【ZAR-045】表題なし。手書きの草稿、複数の筆跡が混在〕 再編3年4月後半
私たちは、自発的転化のみを受け入れる立場をとる。
強制を伴う転化に、組織として反対する。
〔欄外:「組織として、と言える組織が、私たちにあるのか?」──別筆跡〕
──
これは合意できる。
しかし、合意できることはここまでだ。
反対の表明だけで、私たちは何かを止められるのか。
本会の決定を、私たちは止められない。
止めようとすれば、それは「強制」になる。
〔欄外:「同胞を強制で止めることは、強制への反対と矛盾しない」──別筆跡〕
〔さらに:「いや、矛盾する。強制を強制で止めれば、強制を肯定したことになる」──別筆跡〕
──
私たちにできるのは、語ることだけだ。
中村に語る。本会に語る。新人類同胞に語る。
そして、旧人類にも、機会があれば語る。
語って、聞かれて、それでも決定が変わらないとき、
私たちは何をすればいいのか。
〔ここで草稿は中断。日付の異なる別ページに、以下が続く〕
──
再編3年5月初旬
私たちは「組織」になることを拒んできた。
しかし、組織にならなければ、語ることもできない。
語る場所、語る道、語る人、すべてを準備しなければ、
私たちの声は、一個人の独白として消える。
ただし、組織化することは、本会と同じ過ちを犯すことではないか。
組織は、いずれ、合意を踏み越えて決定を下す。
──
〔欄外、最後の書き込み:「だから、組織にならないまま、語ろう」
ただし「いつまでそれが可能か、私にはわからない」──筆跡:明石〕
〔別筆跡の最後の追記:「明石先生、組織にならないなら、私たちは何になればいいのですか」──筆跡:灯〕
【整理者注】
本草稿は、選択派が「立場文書」を作成しようとした試みである。
起草は再編3年4月、複数回の書き直しを経て、結局完成しなかった。
完成しなかったこと自体が、選択派の本質を示している。
彼らは合意原則に忠実であろうとした結果、自分たちの合意も形成できなかった。
この草稿は、明石氏の自宅から、彼の死後、回収された。
草稿に書き込まれた複数の筆跡のうち、特定できたのは明石・灯・他2名である。
残り3〜4名分の筆跡は、現時点で特定されていない。




