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幽霊学園  作者: 久遠 零


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 朔久(さく)の過去を聞き終えた。そして支音(しおん)は確信した。自分の勘は間違っていなかったと。


「これで全部だ。お前、先に成仏した人と会う方法知らないか?」

「いやー。知らないね」

「そんなことだと思ったよ。後で俺からお前のルームメイトに聞いてみる。じゃ話も終わったし帰る」


 荷物を持って身を翻す。


「まって!」

「何度も何度もしつけぇよ!」


 怒鳴るように言い返してきた。そんな朔久の顔を臆することも無くまっすぐに見つめる。


「朔久くん、その未練は間違ってるよ!本当の未練は高校生活を、いや自分の人生を楽しく生きること!」

「はあ?そんなわけ無いだろ。俺は(もち)のことが世界で一番大切だ!確かに自分の人生を生きると約束したが、望がいなくなった世界で生きる価値が無い。それよりも早く会いたい」


 歯を食いしばって絞り出すように言った。長時間話していたため日もすっかり落ちてきて教室内は暗くなっている。至音は暗くなった教室の電気を付けて説得を続ける。


 「早く会いたいなら何で幽霊になったの?」

「いや、それは望がどこにいるか分からなかったからじゃ」


 至音は首を横に振る。


「それは矛盾してるよ。ずっと成仏したかったんでしょ。それは弟くんも一緒に死んでしまったって知っていた証拠だよ」

「そしたら俺の未練って」

「自分の人生を生きること」


 力強く言い切り、朔久のことを見据える。


「なんか俺だけずるしてるみたいじゃん」

「分からないけど、そんなことないと思うよ」

「なんとでも言えるよ」

「いいや、朔久くんがこの未練を持ったのは弟くんが大好きだったからだよ」


 俯いていた顔が上がり、問いかける。


「どうしてそう思う」

「だって、死んでまで弟との約束を守ろうとしてるじゃん。カッコいいお兄ちゃんだったのは分かるよ」

「遅れていったら怒られないかな」

「この学校で語りきれないほどの思い出持っていきな」


 教室に爽やかな風が吹く。2人の髪をなびかせ、朔久が扉の方に振り返った。その瞬間朔久がぼそっと呟いた。それは確かに


「ありがとう」


 と聞こえた。


 寮に戻ってくるともう辺りはすっかり暗くなっていた。部屋の扉を開けると、結奈(ゆな)が心配そうな顔をして出迎えてきた。


「遅かったね」

「ごめん、時間かかっかちゃった。でも、無事解決したよ!」


 それを聞いてか、結奈は唖然としたが、すぐにいつもの優しい笑顔に戻った。


「良かった!勝手に帰ってごめんね。用事あったの忘れてて」

「用事あったのに私に付き合ってくれたの!ありがとー!」


 至音は思わず結奈に抱きついた。結奈はそれを拒否することも無く受け止める。


「何、馬鹿なことしてるの結奈。早く寝るよ」


 綾華(あやか)が不機嫌そうにこちらに来た。2人は離れた。結奈は明日の準備に戻り、至音は戻ろうとする綾華を呼びとめる。


「綾華ちゃん昨日はごめんね。支援者のこと何も知らないで嫌な思いさせたよね……信じてくれるか分からないけど、これからはちゃんと支援者として誰も見捨てない!だから、ルームメイトとして仲良くしてもいいかな?」


 不安で綾華の顔が見れず、手を差し出して俯く。緊張していたせいかほんの数秒がとても長く感じた。次の瞬間手を取られた感触がした。


「次同じことあったら許さないから」


 2人は握手をした。

 こうして、学校2日目は無事幕を閉じた。

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