばらくすると目の前に立ちふさがっていた炎の壁も焦げ跡ひとつ残さず消え去った。


「・・・なんなんだよ、これ」


一言つぶやき、鷹一はうつむき、肩を落とした。

その顔は理解が追い付かないという複雑な思いとやるせない思いに満ちていた。

すると、視界にあるものを捉えた。


「・・・友助」


それは地面にひとつ佇んでいる、友助が使っていたカバンだった。

鷹一はゆっくりと、のっそりと。

何かに憑かれているかのような重い足取りで地面に落ちている友助のカバンに近づく。

カバンの近くまで来ると力なくしゃがみ込み、カバンを手に取る。

カバンの中身はすべて無事なようで、カバンにずしりとした重さを感じさせる。

その重さが友助のことを考えさせられる要因にもなってしまった。


「・・・なんなんだよ」


鷹一は同じことをつぶやき、カバンを持つ手に力が入る。

すると、ズボンのポケットに入っているスマートフォンが電話の着信で震えた。

スマートフォンを取り出し、表示を確認するとそこには朱花からの着信が表示されていた。

通話に出る気力を感じず、そのままほっとくかと考えた鷹一だったが、この後の約束を思い出し、やむなく電話に出た。


「・・・もしもし」

『もしもし、鷹一くん?この後のことなんだけど・・・』


朱花からは案の定この後の食事会についての電話だった。

だが、鷹一は友助が消えてしまった今の状況で食事をする気力もなかった。

その上、今の状況でどんな顔をして朱花に会えばいいのか、わからなかった。

鷹一は申し訳なく思いつつも、食事会を中止する話を持ちかけた。


「朱花・・・急で悪いんだけど、今日の外食の話は・・・また今度でもいいか?」

『・・・・・・』


その話を聞いた朱花からの反応はなかった。

反応がなかったために、急な話で言葉にすらならなかったのかと思った鷹一は、この荒唐無稽な今の状況をなんて説明したものかと悩み始めた。


「・・・あーその」

『・・・わかった』

「なんというか・・・え?」


朱花から帰ってきたのは了解の意思を表した言葉だった。

理由を聞かれると思い悩んでいた鷹一は、思いがけない返答に気の抜けた返事をしてしまった。


『鷹一くんたちのほうで急用ができたってことだよね。それなら仕方ないよ』

「あ・・・悪い」

『それに鷹一くんたちは理由もなく約束破るような人じゃないもんね』


鷹一は朱花のその言葉に思わずホッとしてしまった。

今はこの友人の優しさに甘えようと、鷹一は心の底から思ってしまった。


「必ず理由は説明するけど、今は俺もこんがらがってて・・・」

『・・・いいよ。話せるようになったらいつでも言って』


朱花からの返答はとても優しさを感じるような声色だった。

そして、そのまま間髪を入れずに朱花が言う。


『それじゃ、また明日大学で』

「あ、あぁまた大学で」

『・・・ごめんね』


鷹一は朱花の言葉で少しだけ、気持ちが軽くなるのを感じた。

幸か不幸か。

電話が切れる際の際に発した朱花の言葉が友人の優しさに胸を撫でおろす鷹一に届くことはなかった。

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