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Black Sheep in the Cage  作者: 神谷アユム
17/18

Try me ?

「……こういうことじゃないのか?」


いつも通りの、二人の夜。

ただ、今夜は――


みつ氏への誕生日プレゼント。みっちゃんお誕生日おめでとう!

ちなみにあれです、ものすっごくBL色が濃いぃので苦手な方はそっとじどうぞ。

「……お前はいつまでこうしてるつもりなんだ。腕立て伏せに付き合うと言った覚えはないぞ」

「い、いやそうだけど……ほんとお前乙女心とかわかんないのな」

 お前は乙女じゃないだろう、と、あきれた顔で怜司が自分を見上げている。

眼鏡はいつの間にか外されて、きちんとテーブルに置かれていた。そういやコイツ、眼鏡汚れるとめちゃくちゃ嫌がるっけ。

 怜司と一緒に過ごした時間は、そもそもこんな風になってしまうまでに二十年を超えていた。それが明らかに、同性同士の友情を超えていることに気づいてからも、おそらくは五年以上経過している。怜司もそのことがわからないわけではないらしいし、その上で一緒にいることを拒まない。触れたことがないわけではない。でも。

「……怜司さん」

「なんだ突然気持ち悪い」

 言うに事欠いて気持ち悪いかよ、と内心でつぶやいたのが一時間前。二人はいつものソファで、なんとなく並んで座っていた。陽人は深夜帯のニュースをながめ、怜司は端末で本を読んでいた。いつも通りの、けだるい休前日。

「俺たちなんか、色々通り越して倦怠期の熟年夫婦みたいになってない?」

「……そもそもお前と結婚した覚えはないんだが」

 そりゃそうだけどさ、と返しながら、そういうことじゃないんだよな、と思う。こういう時、言葉はまどろっこしいし、陽人はこんな場合の、うまい言い回しなんて知らない。今まで付き合った女の子は大抵みんな積極的で、それに乗っかる術は知っていたが、自分から何か、こういうことを働きかけるのは本当に苦手だ。言葉がついてこない。

 本を読んでいる怜司の横顔を眺める。誰も言わないが、この横顔は綺麗だと思う。なんとなく腕を伸ばして、肩に触れると、怜司がこちらを見た。

「さっきからなんだ」

「……なんかないと触っちゃだめ?」

 怜司が端末を置いて、陽人に向き直った。いつもの仏頂面が、どことなく心配そうに自分を見つめている。

「熱でもあるのか? 調子が悪いなら早く寝ろ。布団にゆたんぽでも……」

「いや違うわ全然元気だよ! 何でお前はいつもそう斜め上に行っちゃうかなぁ……」

 じゃあなんだ、と聞かれたが、肩に置いた手は離さなかった。一体こいつはどんな思考回路をしたら、今の発言を熱にうかされてしたものと考えるんだろう。

「なんていうか……お前がそうしなきゃいけない時以外に、触ることってあんまないから……その……」

 怜司があまりに真っ直ぐ見つめてくるので、陽人は思わず目をそらしてしまった。言えない、触りたいだなんて。

 怜司の「吸血発作」が起きた時は、彼は自分に触らざるを得ない。それをいいことに、その時はよく抱きしめたり頭を撫でたり好き放題しているのだが、よく考えればそれ以外の場面で、怜司に触れることはほとんど無い。そもそも、怜司は触れられることが好きではなさそうだし。

 陽人が斜め下を向いたまままごまごしていると、急にあごをすくわれた。目が合ったと思う間もなく、顔が近づいて――

「ちょ、待ってたんま! お前何してんの!」

「……こういうことじゃないのか?」

 正面から問われて、陽人は何も言えなかった。確かにそういうことだ。そういうことなのだが。

「お前が望まないのに、触れようとは思わないよ。気遣いでそうしてもらっても嬉しくない」

 陽人が言うと、怜司は不機嫌な声で、じゃあお前は望まない相手とこうしても平気なのか、と問い返してきた。

「……やだな、普通に」

「そういうことだ。僕は少なくとも、望まないタイミングで、望まない相手とこんなことはしない」

 言い負かされた気がする。なんだか悔しくなって、陽人はつかんだままの肩を引き寄せ、唇を重ねた。触れるだけのキスのまま、そっと怜司をソファの上に押し倒す。唇が離れると再び、怜司と目が合った。

「あ、えっと……」

 また目をそらしてしまった。つい押し倒してしまったが、ここから先も別にかまわないのか?

 まごまごしている間に時間は流れ、見つめ合ったままの怜司から言われたのが、先の台詞である。

 いつの間にか眼鏡を外した怜司の顔は、いつもよりなんとなく幼く見えた。多分、昔彼が眼鏡をかけていなかったせいだ。そんなどうでもいいことを考えていると、とうとう怜司がため息をついた。

「お前は意気地が無い」

「ちょ、ひど……!」

 下から足をかけられた。ぐるん、と世界が反転し、怜司から見下ろされる形になる。

「え? あの、れ……!」

 口で口をふさがれた。両腕をソファに押しつけられ、ほとんど噛みつくような荒っぽいキスで口内をかきまわされる。驚いて抵抗しようとしたが、全くかなわなかった。これが真面目に道場に通っている現役警官との差か、やっぱり道場行き直そうかななどと、陽人はどこか暢気にそう考えた。

 抵抗することを諦めて、されるままに舌をからめる。怜司が腕を離したので、それをそのまま、陽人は怜司の背中と、後頭部に回した。意気地なしなんて言われて、いきなりこんなことをされた仕返しだ。下から頭を押さえて、唇を離せないようにする。

 気が済んで、怜司の頭をそっと離すと、緩慢な動作で自分から離れた怜司が、まるで睨むような目でこちらを見た。

「流されてからその態度とは……本当にお前はだ…!」

 言わせなかった。足をかけかえし、ひっくりかえす。天井の明かりに照らされた怜司の顔はほのかに上気していた。

「まあ、どんな時でも最初の一歩は偉大っていうし、譲ってやろうかと思って」

「……口が減らないな。で、どうする気だ?」

 こうする、と答えて、再び口づける。部屋着の下に手を入れて、肌に触れると怜司がくすぐったそうに身をよじった。

「くすぐったい? ま、やめないけど」

「サイ、お前いい加減に起きろ」

 どこかから、目の前の彼と同じ声がして、陽人は我に帰った。いつものソファの上、端末を片手にした怜司が、いつも通りの仏頂面でこちらを見ている。机の上にはすでに冷めてしまったカフェオレ。どうやら眠っていたらしい。ということはあれは、夢か。

「あー……起こしてくれてありがと」

 陽人が頭を抱えながらそう言うと、怜司は怪訝そうな顔で、夢見でも悪かったのか、と尋ねてきた。

「あーいや、悪くはなかったんだけど……都合は良かったかな……」

「どんな夢だまったく」

 怜司がそう言ってため息までつくので、陽人は残念な自分の懺悔も含め、先ほどの夢の話をした。怜司は相変わらずの仏頂面でそれを聞いていたが、全てを話し終わって目が合ったとき、彼はふっと笑んで、あの夢と同じように、あごをすくった。

「……試してみるか?」

「すでにお前の方が勝ってる気がするんだけど……まあいいや」

 されるがままに唇を重ねて。二人の夜は静かに更けていった。

あー照れた(

久しぶりにちょっとエロいシーンを書いたら休み休みやらないと無理でした!


怜司くんは、別にこういうことがダメとか苦手とか、男同士気持ち悪いとかそんなんもなくて

ただ自分では思い至らないだけなんですよね。

だから、あっちから来られると「あ、そういうことか」っていう理解から積極的になるという……

怜司って対人関係はもう完全に親(陽人)の後追いするひな鳥なので(


北須みつという存在に出会えて、今の私があり、BSCがあります。

生まれてきてくれてほんとにありがとう。出会わせてくれて、神様ありがとう。

そして、本当におめでとう! これからも仲良くしてね!

私はみつが大好きだぞー! という私信にて、お誕生日をお祝いします。おめでとさん!

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