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らぶろあ ー君とはじめる愛(love)の伝承(lore)ー  作者: Yz
第一章 せっかりょうらん(上)
2/26

プロローグ

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「君は『縁』について、どう思うかね?」


 目の前の男が、とつぜん突拍子もないことを口にしてきた。


「切れるときは糸のように驚くほどよく切れるのに、切れないときは――そうだな、路上に吐き捨てられたガムのようにひどくこびり付く。そんなふうに思わんかね」


 ……さて、どうだろうか。

 俺から言わせれば、そんなものは錯覚だ。まやかしや気の迷いと言い換えてもいい。


 糸だと言うなら、この世に生まれた者で、これまで誰一人として、その糸に触れたことがある奴がいるだろうか? ――いいや、いないね。触れてみればいい。手汗でベタつくだけだ。


 つまり、そういうものだ。


「なるほど。君はアレだ。いささか頭でっかちというかなんというか、ロマンに欠けるね」


 男が中傷気味に笑う。


 まさか、この男は赤い糸だのなんだのと言いだすつもりなのだろうか? それこそ幻覚に酔いしれて、現実が見えていないヤツの戯言だ。水を飲んだあとでちゃんと見てみるといい。それはきっと、ソイツの生命線だ。


「――そういう君の手は、すでに手汗でベタベタのように見えるけどね」


 今度は言い返さなかった。

 ただ、目を伏せて、自分の手を握った。


 ……最初の問を、自分の中で反芻する。


 もし、そんなことを無自覚で無作為に無責任のまま、笑顔で結びつけているヤツがいるとしたら。どうだろうか?


 そんなヤツのことを気持ちが悪いと、気味が悪いと、思うのだろうか? それとも――。


 俺はもう一度自分の手を、今度は強く、握りしめる。


 確かにあったはずのものを思い出すように。



――これは、そういう物語だ。


2026/4/12 改訂

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